日本ハム・菊地、巨人・松浦、阪神・濱田… 現役ドラフトで大化けしそうな選手は

 第4回現役ドラフトが12月9日に行われ、移籍が決まった12選手が発表された。2019年のドラフト1位でソフトバンクに入団し、今季自己最多の104試合に出場した佐藤直樹が楽天へ。阪神の和製大砲・井上広大はロッテに移籍が決まった。

 12人の中で、セ・リーグ球団のスコアラーが「大化けする可能性が十分にある」と太鼓判を押すのが、巨人から日本ハムに移籍する菊地大稀だ。

「田中正義(日本ハム)と重なるんですよね。186センチの長身から投げ下ろす直球は速いだけでなく、球質が重いので打者が押し込まれる。フォークの質も良いので三振奪取能力が高い。送球に不安を抱えていますが、神経質になる必要はない。新しい環境で改善されることがありますし、青柳晃洋(ヤクルト)のようにワンバウンドで送球する選択肢もある。日本ハムは田中、斎藤友貴哉、杉浦稔大など他球団で伸び悩んでいた本格派右腕の能力を引き出すのがうまい。新庄剛志監督の期待も大きいでしょう」

 確かに菊地のスタッツを見ると、三振奪取能力の高さが際立つ。23年は50試合登板で4勝4敗1セーブ11ホールド、防御率3.40。47回2/3を投げて55三振を奪っている。阿部慎之助監督が就任した24年は1軍登板なしに終わり、育成契約に。今年は7月下旬に再び支配下昇格すると7試合登板で1勝1敗、防御率1.80。10回を投げて16奪三振だった。

 スポーツ紙デスクは、「巨人の救援陣は大勢、マルティネス、中川皓太、船迫大雅、昨年の現役ドラフトで新加入してブレークした田中瑛斗と、コマがそろっている。菊地はなかなか1軍で投げるチャンスがなかったですが、26歳という年齢を考えると、このまま能力を生かせないのはもったいない。現役ドラフトで送り出した巨人の姿勢は評価されるべきだと思います」と指摘する。

 その巨人が日本ハムから獲得したのが、22歳左腕の松浦慶斗だった。身長186センチ、体重103キロのパワーピッチャーで、今季は1軍登板なし。イースタンリーグで19試合登板して2勝2敗3セーブ、防御率3.41だった。

■巨人が獲得した「ドラフト1位候補」

 昨年までパ・リーグ球団でコーチを務めた球界OBは「日本ハムが松浦を出したことに驚きました。大学4年生と同学年になりますが、ドラフトだったら1位候補です。今年は球威に物足りなさを感じましたが、潜在能力は非常に高い。巨人には昨年の現役ドラフトで日本ハムから移籍した田中瑛斗という良きお手本がいます。田中瑛斗がシュートを武器にプロで生きる術を見出したように、松浦も絶対的な変化球を身につければ、一気に突き抜ける可能性があります」と期待を込める。

 菊地と松浦の交換トレードのような形になったが、他球団にとって魅力的な選手を放出しなければ、好素材の選手を獲得できない。新天地で両投手の活躍に期待したい。

■激しくなる阪神の「左翼」争い

 昨年のセ・リーグ覇者の阪神は、ヤクルトから濱田太貴を獲得した。23年に103試合出場で打率.234、5本塁打、22打点をマーク。今年は開幕1軍入りを果たしたが、17打数1安打と結果を残せず4月半ばに登録抹消されると、4カ月以上のファーム暮らし。8月下旬に1軍昇格して復調の兆しを見せ、34試合出場で打率.221、4本塁打、9打点だった。ヤクルトでかつてチームメートだった球界OBは「選手内の評価が非常に高い選手です」と語る。

「パンチ力があるし、コンタクト技術も高い。練習のフリー打撃では凄い打球を飛ばしますから。でも、状態が悪くなるとなかなか修正できない。長打を打つのか、ミート能力で勝負するのか打撃スタイルが定まっていない印象がありましたね。ケガが目立ったのもネックで、持っている能力の半分も出し切れていない。打撃でコツをつかめば、覚醒する可能性があります。まだ25歳と若いですし、外野のレギュラーを狙ってほしいですね」

 阪神でチームメートになる森下翔太は同学年だ。同じ右打者で思い切りの良いスイングを武器とする打撃スタイルは共通している。成長著しい強打者の打撃を見て参考になる部分があるだろう。外野は中堅が近本光司、右翼が森下で確定しているため、左翼で前川右京、高寺望夢、ドラフト1位の立石正広(創価大)らとの激しい定位置争いになる。首脳陣の信頼をつかむためには、打撃でのアピールがカギを握る。

■ヤクルトは2年連続で広島のリリーバー

 濱田が去るヤクルトは、広島から大道温貴を獲得した。プロ3年目の23年に48試合登板で3勝1敗10ホールド、防御率2.72とセットアッパーで奮闘したが、昨年は4試合、今年は1試合と登板機会が激減していた。

 広島を取材するライターは「力強い直球をグイグイ投げ込んでいましたが、昨年から試行錯誤していた。環境が変わることでもう一度復活して欲しい。広島ではリリーバーでしたが、先発の適性もあると思います」と分析する。ヤクルトは昨年の現役ドラフトでも広島から矢崎拓也を獲得。矢崎は45試合登板で2勝0敗12ホールド、防御率1.93の活躍でヤクルトのブルペンを支えた。大道にとって矢崎の存在は心強いだろう。

 今年の現役ドラフトは全体的に小粒と評されるが、活躍する選手が一人でも多く出てくれば評価が変わるだろう。12人の選手が大きな決意を胸に秘め、新天地で再出発を図る。

(ライター・今川秀悟)

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