【戦国】女子大初の〇〇学部・早慶めざす新設大学…「2026年問題」に揺れる関西4大学 生き残りをかけた独自戦略に迫る

 1980年以降、増加傾向が続いていた大学進学者数。それに伴い、大学の数も増え続けてきました。しかし少子化が進み、文科省は「2026年以降は大学進学者数が減少傾向に入る」と予想。大学は今、生き残りをかけた対策を迫られています。世はまさに“大学戦国時代”―それぞれの大学が打ち出す独自の戦略を追いました。(取材・報告=読売テレビ・山口佐助記者)

■歴史と伝統の『京都女子大学』 データサイエンス学部を新設

「女子大学宣言」を発表した京都女子大学 ©ytv

 関西でも大学の募集停止などが相次いでいますが、特に岐路に立たされているのが女子大学です。

 開学100年以上の伝統校『京都女子大学』も近年、志願者数が減少傾向でした。しかし、共学化の流れの中、京都女子大学は2025年に「女子大学宣言」を発表。「女子大学であり続けること」を明確に掲げています。

 京都女子大学・竹安栄子学長は、「日本のジェンダー格差の現状を考えると、壁を突き破っていくには女子大学の教育が重要」と語りました。

データサイエンティストを育成へ ©ytv

 京都女子大学では、志願者数増加の期待も込めて、学部の新設に次々と乗り出しています。その一つが、女性が少ない分野である『データサイエンス』です。データサイエンス学部では、AIやプログラミング技術で様々なデータを分析して社会課題を解決する『データサイエンティスト』を育成します。女子大だからこそ“女性は10%”とされる分野に参入し、女子大として初めて専門の学部を開設したのです。

女子大初のデータサイエンス学部 ©ytv

(京都女子大学の学生)

「高校で理系を選んでいたので、理系で女子大学と調べたときに選択肢が絞られて。(プログラミング言語の)Python(パイソン)などいろんな言語がありますが、私はR(アール)言語が好きなので、それを使える環境で働きたいです」

(京都女子大学の学生)

「(情報や数学は)高校のときは、すごくおもしろいという気持ちはなかったんですけど、プログラミング言語のC++(シープラスプラス)が自分の肌になじむ感じで、やっていて楽しいと思っています」

今後の活躍が期待されている ©ytv

 学生らの専門性を求める企業も多く、40社以上と提携を結ぶなど、引く手あまただといいます。『伝統の女子大』という枠組みを守りながら、時代に合わせて変化する作戦です。

■『関西大学』全国からの志願者獲得へ、受け入れ体制を強化

出願締め切り直前まで入試説明会 ©ytv

 変化を求められているのは、女子大学だけではありません。“関関同立”の一角『関西大学』は、在籍する大学生は2万8000人に上りますが、出願締め切りの6日前までオンラインでの入試説明会を実施しました。必死のPRを繰り広げる理由とは?

(関西大学・入試広報課 岩崎波留奈課長)

「地元・関西出身の方が約8割。全国から入学していただきたい」

 実際に学生に出身地を聞いてみると「大阪」「奈良」「兵庫」など関西出身が多く、ある学生は「東京出身の学生はあまりいない。いたら『おぉ』ってなる」と話していました。全国的な知名度は、まだまだのようです。

関西圏外から受け入れる環境を整えた ©ytv

 そこで、関西圏外からも学生を集めようと、3年前には約250人の学生を収容できる学生寮を新設しました。また、ひとり暮らしをする学生を対象に『新入生のつどい』を開くなど、全国からの志願者獲得を狙い、受け入れ体制を強化しています。

■志願者数・関西トップ『近畿大学』が見せる“攻めの姿勢”

付属病院を持つ総合大学としての強み ©ytv

 一方、関西トップの志願者数を10年以上維持し続けているのが『近畿大学』です。攻めの姿勢で、2026年4月、16番目の学部となる看護学部を新設します。関西で付属病院を持つ総合大学は限られ、私立大学では近大のみ。その強みを生かし、堺市に開設したばかりの新キャンパスで「最新鋭の設備を生かした授業を」と意気込みます。

(近畿大学・看護学部設置準備室 大宮淳史室長)

「近畿大学は総合大学ですから、医療系以外の学部もたくさん持っています。他の学部との連携を見据えた学部の特色が、近畿大学の強みだと思っています」

大学ジャーナリスト・石渡嶺司さん ©ytv

 こうした大規模な有名大学に学生が集まる現状について、大学ジャーナリスト・石渡嶺司さんは「今の受験生のニーズは、かなり多様になっている。よほど特徴がはっきりした大学であれば、小規模校を志望する。そうでなければ、やってみたい勉強・テーマが複数学べる大規模校を選択する傾向が年々強まっている」と分析しています。

■東の早慶・西の大和を目指す?実践的な授業で個別化図る『大和大学』

個性的なCMで話題に ©ytv

 そんな中、独自の戦略で注目されている大学があります。それが、「東の早慶・西の大和を目指す」という個性的なCMが話題を呼んだ『大和大学』です。

(大和大学・田野瀬良太郎総長)

「世間から『まだそんなことを言うのは早い』『はったりをかます大学だな』など、お叱りをいただいたのは事実です。しかし、最近になって『地の利に優れた大学だ』『進学校の西大和学園が運営しているらしい』『ひょっとしたらひょっとするのでは』という書き込みも出てきました」

志願倍率5倍➡15倍に ©ytv

 大和大学を運営するのは、東大・京大合格者を多数輩出する奈良県の進学校・西大和学園グループです。2014年にできた新しい大学ですが、CMなどを通じて知名度を拡大し、開学当初は約5倍だった志願倍率が今では約15倍になりました。

企業勤務経験のある教授が授業する ©ytv

 そんな大和大学が力を入れるのが、実践的な授業です。テレビ番組の制作を体験する授業では、カメラマンもディレクターも全て学生が担当。テレビ局でプロデューサーとして働いていた教員が、現場経験を生かして授業します。他の学部でも、一般企業での経験がある教授陣が多く在籍しています。

(大和大学の学生)

「今回のような授業をいっぱいできると聞いたので、ここに入りました」

(大和大学の学生)

「実践的。こんな経験ができるって、なかなかないと思います」

就職に直結する取り組みが人気 ©ytv

 授業以外にも、アメリカでのGoogleオフィスツアーや、教育学部の1年生が受ける実際の学校での研修など、就職に直結する取り組みが功を奏しているようです。

知の拠点・大学の先行きは… ©ytv

 大学は、日本の高等教育を担う知の拠点。しかし、その先行きは…。

(大学ジャーナリスト・石渡さん)

「今後10年間で50~100校程度が募集停止・事業譲渡・経営統合してもおかしくないと、私は見ています」

 大学が減れば受験生の選択肢が狭まり、地域や分野によっては「学びたくても学べない」状況を招く恐れもあります。学生のための進化が問われています。

(「かんさい情報ネットten.」2026年1月20日放送)