都心の廃駅にたたずむ巨大ウサギ 時が止まったままの京成電鉄・旧博物館動物園駅に潜入

京成電鉄の博物館動物園跡のホームに設置されたウサギのオブジェ=2025年12月、東京都台東区(松井英幸撮影)

京成上野駅(東京都台東区)から京成本線に乗り、車窓から外をながめていたら、思わず二度見する光景が目に飛び込んできた。通過した地下駅のホームに、ライトアップされた巨大なウサギがいたのだ。

30年近く前に営業停止

西洋風の外観

ここは、京成上野駅-日暮里駅(荒川区)間にあった旧博物館動物園駅。上野恩賜公園(台東区)のほぼ真ん中に位置し、東京国立博物館や上野動物園の最寄り駅となっていたが、乗降客の減少などを理由に平成9年に営業休止、16年に廃止された。

落書きが残ったままの看板

ウサギは30年11月のアートイベントで展示されたオブジェだ。穴を掘るように鼻先を地面に突っ込んでいる。開催中は駅舎地上部のドーム屋根の下にあった。イベント終了後に撤去する予定だったが、「撤去するには惜しい」との声があがり、走行中の車窓から見えるホームに移された。

旧博物館動物園駅の切符売り場

落書きもそのまま残る駅構内

駅舎は今も営業休止当時の姿をとどめている。駅構内の落書きもそのままだ。30年4月には、鉄道施設として初めて東京都選定歴史建造物に選ばれた。

ウサギのすぐ脇には、かつて使われていた切符売り場があった。京成上野駅の岩井衛駅長によると、晩年は停車する列車の数が減り、駅員1人で業務を行う「一人業務駅」となったという。

列車が通り過ぎると、ホームは再び静けさに包まれる。人の姿はなく、残るのは逆さのウサギと古びた駅舎だけだ。電車移動という日常の中で、ほんの一瞬だけ出会える、不思議で非日常感のある光景となっている。

京成電鉄は今後、旧博物館動物園駅を不定期なイベントで活用したい考え。駅としての役目を終えた後も、新たな表現の場としての可能性を秘めている。

(文・写真 松井英幸)

松井英幸

平成24年入社。制作局でシステム管理や取材支援を担当、令和2年より写真報道局のニュース担当へ。 東京写真記者協会で令和4年に海外スポーツ部門賞、6年に国内企画部門賞を受賞。