2080円焼肉食べ放題「謎チェーン」価格以上なの?

「謎の焼肉チェーン」ランチ食べ放題の実力はいかに?(写真:筆者撮影)
焼肉不況が訪れている。
【写真を見る】メニューは70種類も! 筆者が行ってみた食べ放題の様子
東京商工リサーチが発表したデータによると、2025年の焼肉店の倒産数が59店と過去最多を更新。コロナ禍が終わった2023年以降、3年連続で閉業する店舗が増えている。
筆者の住む群馬県の街でもコスパに優れた個人店やローカルチェーンが姿を消している。アメリカ産牛肉の高騰も続き、気軽に焼肉を食べられなくなる時代が訪れるかもしれない。
このような厳しい状況の中で、格安の焼肉食べ放題を提供しているチェーン店がある。モンテローザが全国に4店舗だけ展開する「焼肉食べ放題 俺の店」だ。平日ランチの食べ放題がなんと2080円(税抜、大人価格)。
格安の焼肉食べ放題で有名な、すたみな太郎の平日ランチの最安価格は1799円(税抜、大人価格)。「焼肉食べ放題 俺の店」のランチはその価格に匹敵するのだ。
しかも、ランチにはソフトドリンクの飲み放題とジェラートの食べ放題も含まれるという。店名に引っかかりはするが、もしかすると新しい食の遊園地が誕生しているのかもしれない。そう思い、花園インター店を訪れてみたら、価格以上の満足感を堪能することができた。
コロナ禍に展開を始めた幻の焼肉チェーン
「焼肉食べ放題 俺の店」は北海道と北関東のロードサイドに4店舗だけひっそりと展開している。
過去の情報を遡ると2020年頃に1店舗目が立ち上がり、その後2年間でポツポツと店舗数を増やしたようだ。
コロナ禍の2020年前後は換気設備の整った焼肉店の需要が高まった時期でもある。モンテローザと同じく居酒屋チェーンを展開するワタミが参入。また、ひとり客をターゲットとした焼肉ライクが急成長を遂げた。
モンテローザは後追いで業界に参入するのが得意な企業だ。もともと格安ホルモン店「ホルモン おいで屋」も展開しており、肉の仕入れやメニュー開発のノウハウも持っている。壊滅的なダメージを受けた居酒屋業態に代わる事業のひとつとして、「焼肉食べ放題 俺の店」を立ち上げたのだろう。しかし、現存する店舗は少ない。期待したような全国規模のチェーン店には成長しなかったようだ。

店内にはブレーメンの音楽隊みたいな看板もあった(写真:筆者撮影)
今回、訪問する店舗ではグランドメニューとして食べ放題を提供している。そのラインナップは以下の通りだ。
・俺の店コース 3180円(税抜、大人) メニュー110種類以上
*ファミリーコースに壺漬けカルビなどが追加
・プラチナコース 4180円(税抜、大人) メニュ−120種類以上
*黒毛和牛のカルビや牛タンが追加
ロードサイドを中心に展開する焼肉チェーンと同じく梅・竹・松の価格設定だが、今ひとつパンチが弱い。ただ、これだけのメニューをそろえているということは、肉質は一定に保たれているはず。期待感の高まりとともに、店舗に行ってみた。
ジェラートショーケースが印象的な店内
東京と新潟を結ぶ246.3キロの関越道。東京から約60キロ北進すると、長期連休に20キロ以上もの渋滞が起こる花園インターチェンジがある。
このインターチェンジを降りて、大型トラックと乗用車が行き交う片道2車線に合流。そこから車を走らせること約5分。コンテナ型のホテルやホームセンターが並ぶロードサイドに店舗はあった。
建物の外観はシックであり、デカデカと店名が書かれていた。もしかすると全国のロードサイドを制圧する焼肉キングを追いかけようとした焼肉チェーン店だったのかもしれない。

駐車場も広い(写真:筆者撮影)
1階の入り口を通り、2階の店内へ入ると店員さんが席へと案内してくれた。セルフ化の進むチェーン店が多い中、接客してくれるのは珍しい。
店内も外観と同様に落ち着いている。内装は木目調に統一されており、入り口には長さ2メートルほどのジェラートケースが置かれていた。
ステンレスのフレームに曲線の分厚いガラスがはめられていて、高級感のある佇まいだ。普段はあまり見ない機械との遭遇にテンションが上がる。

迫力のあるジェラートショーケース(写真:筆者撮影)
サイドメニュー豊富な食べ放題
さて、ランチの食べ放題のメニューを見ていきたい。提供時間は11:00から15:00。制限時間は100分でラストオーダーは80分だ。食べ放題は約40分を超えると限界に達しやすい。ダラダラとジェラートタイムを取ることを考えても十分に余裕のある設定だ。
オーダーはQRコードを読み取って、メニューを選択する方式。写真が表示されるので、非常にわかりやすい。

