照ノ富士引退で番付地図が激変!横綱昇進が早すぎた豊昇龍の苦悩と、大の里と安青錦の快進撃、さらに義ノ富士らの台頭で巻き起こる若手戦国時代の到来

一年で大きく変わった相撲界

大相撲の九州場所は安青錦の優勝で終わった。

豊昇龍は安青錦を苦手にしすぎだとおもう。この苦手意識は、先々にいろいろ影響をおよぼしそうである。

令和7年の全6場所が終わって、この一年で、相撲界の地図はずいぶんと塗り変わった。

令和7年1月場所(初場所)が始まったとき、横綱は照ノ富士1人だった。しかし照ノ富士は4日目に翔猿に敗れて2勝2敗となったところで、引退した。横綱がいなくなった。

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当時は豊昇龍、琴櫻、大の里の3大関時代。

前の場所(令和6年11月場所)では、琴櫻と豊昇龍が13勝1敗の相星で千秋楽に対戦、琴櫻が気合いで豊昇龍をはたきこみで破って優勝した。新大関の大の里は9勝6敗。

明けてこの初場所、琴櫻が最後まで優勝争いにからめば横綱、との期待がかかったが、序盤からぼろぼろに取りこぼした。あげくに5勝10敗と大きく負け越した。

そのまま琴櫻はこの一年、ぱっとしなかった。年6場所で46勝しかできていない。6場所で46勝というのは、1場所平均7.6勝になる。ほんとにビミョーすぎる。

豊昇龍の横綱昇進は時期尚早だった?

いっぽう初場所の豊昇龍は12勝3敗だった。金峰山、王鵬と三つ巴の優勝決定戦になったがあっさり連勝して優勝した。照ノ富士が引退した直後でもあり、豊昇龍の横綱昇進がすんなり決定した。

しかし、いまとなって見ると、豊昇龍の横綱はすこし早かったのではないか、という感じがしないではない。いや、このときは当然の昇進だとおもっていたが、いま振り返ると、ちょっと早かったような気がして、なんか豊昇龍に気の毒な感じがする。もうすこし大関でのびのびやったほうが伸びたのではないか。

横綱昇進の内規は「大関で連続優勝、ないしはそれに準ずる成績」である。豊昇龍は「大関で連続優勝」していない。「優勝できなかった九州場所の次に、初場所で久しぶりに優勝した」だけだった。その後、横綱にあがって5場所、優勝できていない。だからちょっと気の毒な感じがする。

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「決定戦で負けて優勝できなかったが優勝同点」というのが、この9月場所と11月場所の二場所続いてたわけで、たとえばこのあとに横綱昇進、というあたりが、よかったんではないか、と勝手におもっているばかりだ。

横綱の品格というのはむずかしそうだし、たぶん、なかなか身につかないだろうが、実力はまさにトップレベルである。

それでも令和8年の早いうちに優勝できないと、ちょっと落ち着かない状況になりそうだ。がんばってもらいたい。

令和7年は大の里と安青錦の年

一年前、安青錦はまだ十両力士であった。令和7年1月場所では十両五枚目。十両力士が1年後に大関というのは、ちょっとすごい出世である。

十両のときから注目されていた力士であったが、幕に入って、その落ちない相撲は注目を集めた。目が離せなくなった。

令和7年は、大の里と安青錦の年であった。

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九州場所も大の里が優勝していたら、大の里時代の到来、と謳われるところであったが、最後にいきなり安青錦が飛び出してきて、幕内5場所で大関昇進という異様な出世を遂げたので、最後のその印象が強い。

安青錦の相撲を見ていると、負けるはずがない、とおもってしまう。低く低く相撲を取って、それでいて絶対に前に落ちない相撲は、そりゃこの姿勢でずっと攻められたら防ぎようがないだろうな、とおもわせる迫力がある。

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写真:JMPA

夏ごろはまだ「次の大関は安青錦の可能性があるかもね、なんちゃってね」とおそるおそる言っていたものだが、一貫してずっと11勝4敗の星で昇りつめた。ちょっとすごい。最後に12勝して、大関昇進。うーん。唸るしかない。

ただ、令和7年一年で一番勝ったのは大の里で、今年前半3場所は大関、後半3場所が横綱だったのだが、それで優勝3回。優勝できなくても10勝以上はしていて、立派である。

このまま勢いで勝ち切るかとおもったら、最後の最後で負傷欠場となった。かなり心配である。怪我からきちんと戻れるのかどうか、これもとても心配だ。

令和8年大相撲の注目若手力士は

大の里、安青錦に続く若手は、令和8年に出てくるのか。

いま名前が挙がるのは義ノ富士。9月まで本名の「草野」で取っていたが、11月に義ノ富士となって、さらに強くなった気配がある。11月場所で、全勝(9連勝)の大の里に土をつけたのが義ノ富士だった。すごいなとおもっていたら、10日目も安青錦を突き出した。あの、絶対に低い態勢を崩さない安青錦を、突いて突いて上体を起こし切って、突き出した。すごっ、とおもわず唸ってしまった。

そして義ノ富士もまた、デビュー以来まだ負け越していない「異様な相撲取り」である。幕下付け出しデビューして、幕下は5場所かかったが一度も負け越しなし、十両にあがって14勝1敗と13勝2敗で連続優勝を遂げて、幕内に上がったのが令和7年7月場所。そこから11勝、8勝、9勝ときた。令和8年初場所は、たぶん前頭筆頭。もしここでも勝ち越せば、彼もまた「安青錦以来の化け物」であることになる(入幕は2場所しか違わないんだけど)。

大の里も、安青錦も、いわば「化け物級のスピード出世力士」であり、さらに義ノ富士が加わるのか、注目となる。

2年前に同じようにその出世の早さに驚かされた力士が伯桜鵬である。令和5年1月場所で幕下付け出しでデビュー、7月場所では幕内に上がり前頭17枚目で11勝4敗をあげて、令和の怪物と称された。

しかし怪我で翌場所から休場、幕下まで落ちて、再び幕内に戻ってきたのは今年の1月場所。そこから勝ち越しをつづけて、でもこのあいだの11月場所では初日に豊昇龍を倒したが6勝止まり。でも幕の上位に留まって、令和8年にブレイクしないか、注目のところである。

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若手力士ではあとは藤ノ川。若い。ちなみに幕内力士でもっとも若いのがこの藤ノ川で21歳、次に若いのが安青錦で22歳、伯桜鵬も22歳である。この3人が若い。

藤ノ川もまだ幕内に上がって3場所で、11月場所は前頭12枚目で9勝あげた。ただまあ小兵なのでそんなにどんどん上に行くタイプではないが、場内を沸かせる相撲を見せてくれるのではないかと期待している。

生まれも育ちも東京らしいのに、京都出身となっていて、それはお父さんの元「大碇」が京都出身なので、そうなったようだ。あまり、京都がんばれ、とは応援しにくい感じがある。

そのあたりに注目して、令和8年もおそらく全場所を見つづけることになるだろう。