天皇陛下、66歳誕生日ご会見 愛子さま「一人の人間、一人の皇族として立派に」と願われ

ミラノ・コルティナ冬季五輪とパラリンピックの大会マスコットのぬいぐるみをご覧になる天皇、皇后両陛下と長女の敬宮愛子さま=17日午後、皇居・御所(宮内庁提供)
--今の皇室についてお尋ねします。成年皇族として活動を始められた悠仁さまをどのようにご覧になっていますか。上皇さまは昨年2度入院されましたが、ご夫妻の体調への受け止めや最近のご様子についてお聞かせください。
「悠仁親王は、昨年、成年式の諸行事をつつがなく終えることができました。立派に成長した姿を見て、うれしく思っています。小さい時から甥(おい)として成長を見守ってきましたが、近頃は、都内や地方への訪問であったり、外国の方々との交流であったり、皇室の一員としての務めを果たしてくれていることを頼もしく思っています」
「悠仁親王には、大学生活を通して、様々な人と出会い、自身の将来をしっかりと見つめつつ、実り多い学生生活を送ってほしいと願っています。私自身の経験からも、大学時代にした勉学を含む様々な経験は、その後の人生にも、とても役立っていると感じます。悠仁親王には、今、この時にしかできないことを大切にしながら、これからも一つ一つの経験を積み重ね、人間的にも、また皇室の一員としても成長していってほしいと、見守っていきたいと思っています」
「上皇上皇后両陛下には、私たちを変わらず温かくお見守りいただいていることに感謝申し上げます。昨年、戦後80年に当たって、各地への訪問を重ねた際には、これまで上皇上皇后両陛下が、どれほど先の大戦を重く受け止められ、何よりも平和を大切に思われながら心を砕いてこられてきたかを、改めて思いを深く致しました」
「上皇陛下には、昨年7月に無症候性心筋虚血の治療のために入院されましたので御案じしておりましたが、その後は比較的安定した状態でお過ごしになっていると伺っております。昨年12月の上皇陛下のお誕生日や、雅子の誕生日、そして今年の正月と、両陛下にそろってお会いし、お健やかにお過ごしの御様子を拝見することができ、うれしく思っております。上皇上皇后両陛下が長年にわたって果たしてこられたお務めに、改めて深い敬意を覚えるとともに、これからも、くれぐれもお体を大切になさりながら、末永く健やかにお過ごしになりますよう、心から願っております」
--皇族数が減少をする中、秋篠宮さまは昨年の記者会見で「全体的な公的な活動の規模を縮小するしか、今はないのではないか」との認識を示されています。陛下は皇室全体の活動の在り方や皇室の役割、これまでも度々言及されている「時代に即した新しい公務」について、どのようにお考えでしょうか。
「皇室の在り方や活動の基本は、国民の幸せを常に願い、国民と苦楽を共にすることだと思います。そして、時代の移り変わりや社会の変化も踏まえながら、状況に応じた務めを果たしていくことが大切であると思います」
「このような中で、困難の中にある人々や、社会的に配慮を必要とする立場にある人々に心を寄せていくことが、ますます大切になっているように思われます。災害で被災された方々や障害のある方々、高齢の方々、困難な状況にある子供たちなど、様々な困難を抱えている方々の声に耳を傾け、そのような方々の幸せを願っていくことは、大切な務めと考えています」
「世の中は、例えば少子高齢化や、気候変動、災害の激甚化・頻発化、コロナ禍に見られたような感染症の蔓(まん)延の危険性の高まり、AIなどに代表されるような新しい科学技術の発展を始め、様々な面で大きく変化してきていると思います。そのような世の中の現在の状況を過去の歴史も踏まえた上で理解し、さらには将来の姿を把握することにも努めながら、時代の風を的確に感じ取り、その時々にふさわしい公務の在り方を考えていくことが大切なのではないかと考えています」
--昨年は戦後80年にあたり、戦没者慰霊のために各地を訪問し、愛子さまも同行されました。この1年で心に残った出来事をお聞かせください。
「昨年は戦後80年に当たり、雅子と共に、硫黄島と広島県を、また、愛子も一緒に3人で沖縄県、長崎県、東京都慰霊堂、昭和館を訪れました。先の大戦において、世界の各国で多くの尊い命が失われたことを大変痛ましく思います。今回、国内の各地を訪れて、亡くなられた方々に改めて深い哀悼の意を捧げました。それぞれの地で、戦災に遭われた方々や亡くなられた方々の御遺族、戦争の記憶を語り継ぐ活動をしている方々などのお話を伺いましたが、皆さんに語っていただいた一つ一つの記憶が、私たちの心に深く残っています」
「また、昨年のモンゴル訪問時には、シベリア抑留でモンゴルに連れて来られ、当地で亡くなった方々を慰霊する、ウランバートル郊外にある日本人死亡者慰霊碑に供花し、故郷から遠く離れた地で亡くなられた方々を慰霊し、その御苦労に思いを馳(は)せました」

