「もう年だから」は老化を加速させる? 皮膚科医が語る若々しさを保つ心の持ち方と生活習慣

■保湿クリームでしっかりケア 乾燥は肌の大敵, ■38~40度のぬるめのお湯に浸かることで血行促進と保湿効果, ■「もう年だから」と言わない! 前向きな意識とセルフイメージ, ■うつぶせ寝はシワ増加のもと? 体圧分散枕で対策

「もう年だから」という言葉が口癖になっていませんか?その一言が、無意識のうちに自分自身の可能性にフタをし、肌の老化を早めているかもしれません。若々しさを保つ秘訣は、スキンケアや食事だけでなく、前向きな心の姿勢にもあります。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師の著書『大学病院の美容皮膚科医が教える 最新医学でわかったシミ・シワの「消し方」』(朝日新聞出版)から抜粋して、ポジティブな意識がもたらす心理的効果と、肌年齢に影響を与える睡眠時の姿勢について解説します。

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■保湿クリームでしっかりケア 乾燥は肌の大敵

 年齢による肌老化のサインは、シワやたるみに加えて、乾燥というかたちで現れることが多いと言われます。加齢とともにセラミドや天然保湿因子(NMF)が減少するため、角質層に潤いを閉じ込める力が弱まり、外部刺激に敏感な状態を作ってしまいます。そのため、若々しい肌を保つために欠かせないのが「保湿クリーム」の存在です。

 保湿クリームは、化粧水や美容液で補給した水分が蒸発するのを防ぎ、さらにバリア機能をサポートします。特に、ヒアルロン酸やセラミド、スクワランなどの保湿成分が豊富に配合されたクリームは効果的。乾燥する季節はもちろん、エアコンの効いたオフィスや就寝中の乾燥した室内では念入りなケアが求められます。

 また、朝晩のスキンケア時に保湿クリームを塗るだけでなく、日中も乾燥を感じたらミスト状化粧水や軽い乳液でこまめに潤いを補給する習慣がある人は、肌年齢を若く保っている傾向が強いです。常に「自分の肌の状態」を観察し、適切なタイミングで水分・油分バランスを整えましょう。

■38~40度のぬるめのお湯に浸かることで血行促進と保湿効果

 忙しい現代人はシャワーだけで済ませてしまうことが多いかもしれません。しかし、若々しい肌を保っている人は、湯船に浸かる習慣を大切にしています。それも、熱すぎない38~40度の「ぬるめのお湯」がポイントです。高温のお湯は肌の表面の皮脂を奪いやすく、かえって乾燥させる原因となります。一方、ぬるめのお湯は皮脂を過剰に流さず、血行をじんわり促進し、肌細胞への栄養供給と老廃物の排出をスムーズにします。

 また、湯気によるスチーム効果で毛穴が開き、古い角質や汚れが落ちやすくなるため、その後のスキンケアの効果も高まります。入浴後に保湿ケアを行えば、有用成分が肌の奥深くまで浸透しやすくなり、結果として肌が柔らかく、ふっくらとした質感を取り戻します。入浴は単なる習慣ではなく、心身を癒やし、肌を健やかに保つ大切な美容時間と言えるでしょう。

■保湿クリームでしっかりケア 乾燥は肌の大敵, ■38~40度のぬるめのお湯に浸かることで血行促進と保湿効果, ■「もう年だから」と言わない! 前向きな意識とセルフイメージ, ■うつぶせ寝はシワ増加のもと? 体圧分散枕で対策

■「もう年だから」と言わない! 前向きな意識とセルフイメージ

 若々しい肌を保っている人々は、年齢や老化現象をいたずらに恐れてはいません。むしろ、年齢を重ねることを一つの経験値の蓄積として捉え、今の自分にできるケアや習慣を見極めて実践しています。こうした前向きな心の姿勢が、肌老化を加速させるストレスを軽減するのです。

「もう年だから」「若い頃みたいにはいかない」といった言葉を口にしたり、考えたりすることは、単なる口癖や思い過ごしで終わってはくれません。心理学で「プライミング効果」と呼ばれる現象が、ここで働いています。プライミング効果とは、プライマーという先に見聞きした情報(言葉やイメージ)が無意識のうちに、その後の思考や行動に影響を与えるというものです。

 つまり、「もう年だから」というネガティブな言葉(プライマー)に繰り返し触れることで、私たちは無意識のうちに「年相応に振る舞わなければならない」「新しい挑戦は難しい」といった自己制限的な思考パターン(ターゲット)を強化してしまいます。これは、自分自身の可能性に自らフタをし、変化への意欲や行動力を低下させることにつながりかねません。

 逆に、「まだまだこれから」「今できることに集中しよう」「いつでも改善の余地はある」といったポジティブなセルフトークを意識的に行うことは、非常に有効です。これらの肯定的な言葉は、ポジティブなプライマーとして機能し、私たちの思考をより柔軟で前向きなものへと導きます。

 このような肯定的なマインドセットを持つことで、「年齢にとらわれず、新しいスキンケアを試してみよう」「健康のために、できる範囲で運動を始めよう」といった、具体的で積極的な行動へとつながりやすくなります。心理学的な根拠に基づいたセルフマネジメントは、単なる精神論ではなく、実際に私たちの行動変容を促す力を持つのです。

 結果として、ポジティブな思考が良い習慣を生み、その習慣が継続することで、肌の状態や心身にも良い影響が着実に蓄積されていく、という好循環が生まれます。

 若々しさを保つことは、単に外見の問題ではありません。それは日々の行動や考え方によって、自分自身をより生き生きとさせる精神的なプラス要因ともなります。自分を諦めることなく、可能性を信じて行動する人ほど、その内面的な輝きが肌にも現れ、自然と若々しい印象を与えるのです。

■うつぶせ寝はシワ増加のもと? 体圧分散枕で対策

 睡眠時の姿勢も肌に影響を与える重要な要因です。特にうつぶせ寝は、枕や寝具が長時間顔に接触し、圧力や摩擦によってシワが刻まれやすくなります。長年続けることで、表情筋によるシワとは異なる「寝ジワ」が蓄積され、肌年齢を実年齢以上に引き上げてしまう可能性があります。

 こうした問題に対して、最近では顔への圧力を均一に分散する特殊な枕や、摩擦を軽減するシルク素材の枕カバーが注目されています。ある研究では、圧力を分散する枕を使うことで、うつぶせ寝の時の顔全体のシワが約12%減少したとの報告もあります。若々しい肌を保っている人は寝具選びにも気を配り、自分の寝姿勢を見直すことで、無意識のうちに刻まれるシワを防いでいます。

 もちろん、枕やカバーを変えたからといって劇的な変化が一夜で起こるわけではありません。大切なのは、長期的な視野で小さなケアを積み重ねる姿勢です。睡眠は人生の約3分の1を占める重要な時間であり、その過ごし方次第で肌年齢にも影響が及ぶことを理解しておきましょう。

■保湿クリームでしっかりケア 乾燥は肌の大敵, ■38~40度のぬるめのお湯に浸かることで血行促進と保湿効果, ■「もう年だから」と言わない! 前向きな意識とセルフイメージ, ■うつぶせ寝はシワ増加のもと? 体圧分散枕で対策

*書籍『大学病院の美容皮膚科医が教える 最新医学でわかったシミ・シワの「消し方」』(朝日新聞出版)より

大塚篤司 おおつかあつし

近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授、医師。千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。2021年、教授就任を機に、近畿大学医学部皮膚科に美容チームを立ち上げた。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)などがある。

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