「中居氏の騒動」幕引き後も泥沼化させる"真犯人"

この1週間でカオスのような状態に…, 早く解決したいのに長期化する矛盾, 中居氏、相手女性への批判が再燃, 「第三者委員会制度は死んだ」と批判, 「世間にも公表せざるをえない」という状態

“幕引き”されたはずの中居氏の騒動、ますます泥沼化しています(写真:今井康一撮影)

中居正広氏の芸能界引退から4カ月余り、フジテレビの第三者委員会が会見を開いて2カ月余りが過ぎた今なお、一連の騒動は落ち着かず、むしろこの1週間で再点火された感があります。

【写真】中居氏の騒動に“燃料を投下してしまった”投稿

この1週間でカオスのような状態に…

以下にこの1週間の主な動きをあげていきましょう。

5月30日、中居正広氏の代理人弁護士が第三者委員会にあらためて「性暴力」認定した調査報告書の証拠やヒアリングの記録などを6月6日までに開示するよう求めました。

しかし、その数時間後、女性の代理人弁護士は「コメントする立場にはありません」としたうえで、「事実と異なるものであり、看過できない」と抗議。さらに「報道機関に公表する文書において、あえて中居氏がこのような言及を行ったことは、女性Aに対するさらなる加害(二次加害)に他ならない」などと非難しました。

6月3日、第三者委員会は「被害者へ二次被害を与える懸念がある」などの理由から中居氏サイドの求めを拒否。2度目の「ゼロ回答」にとどめただけでなく、「今後のやり取りを差し控える」と交渉の打ち切りを発表しました。

4日、「週刊文春 電子版」が「《フジ中居問題》X子さん怒髪天の肉声 中居正広との失恋説に『好意を持ったことなどない』」という記事をアップ。ネット上に浮上した「失恋の末に中居氏を貶めた」などの論調を全面否定し、誹謗中傷や脅迫の被害に悩まされていることを明かしました。

5日、フジテレビの清水賢治社長は港浩一前社長と大多亮元専務を提訴することを発表。さらに、被害者である女性社員に寄り添わず中居氏の便宜を図った元編成部長への1カ月の懲戒休職と4段階の降格処分なども明かしました。

中居氏、相手女性、第三者委員会、フジテレビ、「週刊文春」、さらに、ネットメディアの記事、橋下徹さんや古市憲寿さんら著名人の発信、世間のコメントなどが加わり、まさにカオスのような状態と言っていいでしょう。

なぜ第一報からまもなく半年になる現在も騒動が続いているのか。当事者が多く、記事やコメントが乱立する中、ここではビジネスパーソンがミスリードされないために、客観的な視点からそれぞれの現状などをあげつつ論点を整理していきます。

早く解決したいのに長期化する矛盾

本来、中居氏、相手女性、フジテレビなどの当事者たちにとってこの問題は一日も早く解決させて新たな日々を歩みはじめたいところでしょう。また、すでに解散したであろう第三者委員会も騒動が長期化することを望んでいるはずがありません。

雑誌が売れ、有料会員数やページビューが増える週刊文春、そして追随して報じるメディアのみに望ましい状況が続いています。

では、なぜ当事者たちが早く終わらせたい問題なのにここまで長期化しているのか。

まず中居氏の現状としては、代理人弁護士を通じて第三者委員会の調査報告書に「一個人の名誉・社会的地位を著しく損ない、極めて大きな問題がある」などと反論。証拠などの開示を求めているという段階で、「第三者委員会から拒否されたことで、次にどんな動きを見せるのか」に注目が集まっています。

ネット上にはこれらの行動に「悪あがき」「往生際が悪い」などと否定する声があがっていますが、なぜ中居氏サイドは批判覚悟で動いたのか。

それは「『性暴力』という日本語から一般的に想起される暴力的または強制的な性的行為の実態は確認されなかった」「中居氏が守秘義務解除を提案していた」「約6時間にわたってヒアリングに応じたものの、報告書には発言の要旨がほとんど反映されていない」という主張から、多少の名誉回復を目指すものとみなすのが自然でしょう。

第三者委員会はその求めに応じていませんが、関係者や世間に向けたダメージ軽減という点では多少の効果は得られた感があります。

この1週間でカオスのような状態に…, 早く解決したいのに長期化する矛盾, 中居氏、相手女性への批判が再燃, 「第三者委員会制度は死んだ」と批判, 「世間にも公表せざるをえない」という状態

中居氏による行為が「性暴力」であったと明記された調査報告書(写真:フジテレビ公式サイトより)

5月30日に弁護士が発表した文書には、「前提条件である調査対象を無断で途中変更しながら、十分な検証手続きも踏まなかったという事実は、自由心証を逸脱した『だまし討ち』に等しく、中居氏は『愕然とした』『驚愕した』と述べています」「両者には複数回の会食の機会があり、中居氏と彼女は家族やプライベートの出来事に関して様々なやりとりもあり、メールで『勇気づけられた』等のお礼をもらうような関係でもありました」という文章がありました。

中居氏、相手女性への批判が再燃

調査報告書には記載されていない中居氏と女性の関係性を明かし、あえて「だまし討ち」「愕然」「驚愕」という強烈なフレーズを使って注目を集めようとしたところにも、名誉回復を目指した様子がうかがえました。

実際、第三者委員会への求めは「中居氏の人権救済のため」という目的が明かされていますが、調査報告書に掲げられた性暴力の定義と世間の受け止め方とのギャップを証明することなどは困難でしょう。

弁護士も中居氏のみの聴取だけで訴訟を起こすリスクは高く、「もし第三者委員会を訴えたとしても勝てないのでは」とみる声が多数派を占めています。

さらに中居氏に対しては、「記者会見を開いて自分の口で説明しない」「弁護士を通して意思表示するのみにとどめている」という姿勢もあって批判が再燃している感は否めません。

