「言葉が出てこない」「片方の手が痺れる」…今すぐ病院へ!脳梗塞発症の危険性がある15の症状【専門医が警告】

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重い障害が残ったり、発症後数時間以内に命を失う場合もある脳梗塞。その原因や前兆となる症状、発症した際の周りの対応、最新の治療、そして日頃の生活でできる予防について、専門医に聞いた。(取材・文/日本文章表現協会代表理事 西田延弘)
発症は高齢になるほど高いが
若い年代でも起こりうる
脳梗塞は脳の血管が血栓(血の塊)によって詰まり、脳細胞が壊死してしまう病気だ。後遺症として、運動障害や言語障害、感覚障害などが起こり、死に至ることもある。
「脳の血管が破れて出血してしまうと脳出血、脳を覆っているくも膜と脳との間にある空間に出血が起こると、くも膜下出血になります。脳梗塞と、この2つの病気を合わせて『脳卒中』と呼びます。発症年代別の割合は高齢になるほど多くはなりますが、若い年代でも起こりうる病気です」
こう話すのは、国立研究開発法人国立循環器病研究センター副院長の豊田一則氏だ。
「脳梗塞の主な原因は、肥満や高血圧、脂質異常症によって動脈硬化が起こることです。若い年代でもインスタント食品や加工食品の過剰摂取などによるバランスの悪い食事は、ビタミンB群の摂取不足を招きやすくなり、それによってホモシステインというアミノ酸の濃度が高くなると、若年性の動脈硬化を引き起こすおそれがあります」
前述のように、脳梗塞は脳の血管が詰まって引き起こされるが、その種類は主に3つある。
1 アテローム血栓性脳梗塞
比較的太い脳動脈や脳につながる頚動脈と呼ばれる首の血管などの血管壁にコレステロールなどを含むプラーク(沈着物)が形成され、血液の流れる血管の内腔が狭まることによって引き起こされる。中等症から重症の症状になることが多い。
2 心原性脳塞栓症
動脈硬化や心臓弁膜症などに伴う心房細動(不整脈)などの心臓病によって心臓の中に血液のよどみが生じる。そこで生じた血栓が血液の流れにのって脳の血管に到達することによって引き起こされる。重症になることが多い。
3 ラクナ梗塞
脳の深部にある穿通枝(せんつうし)という細い血管が詰まることによって引き起こされる。比較的軽症が多い。
前兆となる「一過性脳虚血発作」
すぐに収まっても油断できない

豊田一則氏 国立研究開発法人国立循環器病研究センター副院長
脳梗塞では、前兆となる「一過性脳虚血発作」が起こることがある。これは、一時的に脳動脈が詰まることなどによって脳への血流が悪化し、半身の麻痺や感覚障害、言語障害、視覚障害などの症状が起こることだ。
「一過性とあるように、この症状は多くの場合数分から数十分程度で解消されますが、一時的に血流が回復したり血栓が溶けたりしただけで、脳梗塞を発症しやすい状態であることに変わりはありません。この症状が起こった場合、最初の2週間で脳梗塞を発症する危険性は10%を超えるといわれています」
次のような症状が出たり、周りの人がその症状に気づいたりしたときには、すぐに受診しよう。
・体の左右どちらかに力が入れられない
・食事中に箸やお椀を落としてしまう
・足を引きずってしまう
・顔の半分だけが動かない
・半身の手や足が痺れる・ろれつがまわらない
・言葉がなかなか出てこない(失語)
→相手の言うことはわかるが、返そうと思っても言葉が出てこない(アウトプット障害)。
→相手の言うことが理解できず、理屈に合わないことをしゃべり出す(インプット障害)。・片方の目が見えにくい
・片側が見えない
・ものが二重になって見える・ふらついてしまい、立っていられない
・足元がおぼつかない・ぼーっとして、日時や場所の感覚が不正確になる(軽度の場合)
・意識状態が急激に悪化し、昏睡状態に陥ったりする(重度の場合)
突然隣の人が突然倒れたら?
救急隊に伝えるべき大切なこと
脳梗塞を発症してしまった場合は、一刻も早く治療を行うことが必要になる。もし近くにいる人が、脳梗塞が疑われるような倒れ方をしたらすぐに救急車を呼ぼう。発症した時刻を救急隊に正確に伝えることも大切だ。
「急性期の治療法としては、血栓溶解療法や血栓回収療法などがあります。2005年に認可された血栓溶解療法は、tPA(組織プラスミノーゲン活性化因子:アルテプラーゼ)を点滴し、血栓を溶解させる療法です。治療が早ければ早いほどよく、発症から4時間半以内に治療を行うことが必要です」
ただし、この治療で用いられるtPAは血栓を溶かす作用が強力で、出血を引き起こすリスクがあるため、治療を行うには幾つかの条件をクリアしなければならない。
「血栓回収療法は、カテーテルを通じて血栓回収用機器を脳血管に送り込み、血栓を直接回収する治療法です。この治療法によって、今までなら手足の麻痺などが残っていたような症例でも、後遺症なく退院できるというケースも増えてきています」
本来は発症から6時間以内の治療が推奨されてきたが、近年では症状の程度や梗塞の広がりなどの条件が合えば24時間以内まで可能だ。
いずれの治療法も脳血管を損傷する危険性があり、慎重に、しかも迅速に治療を行う必要がある。脳梗塞の治療は、急性期に症状を悪くさせないことが重要。そのためには早期の治療ほど選択肢が広がるので、発症した際には一刻も早い病院への搬送が必要だ。
脳梗塞予防の効果がある
「地中海式ダイエット」とは
脳梗塞を予防するためには、動脈硬化が進まないよう健康を管理し、血栓を発生させないことが肝要だ。
「動脈硬化は、高血圧や糖尿病、脂質異常、高尿酸血症、メタボリックシンドロームなどによって少しずつ引き起こされます。これらの生活習慣病は自覚症状がほどんどなく、健康診断などで指摘されることによって発見される場合が多くあります。検査でこれらが見つかったら放置せず、積極的に治療を開始することが必要です」
脳梗塞の予防に、減塩は絶対条件。塩分を過剰摂取すると、血圧が高くなり動脈硬化を引き起こしやすくなるからだ。また、ナトリウムを排出し、血圧を下げる作用があるバナナやほうれん草、大豆や牛乳などの高カリウム食を積極的に摂取するよう心がけるとよい(腎機能障害などでカリウム摂取制限を指導されている場合を除く)。
果物や野菜、マメ科植物、全粒穀物、魚、不飽和脂肪酸(オリーブオイルなど)、少量の肉などを食生活の中心にする「地中海式ダイエット」も血圧や脂質代謝を改善する作用があり、動脈硬化を防ぎ、脳梗塞の予防に効果があるとされている。
「適度な運動は血流をよくしますが、運動などで汗を多量にかくときには脱水状態になり、血液が濃縮されて血栓が生まれる危険性が高まります。適切な水分補給が必要です。また、喫煙や多量の飲酒も動脈硬化を促進させます。日頃の生活のあり方を見直し、血栓ができないように注意しましょう」
(監修/国立循環器病研究センター副院長 豊田一則)