肉を食べる人はベジタリアンよりも100歳まで生きる可能性が高いことが判明
野菜や果物を中心とした植物性の食生活は健康にいいとされていますが、中国の研究チームが行った研究では「肉を食べる人はベジタリアンよりも100歳まで生きる可能性が高い」という結果が示されました。
Vegetarian diet and likelihood of becoming centenarians in Chinese adults aged 80 y or older: a nested case-control study - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0002916525007282

Are meat eaters really more likely to live to 100 than non-meat eaters, as a recent study suggests?
https://theconversation.com/are-meat-eaters-really-more-likely-to-live-to-100-than-non-meat-eaters-as-a-recent-study-suggests-273861
植物性食品を中心にした食事は心臓病や脳卒中、糖尿病、肥満などのリスクを下げることが知られています。これらの利点は主に食物繊維の摂取量増加や、飽和脂肪酸の摂取量減少などに起因しているとのこと。
中国の研究チームは長寿と食生活の関係を調べるため、1998年に始まった「Chinese Longitudinal Healthy Longevity Survey(中国縦断的健康長寿調査)」に参加した80歳以上の高齢者5203人を分析しました。被験者のうち2018年までに100歳を超えたのは1459人、100歳になる前に死亡したのは3744人で、研究チームはこれらを動物由来食品の摂取量に基づいてグループ分けしました。

分析の結果、肉を食べる高齢者と比較してベジタリアンの高齢者は100歳になる前に死亡する割合が高いことが判明しました。この結果は一見すると「肉を食べた方が長生きできる」と読み取ることができ、植物性食品中心の食事が健康にいいとする過去の研究結果と矛盾しているように感じられるかもしれません。
しかし、研究には参加していないイギリス・ボーンマス大学の栄養学者であるクロエ・ケイシー氏は、結論を出す前に考慮するべき点が多々あると指摘しています。
まず考えるべき点としてケイシー氏が挙げているのが、「年齢によって体が必要とする栄養が変化する」という点です。人間の体は加齢に伴う生物学的変化により、エネルギー消費量・筋肉量・骨密度・食欲などが減少し、栄養失調や虚弱状態のリスクが高まります。
植物性食品を中心とした食事の健康効果に関するエビデンスの多くは、虚弱な高齢者ではなく若年成人を対象とした研究に基づきます。そのため、高齢者に絞った今回の研究結果から、一概に植物性食品中心の食事が全ての人の健康に悪いとは言えません。肉食を控えた高齢者ではカルシウムとタンパク質の摂取量が少ないために骨折リスクが高くなるとする研究結果もあり、年齢に応じた栄養素の摂取が重要だと考えられます。
ケイシー氏は、「高齢になると栄養に関する優先順位が変化します。長期的な病気の予防に重点を置くのではなく、筋肉量を維持して体重減少を防ぎ、一口ごとに十分な栄養素を摂取することが目標になります。従って、今回の研究結果は植物性食品中心の食事に固有の問題ではなく、高齢期における栄養上の課題を反映している可能性があります。重要なのは、この研究結果が若くて健康な成人に植物性食品中心の食事がもたらす、すでに確立された健康効果を損なうものではないという点です」と述べました。

今回の研究で注目するべき点として、「ベジタリアンは100歳まで生きる可能性が低い」という相関関係が、ボディマス指数(BMI)が18.5を下回る低体重の被験者でのみ観察されたことが挙げられます。健康的な体重の被験者では、肉を食べないことと100歳まで生きられないことの関連性はみられませんでした。
高齢者における低体重は虚弱状態や死亡リスクの増加と強く関連していることから、体重が今回の結果を説明する上で重要だと考えられます。
さらに、肉を食べていなくても魚や乳製品、卵などの動物性食品を食事に取り入れている人は、100歳になる可能性が肉を食べている人と変わりませんでした。これらの食品は良質なタンパク質・ビタミンB12・カルシウム・ビタミンDといった、筋肉や骨の健康維持に不可欠な栄養素を豊富に含んでいます。研究チームは、適度な量の動物性食品を摂取することが、高齢者の栄養不足や筋肉量減少を防ぐ可能性があると示唆しています。
ケイシー氏は、「重要なメッセージは、ある食事が他の食事より普遍的に優れているかどうかに焦点を当てるのではなく、栄養は人生の段階に合わせて調整されるべきだということです。エネルギーの消費量は加齢とともに減少しますが、一部の栄養素の必要量は増加します」「高齢者では長期的な慢性疾患の予防よりも、栄養失調や体重減少の予防の方が重要になる場合が多くあるのです」と述べました。