「いつまで韓国を”永遠のライバル”と呼ぶのか」大谷頼みの侍ジャパン強化試合が盛り上がりに欠ける原因とファンが抱く「秋の強化試合不要説」
「WBC前哨戦」をあおるメディア
15日(土)18時30分~、16日(日)19時~、『ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本vs韓国』の2連戦が行われる。
15日に生放送するテレビ朝日のホームページには、「WBC 連覇へ!2023年WBC、2024年プレミア12 日本は、永遠のライバル“韓国”を相手に、堂々たる勝利を掴んだ。再戦となる今回の強化試合では、力と力のぶつかり合い!そして2026年WBCの1次ラウンドでも激突!WBC連覇へ向け井端ジャパン、再始動。」。
16日に生放送するTBSのPR映像には、「WBC開幕、迫る」「サムライ世界一連覇へ」「踏み出せ、頂へ」という見出しが掲げられている。侍ジャパンの井端弘和監督が今回の強化試合を「ラストサバイバル」と称して盛り上げようとしていることも含め、来春開催のWBCに向けた強化試合であることは間違いないところ。国内のNPBでプレーする選手たちにとっては、大谷翔平らメジャーリーガーが合流する前の重要なアピールの場となるのだろう。

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両試合を放送するテレビ朝日とTBSの事前PRなどからも、「大谷翔平や山本由伸らが活躍したMLBワールドシリーズの盛り上がりをWBCにつなげよう」というムードが感じられる。
しかし、「大谷や山本、ドジャースのフィーバーがそのまま侍ジャパンにはつながらない」と厳しい目で見ているメディア関係者は少なくない。どの理由はどんなところにあるのか。
韓国は「永遠のライバル」にあらず
テレビ朝日は韓国を“永遠のライバル”と掲げて決戦ムードを盛り上げようとしているが、それを真に受けている野球ファンは少ない。
1大会で5度も対戦し、2敗したものの決勝戦でイチローのタイムリーで優勝を決めた第2回WBCが開催されたのは2009年。以降、主要大会で日本代表が韓国代表に負けたのは2015年の『プレミア12』のみで以降は9連勝している(2017年『アジアCS』、2019年『プレミア12』、2021年『東京五輪』、2023年『WBC』『アジアCS』、2024年『プレミア12』)。韓国は10年間負けていない相手に過ぎず、“永遠のライバル”とみなそうとするメディア報道には無理がある。
ちなみにサッカーを見ても、かつては対戦成績で圧倒されていたが、近年ではほとんどのカテゴリーで韓国代表を圧倒。それどころか「眼中にない」「ラフプレーが多いため対戦したくない」というサッカーファンが大半を占めている。
「もはや“永遠のライバル”“宿敵”などとあげるのは韓国サイドか、話題性を高めたい両国のメディアのみ」と言っていいのかもしれない。そのため今回の韓国戦をメディアがあおるほど、大谷らのフィーバーが薄れ、しらけたムードが広がってしまう。

