澤村拓一、平井克典、又吉克樹… 実績十分も移籍先が決まらないリリーバーに「シビアな評価」

 球界を代表する名リリーバーとして活躍した投手たちが、野球人生の岐路を迎えている。

 西武から戦力外通告を受けた平井克典(33)は、リリーフの屋台骨を支えた功労者だ。プロ1年目から4年連続40試合以上登板し、2018年からのリーグ連覇に貢献。19年はパ・リーグ新記録の81試合登板で5勝4敗36ホールドをマークした。右のサイドから投げるキレ味鋭いスライダーが武器。故障せずに投げ続けるタフガイだったが、昨年は13試合登板に終わり、西口文也監督が就任した今年は1軍登板ゼロ。イースタンリーグでは39試合登板で5勝2敗1セーブ、防御率2.41をマークしたが、1軍から声が掛かることは最後までなかった。西武を取材していたスポーツ紙記者はこう語る。

「チームが勝つために全力を尽くし、マウンド上で喜怒哀楽を前面に出す。悔しさや苛立ちを見せる姿に批判的な声もありましたが、本質は仲間思いの熱い男です。今年はファームで投げ続けていましたし、まだまだ1軍で通用すると思います。33歳はまだまだ老け込む年ではない。リーグ連覇した経験も大きな強みです。反骨心の強い投手なので、必要とされる環境があれば意気に感じて復活すると思います」

■「技巧派投手は居場所の確保が難しい時代」

 平井と同じサイド右腕の又吉克樹(35)も、今年限りでソフトバンクを退団した。中日でセットアッパーとして活躍し、21年オフにFA移籍すると、3年連続30試合以上に救援登板したが、若手の台頭もあって序列が下がってしまった。今年はオープン戦で防御率1.69と好調をアピールしていたが、開幕は2軍スタート。先発に配置転換されたが、シーズン途中に本人の希望で救援に復帰。ウエスタンリーグでは4勝5敗、防御率3.58だったが、1軍では登板なしに終わり、日本一に輝いたチームの戦力構想から外れた。現役続行を希望して12球団合同トライアウトを受けたが、他球団の編成関係者はどう評価したか。

「シーズン後の肌寒い時期なので調整が難しかったと思いますが、直球が140キロ前後ではちょっと厳しいかなと。平井にも言えることですが、直球に力強さがないと変化球の精度が高くても空振りを奪えず、投球が苦しくなる。150キロ以上の直球を投げる投手がNPBの各球団にゴロゴロ出てきている状況で、平井や又吉のような技巧派のサイド右腕が居場所を確保するのが難しい時代になっています」

■「即戦力として判断すると難しい」

 澤村拓一(37)もロッテの戦力構想から外れ、現役続行を目指して新天地を求めている。メジャーから復帰した3年目の今季は、5月から3カ月近くファームで調整するなどシーズンを通した稼働ができなかった。20試合登板で0勝1敗6ホールド、防御率3.93。直球は常時150キロ以上を計測していたが、18回1/3を投げて16四死球と制球の不安を露呈した。16年に巨人で抑えを務めて最多セーブに輝くなど日米通算59勝79セーブ112ホールドをマークしているが、セ・リーグ球団の投手コーチの評価は厳しい。

「ウチは獲得に動かないと思います。個性的で魅力的な投手ですが、右のリリーバーは不足していない。澤村クラスの投手になると、獲得する球団も若手と競わせるという考えではなく、即戦力として使えるかで判断する。今年の投球内容を見るとその判断が難しいですね」

■戦力外から現役続行できるのはごく一握り

 ヤクルトを退団した西川遥輝が5季ぶりに日本ハムに復帰することが決まったが、戦力外通告を受けた選手が、NPBの他球団で現役を続行できるケースはごく一握りだ。阪神の漆原大晟(29)は今季11試合登板で防御率0.00だったが、オフに戦力外通告を受けて退団。他球団で現役続行を模索したがかなわず、12月4日に自身のインスタグラムで現役引退を発表した。また、DeNAでセットアッパーとして活躍した三嶋一輝(35)や巨人の先発・救援で稼働した今村信貴(31)、日本ハムでセットアッパーやクローザーを務めた石川直也(29)らも去就が決まっていない。

 かつてセ・リーグ球団で現役時代に内野のレギュラーとして活躍した球界OBは、戦力外通告を受けた後に他球団から獲得オファーが届かず、引退を決断した。

「クビになって、次が決まらない期間が人生で一番苦しかったですね。野球をやりたくても必要とされなければできない。1人でトレーニングを続けている時も、他のチームから連絡が来ないかずっと気にしていました。野球を続ける情熱があるなら米国のマイナーリーグ、韓国、台湾など海外のプレーを選択肢に入れていいと思います。長い人生で野球を続ける時間は限られていますから。人生勉強にもなりますしね」

 12月9日には現役ドラフトが開催され、各球団の戦力整備が進んだ。戦力外で退団した選手たちは、時間の経過と共にオファーの声が掛かる可能性が低くなるのが現実だ。彼らを戦力として求める球団は現れるのか。

(ライター・今川秀悟)

・【写真】メジャーから復帰3年で退団することになった右腕はこの人

・【写真】他球団コーチが「天才的」と絶賛した戦力外選手はこの人

・【写真】戦力外から契約をつかみ取り、5勝をマークしたのがこの人