セルフオーダーは直感的に操作できる仕様(写真:筆者撮影)
気になるバイキングのメニューは約70種類だ。メインとなる牛肉はロースとカルビの2種類。豚カルビや鶏ももなどもそろえており、ホルモンやレバーなどの内臓系もある。必要最低限なラインナップだ。
正直な話、ここだけ見るとコロナ禍前に流行していた格安焼肉食べ放題店と同じように見える。
しかし、ここの食べ放題の魅力は格安なだけではない。サイドメニューが豊富なのだ。キャベツやフライドポテト、から揚げ、杏仁豆腐、それにビビンバもそろっている。
ここにドリンクとジェラートも加わる。テーブルオーダー式のランチ食べ放題ではドリンクやデザートが別会計になることも少なくない。オールインのパッケージになっているため、安心して食べ放題に臨むことができる。

シンプルなメニュー構成(写真:筆者撮影)
早速、ファーストロットを頼むことに。キャベツ、牛カルビ、ロース、豚タン、鶏もも、ご飯をチョイス。ほとんど待つ時間もなく猫型のロボットが皿を運んできた。それぞれの皿にメニュー名を書いた紙が貼ってあって、肉の部位も一目瞭然だ。

牛・豚・鳥・野菜・ご飯の焼肉フルコースが完成(写真:筆者撮影)
「胃袋が目覚める」豚タンから実食
まずは、お肉たちを網の上にドバッと放り込む。炎が立ち上り、徐々に肉の色が変わる。香ばしい匂いに包まれ、ひとりで網を占有するよろこびを噛みしめていると、すぐに肉の色が変わった。食べごろだ。

網を占有すると焼肉皇帝に即位した気持ちになる(写真:筆者撮影)
最初に食べたのは豚タン。提供された時には冷凍のままだったので、少し不安はあったが、弾力があって食べやすい。一気に胃袋が目覚めた。
続いてメインの牛肉だ。ロースとカルビの2種類しかないため、肉質が今ひとつだと食べ放題は台無しになる。緊張しながらロースを口へ放り込むと、食感のいい赤身の味を堪能できた。いくらでも食べられる味でホッとする。
カルビはどうだろうか。見た感じでは脂身がツヤツヤとしていて、松屋のカルビ焼肉定食のカルビそっくりだ。筆者の好物と同じビジュアルをしていることにうれしくなり、タレをつけて口へ運ぶ。完全に正解の味である。

脂身はすばらしいカルビ(写真:筆者撮影)
意外においしかったのがオリジナルメニューのけむり焼きシリーズ。選べる肉は、豚ホルモン・鶏皮・鶏もも・鶏ヤゲンの4品。
筆者のおすすめは鶏皮と鶏もも肉である。スモーキーな下味がついていて、炭焼の焼き鳥を食べるような感覚を味わうことができる。ご飯だけではなくビールにも合いそうだ。

スモーキーでプリプリな鶏もも(写真:筆者撮影)
屋台感覚のサイドメニューも楽しい
ひと通り肉を楽しんだ後にいただくのは、待ちに待ったサイドメニュー。フライドポテトとコーンバターを注文し、普段のランチでは食べない屋台のような食事を楽しんだ。

たまに食べたくなるコーンバター(写真:筆者撮影)

いつもと変わらないフライドポテト(写真:筆者撮影)
そして、締めには石焼ビビンバだ。カルビを追加し、ご飯にオン。スプーンでかき込んでいくと汗がじんできた。満腹になり、満足感が高い。残りは別腹のデザートを残すのみだ。

石焼ビビンバにカルビをトッピング。食べ放題は、こういうカスタマイズも楽しい(写真:筆者撮影)
ジェラートケースに行ってみると20種類ものアイスがこちらを向いていた。1度に選べるのは3種類。
熟考を重ねて、黒ゴマ・チョコチップ・ストロベリーヨーグルトを選んでみた。
食べてみるとめちゃくちゃ甘い。ジェラートはアイスクリームよりも保管温度帯が高く、空気が少ないため、食感も滑らかだ。脂と塩気との戦いから一転。サウナの後に入る水風呂のように身体がリフレッシュした。

黒ゴマ・チョコチップ・ストロベリーヨーグルトのジェラート3種類(写真:筆者撮影)
謎チェーンはお得な「プチ贅沢焼肉店」だった
食べ放題を終えた13時前に店内を見渡すと席が半分以上埋まっていた。「久しぶりだなー」と言いながら入店する男性客がいて、店員さんも「いつ以来ですか?」とフランクに会話している。コロナ禍前の居酒屋チェーンのような活気がある。
「焼肉食べ放題 俺の店」は、価格が非常に安く、満足感も高く、ジェラートで非日常感も味わえる店舗だった。
焼肉業界には向かい風が吹き荒れているが、お得なプチ贅沢焼肉店としてこれからも継続してほしい。