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そもそも「コアな野球ファンを除けば、世間の人々が見たいのはWBCの本番。しかも大谷が出場するかどうかで関心度は大きく上下する」という実情がある。それ以外で注目度が高いのはメジャー組が合流するWBC本番直前の調整試合くらいであり、これまでも侍ジャパンの強化試合は盛り上がったとは言い難い。
実際、侍ジャパンの発足後、コロナ禍を除く毎年、春と秋に強化試合が行われてきたが、その相手をさかのぼっていくと……オランダ、チェコ、欧州代表、オーストラリア、カナダ、メキシコ、チャイニーズタイペイ。それ以外はNPBのチームであり、いずれにしてもメジャーリーガーの参加はなく、ライト層を引きつけるほどの魅力はなかった。
選手ファーストではない活動スタンス
さらにシビアなのは、侍ジャパンの活動そのものが必ずしも野球ファンたちから支持されていないこと。
今回の出場予定選手は、投手が森浦大輔(広島)、隅田知一郎(西武)、大勢(巨人)、高橋宏斗(中日)、曽谷龍平(オリックス)、金丸夢斗(中日)、藤平尚真(楽天)、北山亘基(日本ハム)、平良海馬(西武)、西口直人(楽天)、松本裕樹(ソフトバンク)、松山晋也(中日)。
野手は捕手が若月健矢(オリックス)、岸田行倫(巨人)、坂本誠志郎(阪神)、中村悠平(ヤクルト)。内野手が牧秀悟(DeNA)、佐々木泰(広島)、村林一輝(楽天)、岡本和真(巨人)、石上泰輝(DeNA)、小園海斗(広島)、野村勇(ソフトバンク)。外野手が森下翔太(阪神)、西川史礁(ロッテ)、五十幡亮汰(日本ハム)、岡林勇希(中日)の計27名。
これ以外にも、シーズンの疲労や故障から出場を見送った選手やメジャーリーガーが多いだけに、「今回のメンバーからWBCの本番に選ばれるのは半分いるかどうか」と見られている。さらに言えば、「今回のWBCに選ばれることはほぼありえないだろう」「選ばれるなら次回以降」という若手選手も含まれていることもあって野球ファンの目は厳しい。
それどころか野球ファンの気持ちとしては「疲労困憊でケガが怖い秋は休んでほしい」のが本心。特に故障リスクの高い投手に関しては、「なぜ秋に試合をやらなければいけないのか」「一度シーズンオフになるのだから意味はあるのか」などの声がネット上にあふれている。

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もちろんコミュニケーションの確保やボールに慣れるなどのメリットもあるが、冬のオフ期間をはさむほか、強化試合は春にも行われるだけに、ファンの“強化試合不要論”は根強い。なかには「春と秋に必ず強化試合を組まなければいけない」という侍ジャパンのしがらみを糾弾する声もある。つまり、ビジネスありきのスタンスを感じているのだろう。
選手としても、コンディションの不安、契約年数やFA、チーム事情などから、「この時期は休みたい」「選ばれると断ることが難しい」などの悩みを抱えがちなのがつらいところ。おそらく1月中旬から下旬に発表される本番メンバーの選考も含め、「侍ジャパンの活動に選手ファーストと言えないところが多い」ことをファンは気づいており、強化試合が盛り上がりに欠ける理由の1つとなっている。
強化試合とWBCにおける不一致
そしてもう1つ、侍ジャパンの活動が支持を得られづらい理由になりそうなのが放送と配信のバラつき。
今回の韓国戦は地上波のテレビ朝日とTBSが生放送するほか、Amazon Prime Videoで配信される。ところがWBCの本番は放送がなく、Netflixの配信のみに留まることが明かされるなど、侍ジャパンの試合にまったく整合性が取れていない。
たとえば、今回地上波やAmazon Prime Videoで見た人がNetflixに契約しているのか。春のWBCがはじまったら契約するのかといえば現段階では疑問が残る。熱心な野球ファンは気にならないことでも、ライト層にとっては「野球というスポーツは視聴者にとって親切ではない」という印象になりかねない。
今回のケースは「エンタメは取れるところ(メインターゲット層)から多めに取る」という時代の流れに逆らえないことの証にも見えるが、どんなジャンルであれ、まだ無料と有料の壁がある日本国内ではライト層の支持は得られていない。
あれだけ大谷とドジャースで熱狂してからわずか2週間でその盛り上がりは消えてしまうのか。もし韓国との強化試合を盛り上げ、WBCにつないでいけるとしたら、やはり大谷しかいないのかもしれない。

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たとえば、WBCの参加を正式表明する。あるいは、侍ジャパンへの動画メッセージを球場内で流す。究極の理想を言えば、プレイヤーズゲストとして生放送に出演してもらう……。いずれも実現不可能なのかもしれないが、それくらいのことをしなければ侍ジャパンへの懐疑的な目線を払拭することは難しいのではないか。
「活動はWBC、プレミア12、正式種目時の五輪くらいでいい」「なぜ選手と球団に負担とリスクを強いる強化試合を年2回もやるのか」などと言われないためには、スーパースターのプレー以外での協力が必要に見えてしまう。