「賢所皇霊殿神殿に謁するの儀」に臨まれた秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さま=令和7年9月6日午前、皇居・賢所
「多くの方々が苦難の道を歩まざるを得なかった歴史に改めて思いを致し、戦中・戦後に人々が味わった悲惨な体験や苦労を、後の世代に伝えていくことが大切だと考えています。愛子にとっても、戦争の悲惨さや平和の尊さを改めて感じることができた1年だったのではないかと思います。戦争の記憶と平和の尊さを次の世代へ引き継いでいく役割を愛子にも担ってほしいと思っています」
「これからも、各地で亡くなられた方々や、苦難の道を歩まれた方々に、心を寄せていきたいと思います。そして、終戦以来、人々のたゆみない努力により築き上げられた平和を今後とも永続的に守っていくため、過去の歴史から謙虚に学び、深い反省と共に、平和を守るために必要なことを考え、努力することが大切であると考えています」
「昨年は、7月に雅子と共にモンゴルを訪問できたことを大変うれしく思いました。フレルスフ大統領御夫妻には、私たちを大変温かく迎えてくださり、すばらしいおもてなしを頂いたことは大変有り難く、心から感謝しております。訪問中は、モンゴル国民の皆さんにも温かく迎えていただき、モンゴルの雄大な自然や、豊かな歴史と文化に触れることができました。また、日本とモンゴルとの交流に様々な形で携わってこられた幅広い年代の方々に直接お会いしてお話しする中で、両国の友好親善関係が人々の交流を通じて深まってきたことや、モンゴルの人々が日本に対して温かい気持ちを抱いていることを実感し、うれしく思いました。この機会に改めて、昨年の訪問に尽力していただいたモンゴルと日本の多くの関係者の皆さんに感謝したいと思います」

新年一般参賀に臨まれる上皇ご夫妻=令和8年1月2日、皇居・宮殿(酒井真大撮影)
「昨年は、大阪・関西万博を2度訪れたことも心に残っています。この万博がきっかけとなり、世界の人々が、様々な『いのち』を尊重して、持続する未来を共に創り上げていくこと、子供たちが世界の国や人々への理解を深め、未来の社会について考えていくことを願っています。また、この万博に合わせて世界中の国々から来日された多くの賓客の方々とお会いし、友好を深めることができたことをうれしく思います」
「また、自らの研究を根気よく続け、長年にわたって努力を重ねてこられた、坂口志文 大阪大学特任教授がノーベル生理学・医学賞を、北川進 京都大学特別教授がノーベル化学賞を受賞されたことも、心に残る喜ばしいことでした」
「スポーツでは、9月に開催された世界陸上の競技や11月のデフリンピック競技大会の水泳競技を実際に見ることができたこともうれしく思いました。特にデフリンピックの競技を観戦したのは初めてでしたが、選手の健闘とともに、観客の皆さんが、拍手や歓声といった音に頼らない『サインエール』で応援し、会場が一体になるように感じたことが印象的でした」
「現在、イタリアで開催されているミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックでの熱戦もテレビで観戦しています。雅子や愛子と一緒に見ることもあり、日本選手の活躍も大変うれしく思っています。選手たちが、これまで培ってきた力を尽くして競技に臨む姿や、支えてくれた家族や関係者、応援してくれた人々への感謝の言葉を口にする姿、そして、国や地域を越えてお互いを認め、称(たた)え合う姿に深い感銘を覚えます。選手の皆さんの活躍は私たちに力と勇気を与えてくれるものであり、選手一人一人のこれまでの努力に心からの敬意を表します」
「ところで、大会が行われているコルティナ・ダンペッツオでは、丁度70年前の1956年にも冬季オリンピックが開催されています。そのオリンピックでのスキー回転競技で日本人として初めて銀メダルを獲得した猪谷千春さんからは、子供の頃にスキーを指導していただいたこともあり、コルティナ・ダンペッツオという場所には子供の頃から親しみを感じていました。今回、雪をかぶった美しい山々の映像を見ながら、その地でオリンピックが再び開催されていることに感慨を覚えています」
「その一方で、この1年を振り返ると、引き続き世界の各地で紛争が起きていることに深く心が痛みます。干魃(ばつ)、豪雨や林野火災の被害も各地で報告されており、国内では、大雪や熊による被害にも胸が痛みました。また、物価高などで苦労されている方も多いと思います。世界に平和と安定がもたらされ、人々が安心して暮らすことのできる社会が1日も早く訪れることを切に願っています」
--2問目の質問に関してですが、愛子さまは陛下がご訪問されたラオスをご訪問されて、陛下がレシピの本を事前に準備されるなど協力して愛子さまと準備に取り組まれていたと聞いています。これまでの絆(きずな)を未来につなげていきたいと現地で仰っておりましたが、そうした取り組まれるお姿を陛下は天皇として、また父親としてどのようにご覧になっていましたでしょうか。
「ラオスには私も以前行ったことがありますので、ラオスで私が実際に経験したことなどを、今回の訪問に当たって話をしました。実際に愛子の現地での様子などを報道で見たりしてますと、とても現地によく溶け込んで、そして現地の皆さんとの交流に大変心を砕いて、そして、親善訪問の実を挙げているということを、大変うれしく思っております。以前にお話ししておりますけれども、国と国との関係というのは人と人とのつながりというところが大きいわけであります。そういう意味でも愛子がこの度ラオスを訪問し、ラオスの皆さんとの交流を深め、そして相互理解を深めることができたことは、私の立場としても大変うれしく思います」

沖縄県平和祈念資料館を訪れ、証言の展示に見入る天皇、皇后両陛下と長女の敬宮愛子さま=令和7年6月4日、沖縄県糸満市
--5問目の質問に関連して、ご質問申し上げます。陛下は先ほど、平和の尊さを次世代へと引き継いでいく役割を愛子さまにも担っていってほしいというお気持ちを示されましたが、愛子さまは国際親善に関しましても、ラオスで2度にわたり皇室の歩みを引き継いでいくという思いを述べられました。こうした大切な務めについて、愛子さまには皇族として末永く、このような活動に携わってほしいというような思いの表れで5問目のお答えがあったでしょうか。お尋ねできればと思います。
「私達はやはり愛子にも一人の人間として、そしてまた一人の皇族として立派に育ってほしいというふうに思って、今まで育ててきたつもりです。そういうことの延長線として、今後ともいろいろな面で力を出してほしいし、国際親善の面でも活躍してほしいという願いを強く持っている次第です」