キューバの危機救うSBモイネロの善行「模範です」 バットに日本人の名前が並ぶ理由「とても感謝」【U-18W杯】

リバン・モイネロ投手【写真:産経新聞社】
「山川」「SHUTO」キューバ選手団のバットに注目
野球の国際大会「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18野球ワールドカップ」が、沖縄県那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇などで行われている。ここで前身大会を含め、史上最多の11度の優勝を誇るのが野球大国キューバだ。ただ近年はある“危機”に見舞われている。そこを救うのが、リバン・モイネロ投手をはじめとしたプロ野球ソフトバンクの選手たちの支えだという。
この大会、キューバの選手たちを見ていると気づくことがある。使っているバットが、日本人のネームが入ったものばかりなのだ。「SHUTO 23」「山川穂高」と、ソフトバンクの選手の名前がズラリ。選手も「すごくいいよ」とお気に入りの様子だ。
この大会が開幕する直前、キューバ代表に大量の荷物が送られてきた。送り主はリバン・モイネロ。キューバからソフトバンクに羽ばたき、今季も防御率1.08とパ・リーグを制圧している左腕だ。用具ケースを開けると、大量のバットにグラブや打撃用手袋も詰め込まれていた。チームメートから野球用品を集め、送ってくれたのだという。
キューバ野球はかつて、世界最強の名をほしいままにした。五輪では正式競技となって以降6度の大会で3度の金メダル。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも、2006年に日本と決勝を戦い準優勝した。
ただ近年は、国内での野球道具の不足が深刻さを増している。近隣の米国との政治的対立が続き、物資の輸入が難しくなっている。そこで立ち上がったのが、キューバを離れて日本でプレーする選手たちだ。

キューバ選手の使うバットをよく見ると…「SHUTO 23」のネームが【写真:羽鳥慶太】
米国の経済制裁で野球用具が…デスパイネ、モイネロと受け継がれる行動
キューバ選手団のタチアナ・ドミンゲス団長は「野球用具が足りない原因は米国からの経済制裁にあります。スポーツ用品もそうですし、ほかの物資も入りにくくなってきている」と顔を曇らせる。その中で、日本に渡った選手たちの行動に話には感謝の念しかないという。
「デスパイネもやってくれていたし、若い選手たちにとっては本当に模範的な行動を続けてくれています。チームも選手たちも、とても感謝しています」
米国と並ぶもうひとつの野球大国、日本とキューバとの交流の歴史は長く、深い。国際大会がアマチュアだけのものだった時代には、しのぎを削るライバルだった。現在、キューバからは大リーグでのプレーを目指し亡命する選手が後を絶たない。その中でNPBには、政府を通じた派遣という形でキューバ選手がやってくる。代表の強化にもつながる、理想的な形だという。

日本から贈られたボール240個に感謝するキューバ選手団(左端がタチアナ団長、中央が大條さん)【写真:羽鳥慶太】
タチアナ団長は「キューバと日本の連盟、キューバの選手と日本の球団はつながっています。今の若い選手たちにも、いずれ同じ道を歩んでもらえたらと思っています」と、選手がNPBに進み、現在のモイネロと同じく模範となる姿を思い描く。
さらに、草の根の交流も続いている。8日の試合前には、東京都在住の大條晋也さんがボール240個をキューバ代表に寄贈。試合前には選手たちが集まり、感謝の思いを伝えた。15年ほど前、日本でキューバ人と草野球をしたのをきっかけに交流が始まったといい、大條さんはキューバ野球の魅力を「最強の草野球じゃないですか」と口にする。高い身体能力を存分に生かした動きを見せるキューバの選手たち。プレースタイルは全く違っても、日本とはしっかり手を結んでいる。
THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori
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