極端な偏食で健康被害!体に良いと思い始めた食生活でとんでもない症状が

偏食によりとんでもない症状が現れることがある。ある30代の女性は毎日、朝・昼・晩の3食すべてで牡蠣を食べていた。

彼女は以前、胆石と診断されていた。肝臓で作られる胆汁が固まってできる胆石。これが胆のうの出口を塞いだことで腫れ、激しい痛みを引き起こしていたのだ。

胆石ができる大きな要因はコレステロールの摂りすぎだと言われている。彼女は手術で胆石を胆のうごと取り除き、そこから食生活を見直すことになり、ハマったのが牡蠣だった。牡蠣に豊富に含まれるタウリンには、血中コレステロールを下げる働きがあり、胆石の成長を抑える効果があるとされている。

さらにヨーグルトも体に良さそうと思い毎日3食。そして食物繊維が豊富に含まれている大豆も、胆石予防に効果があると言われているため毎日食べていた。一応は、食パンとチーズも食べたが、胆石ができては大変だと牡蠣、ヨーグルト、大豆、食パン、チーズの5品以外は一切口にせず、この食生活が体に良いと信じて疑わなかった。

しかし体に異変が。仕事中、膝の裏がつっぱるような感じがあった。やがて両手と両足の膝から足先まで、正座をした後のようなビリビリとした痺れが起き、その症状は日に日に強くなった。そしてついに、歩くことすらままならないようになった。

彼女は脳神経外科を受診。「脳の異常の場合、体の片側だけに症状が出ることが多いので、あなたの場合は脳が原因ではないと思います」と診断され、それなら足の筋肉に異常があるのかと整形外科へ行きレントゲンを撮ったが、「異常はありません。紹介状を書きますので大きな病院で詳しい検査をしてもらってください」と診断される。

この時点で、誰も彼女の偏食のせいだとわからず、原因不明のまま総合病院で精密検査を受けることに。

手足の筋力を調べると、痺れてはいるが筋力はあった。一方で「では目を閉じてください」「今、指を動かしてるんですが上と下、どちらに動かしたか分かりますか?」と聞くと、親指をどっちに動かしているか方向が分からなかったという。立つことも出来るが足を閉じると立っていられず、原因を探るため、MRI検査、髄液検査、血液検査を行った。

MRI検査である異常が見つかった。脱髄という脊髄の神経細胞を守る髄鞘が剥がれている状態。実際の写真では、脊髄の中がうっすら白くなっている。

脊髄が白く映るだけでは様々な症状が考えられるが、後ろ側に異常があるこの画像は、ビタミンB12の欠乏による脊髄症に類似していた。

そこで血液検査でビタミンB12の欠乏を確かめると、ビタミンB12は正常。しかし血清銅が43しかなかった。血清銅とは、血液中の銅の量のことで、基準が70~130のところ、この女性は43と著しく低下していたのだ。

銅は、レバーやナッツ類などに多く含まれている生命維持に欠かせないミネラルで、鉄分を体内に運びヘモグロビンの合成を手助けしたり、神経伝達物質の生産を助ける役割も担っている。

検査を経て、病名は「銅欠乏性ミエロパチー」と告げられた。銅の不足により、体内のエネルギーを作ったり神経の機能維持に関わったりする酵素が十分に働くことができなくなることで脊髄神経系に障害が起こり、手足の感覚異常や歩行障害が現れる病気だ。

医師は「普段は自炊ですか?」と質問をし、ようやく驚きの食生活を知ることになる。女性は「毎日、牡蠣を食べているんです。20個くらい」と回答し、医師は「銅が不足した原因は、亜鉛の過剰摂取ですね」と原因を発見した。

牡蠣には亜鉛が豊富に含まれており、亜鉛は、細胞の生成を促し傷を治すなど免疫機能を維持する大切な役割がある。しかし亜鉛を取りすぎると、銅の吸収が阻害され銅欠乏が起こるのだ。成人女性の亜鉛の1日の摂取目安量は8mgとされているが、この女性は1日だけで合計70mg。牡蠣だけでも40mgも含まれている。彼女はなんと摂取目安量の8倍以上もとっていた。

しかも女性は牡蠣を含んだ5品しか食べないこの食生活を、なんと5年以上続けていた。もちろん1回の食事で牡蠣をたくさん食べても問題はないが、さすがに5年以上は体に良くない。

その後、脚のつっぱりを軽減するための薬を服用し、バランスのとれた病院食を食べて過ごし、入院して経過を見た。

病院食を食べて過ごし、約1ヶ月後には銅の値は正常に戻った。手足の痺れやつっぱりといった症状はまだ残っていたが、もし元の食生活を続けていたら脊髄の障害が悪化し、下半身不随になっていた可能性もあった。

極端な偏食は思わぬ健康被害をもたらすことがある。バランスの取れた食事が大切だ。