一方、相手女性サイドは本人、弁護士ともに「中居氏サイドの動きに反論する」という状態を余儀なくされています。また、主に橋下徹さんらが第三者委員会の対応を批判していることも加わって本人への誹謗中傷や脅迫が続き、日々の活動にも批判的な声が書き込まれるなどの精神的な負担も懸念の1つでしょう。

しかしその一方で、第三者委員会は二次被害の恐れをあげて回答を避けたのに、本人サイドが「週刊文春」を通して具体的な反論をすることを疑問視する声があがっています。

「極めて親しい友人が週刊文春に語る」という形の記事に、「なぜ本人が弁護士を介してではなく、友人が週刊誌に語るのか」と感じてしまうのでしょう。

いずれにしても、中居氏サイドが動き続ける限り、さらに、フジテレビが旧経営陣を提訴することもあって、女性サイドもまだまだ「看過できない」という状況が続いていくのではないでしょうか。

「第三者委員会制度は死んだ」と批判

次に第三者委員会は、中居氏サイドに交渉打ち切りを発表しましたが、まだ訴えられる可能性などがあり、さらに橋下さんや古市さんらの批判もあって世間からの批判が徐々に向けられはじめています。

その橋下さんは自身のXで、「第三者委員会は中居氏にとって中立でも最終決定権者でもない。勘違いも甚だしい。第三者委員会制度は死んだ」などと厳しくコメント。

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厳しい言葉で第三者委員会を批判する橋下徹氏(画像:橋下氏の公式Xより)

さらに「第三者委員会は中居氏に不利な事実認定をしたのだから、少なくとも中居氏代理人とプロ同士の守秘義務契約を交わして、中居氏代理人に証拠を開示すべきだ。中居氏には証拠を吟味し、反対尋問する権利がある。証拠の開示もなく、ある人間の行為を性暴力認定するなど、検察組織や裁判所でもやらない。フジ第三者委員会は何様だ?」と続けました。

古市さんも自身のXで、「『二次被害』を理由に回答を拒否するなら、そもそも3月31日、報告書も関係者だけに開示して、世間に公表しなければよかった。それなのに竹内朗弁護士たちは、わざわざ記者会見までしている。『二次被害』というマジックワードを武器に、説明責任から逃げ続けるなら、第三者委員会の信頼性そのものが失われかねない」などと批判。

この1週間でカオスのような状態に…, 早く解決したいのに長期化する矛盾, 中居氏、相手女性への批判が再燃, 「第三者委員会制度は死んだ」と批判, 「世間にも公表せざるをえない」という状態

古市憲寿氏も第三者委員会の問題点について指摘した(画像:古市氏の公式Xより)

また、「フジテレビ第三者委員会の問題は、多くの人(たとえば会社員)にとっても他人事ではない。警察でも裁判所でもない組織が、急にあなたを犯罪者のように扱ってくる可能性がある。だが国家機関でも何でもないから、反論の機会が確保されてもいない。現在の第三者委員会制度の決定的な欠点だと思う」と続けました。

ネット上には、中居氏の行為に問題があったこととは別に、第三者委員会のあり方を問う声があがりはじめています。

もともと第三者委員会に対しては、「中居氏の性加害認定は職域を超えている」「示談が成立済みなのになぜ?」などの指摘もありました。中居氏サイドへの交渉打ち切りを発表しても、まだ対応せざるをえない状況が続きそうなムードが漂っています。

この1週間でカオスのような状態に…, 早く解決したいのに長期化する矛盾, 中居氏、相手女性への批判が再燃, 「第三者委員会制度は死んだ」と批判, 「世間にも公表せざるをえない」という状態

相手女性の反論に対し、「女性側から事実を聞いてもいい」と投稿した橋下氏(画像:橋下氏の公式Xより)

「世間にも公表せざるをえない」という状態

フジテレビは「6月25日の株主総会に向けてやれることはやっておく」という段階なのでしょう。旧経営陣の提訴や当事者の処分を発表したこともその1つであり、どう評価されるのか、現経営陣にとっては正念場。はたして現経営陣が旧経営陣を裁けるものなのか。

たとえば、「会社全体ではなく旧経営陣だけに責任を押し付けている」「今回の性加害はともかく過去のハラスメントやガバナンスの機能不全を現経営陣もある程度知っていたのではないか」などの反論もありうるでしょう。

ここまで中居氏、相手女性、第三者委員会、フジテレビの現状をあげてきましたが、それぞれの対応が世間に発表され、メディアが大々的に報じていることが騒動を長期化させている最大の要因と言っていいかもしれません。

今後も「当事者に伝えるだけでなく、世間にも公表せざるをえない」という状態が続く限り、多くの人々にとっての関心事になりそうです。

そして「週刊文春」は営利企業である限り、中居氏とフジテレビの件をまだまだ報じるでしょう。それに他のネットメディアが追随し、さらに多くの人々がコメントしていく。関係者の数が多いほど対立構図が生まれやすく、ネット上は批判的な記事やコメントほどヒートアップしやすいため、混乱は増していきます。

まだまだこの件でメディアやコメントのあり方を考えさせられる事態が続いていくのでしょう。

現在は「それぞれの立場から主張する」という状態が続き、いずれも決定打にはならず、世間の印象は悪化していく一方。決着が見えづらい中での消耗戦が続き、法廷での争いに突入するのか、長い時間をかけてのフェードアウトになるのか。

いずれにしても当事者には不安な日々が続くことが推察されるだけに、それを見る私たちは冷静な言動を心がけたいところです。