インフレが進むロシア:物価高で国民食が高級グルメに?
手が届かない存在になるボルシチ

ボルシチはビーツを主成分とする赤い色をした煮込み料理で、ウクライナやロシアなどで人気がある。しかし、インフレが進むロシアでは、ボルシチの価格も上昇しており、庶民にとり高嶺の花となりつつある。
インフレで主な材料が軒並み値上がり

ボルシチの主な材料はビーツにジャガイモ、タマネギ、キャベツ、パン、それに肉類と、基礎的な食料品ばかり。だが、ロシアではここ数ヶ月、急速に侵攻したインフレのせいで、こういった食品の値段も急騰している。
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クリミア併合後の制裁が発端

仏経済誌『Capital』によると、事の発端は2014年、ロシアによるクリミア併合を受けて種々の制裁が発動した時だという。元教員のナタリア・アトゥチナ氏は制裁によって、基本的な食料品の価格が上昇したと主張している。
悪化するインフレ

ウクライナへの全面的軍事侵攻やそれに起因する人手不足で、その後もインフレ率は下がらなかった。露経済紙『Kommersant』いわく、ここ数ヶ月だけでもボルシチに必要な材料のほとんどが大幅な価格上昇を見せているという。
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二桁%の値上がり

例えば、5月の数字ではタマネギは前年比87%、キャベツは56%、ビーツは12%値上がりしていたという。どれもボルシチには欠かせない品だ。唯一トマトだけは1.2%の値上がりに留まっている。
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肉類も値上がり

ボルシチには肉類を加えることも一般的だが、それも値上がりしている。豚肉だけでも、バラは22%、肩ロースは21%、ハムは19%値上がりしている。1頭単位でみると全部で30%の値上がりだ。
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ジャガイモは世界平均の3倍

とりわけインフレの影響が大きいのがジャガイモだ。前年比166%もの値上がり幅で、ロシアのジャガイモは世界平均の3倍もの価格となっている。しかも、ジャガイモはロシアでは主食のひとつで、ひとりあたり1年に131キロも消費する食材だ。
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生産コストが増大

インフレの主な原因は生産コストの増大とされる。燃料代や電気代が上昇したことで特に養豚コストが増大、それが小売価格に転嫁されているのだ。
侵攻により耕作が困難に

もちろん、ウクライナ侵攻もインフレの主要な原因だ。ロシアにおける主要なジャガイモ産地であるブリャンスク州はウクライナ国境に面しており、耕作が非常に困難となっている。
人手不足

さらに、ロシアは人手不足にも悩まされており、労働者、特に移民労働者はより給料の良い工業に流れてしまう。こういった事情が農産品のインフレ傾向に拍車をかけている。
プーチン政権の弱点?

ロシア政府は以前から食料自給率100%達成を目標として掲げているが、昨年は不足を補うためにエジプトから54万8,000トンのジャガイモを輸入せねばならなかった。もはやロシアは自国の食糧も賄えていないことが世界の眼に明らかとなった形だ。
消費者の購買力が低下

食料品のような生活必需品におけるハイパーインフレの進行はロシア消費者の購買力を大きく低下させている。政府による情報統制やプロパガンダは激しいものの、国民の間には不信感が拡がりつつあると警戒もされている。
家計の3分の1以上が食費に

調査会社「Romir」はレシートの分析を通じて一般家庭の家計を月ごとに集計している。それによると、食費が月々の家計の3分の1に達しているという。「BFMTV」が伝えた。
インフレ率は高止まり

ウクライナへの軍事侵攻開始以来、ロシアのインフレ率は高止まりしている。全体的なインフレ率は今年9月時点で年率8%に達していた。
中央銀行は利下げを決定

ロシア中央銀行は12日、政策金利を1%引き下げて17%とした。揺らぐロシアの経済活動を下支えすることが目的とされているが、依然としてインフレを抑えるには高い利率が維持されている。
国民の不満

ロシア市民にとって現政権に真っ向から異を唱えることは不可能に近いかもしれないが、インフレによる購買力の低下は政権の地盤を脆弱にする可能性はある。ロシアで食費高騰を原因とする反乱が起きる日は来るのだろうか。