国民民主"連立入り"遮る「連合よりも厄介」な壁

三重県伊勢市で年頭会見を行った国民民主党の玉木代表。"おいしい立場”はいつまで続くか(写真:時事)

永田町で2026年最大の焦点といえば高市早苗首相の「解散戦略」だが、政界関係者の間ではここにきて、一気に自民党との距離を縮める国民民主党の動きが注目され始めている。

【写真あり】国民民主党の連立入りに苦言を呈する2人の人物

自民党内でも、「実態は閣外協力」(同党幹部)にとどまっている日本維新の会との連立の脆弱さを踏まえて、国民民主党を政権に取り込み、「自民・維新・国民民主」の保守派連立政権を樹立させようとの期待が高まっている。

台頭する“保守派結集”の動き

高市内閣は、政権発足から2カ月半が経過した年明けの世論調査でも「異例」ともいえる高支持率を維持している。その背景には、中国と厳しく対峙する高市首相への国民的支持の拡大があることは間違いない。

ただ、高市首相が「頼みの綱」とするアメリカのドナルド・トランプ大統領は、中国を「G2(2大国)」と位置づけており、4月初旬に予定される国賓としての訪中などで“米中連携”を進める構えだ。その場合、「日本がアジアで孤立するという最悪の事態」(外務省幹部)に直面することになる。

そうした状況も踏まえて、政界では高市首相を軸とする“保守派結集”で「防衛力強化による日本の“自立”を目指す動き」(政治ジャーナリスト)が台頭し始めている。

自民党と国民民主党の“接近”もその延長線上にある。国民民主党の玉木雄一郎代表に関しては、「穏健な中道勢力の結集を掲げる野党第1党である立憲民主党と完全にたもとを分かつことで、多党化時代の新たな政権の枠組みづくりに挑む」(同)との見方も広がる。

自民党の鈴木俊一幹事長は1月6日、国民民主党の連立参加について「双方の信頼関係は積み上がってきた。日本維新の会とも十分に相談しながら『3党連立』という形になれば、日本の政治の安定がしっかりと確立される」などと強い期待を示した。

もともと自民党内では、“最高実力者”の麻生太郎副総裁が「国民民主党の取り込み」を画策してきた。麻生氏の義弟である鈴木幹事長の発言も「高市首相と腹合わせしたもの」(自民党幹部)とみられている。

板挟みの玉木代表はどちらに動く?

これに対し、国民民主党内では「連立入り」への賛否が交錯している。玉木代表やその周辺は「将来の連立入り」に前向きだ。だが、有力な支持母体である連合(日本労働組合総連合会)の支援を受ける議員らは慎重姿勢を崩していない。

同党全体としては「当面は新年度予算の成立に向けて与党側との協議を進めたうえで、(連立入りへの)対応を検討する」(有力議員)との声が多数派だ。

こうした状況を受けて、連合の芳野友子会長は1月5日の年頭会見で、連合の組織内議員が所属する立憲民主党と国民民主党について「野党の立場で政権にしっかり対峙する体制が必要で、(国民民主党の)連立入りは看過できない。立憲民主党と国民民主党が野党の立場で政権にしっかりと対峙していく態勢が必要だ」と改めて強調した。

国民民主党の「連立入り」にクギを刺した連合の芳野会長(写真:ブルームバーグ)

玉木代表自身も年頭会見などで「醸成された信頼の度合いに応じて今後の連携のあり方は幅も深さも広がっていくが、具体的にどうするかは今後の話だ」と踏み込んだ発言は避けている。

もともと玉木氏は「わが党はかねて『対決より解決』を掲げ、与党との協議による政策実現で支持者を拡大してきた」というのが持論。自民党が求めるような「安易な連立入り」には慎重だ。

昨年秋の臨時国会で、国民民主党は自民党とガソリン税の暫定税率廃止や所得税の非課税枠「年収の壁」の178万円への引き上げで合意。これを受けて、玉木代表は26年度当初予算成立への協力を約束した。その結果、同予算については衆参両院で「賛成多数」となり、「年度内成立も事実上確定」(自民党の国会対策担当者)した形だ。

こうした一連の国民民主党の対応について、自民党内には「連立入りの布石」(同党幹部)と受け止める向きが多い。高市首相も「国民のための政策実現には、政権基盤の安定化が必要」と繰り返しており、連立与党である日本維新の会の中からも国民民主党の連立入りに期待する声が出ている。

ただ、国民民主党にとって「与党入り」には多くのハードルがあるのも事実だ。なかでも、次期衆議院選挙での候補者調整は「難題中の難題」(政治ジャーナリスト)とみられている。

候補者調整の折り合いはいかに

次期衆院選での党勢拡大を目指す国民民主党は、すでに小選挙区に40人の擁立を固めており、さらなる積み増しにも意欲的だ。しかし、「与党入り」が現実味を帯びれば、相当数の小選挙区で候補取り下げも検討せざるをえなくなる。

だからこそ、玉木代表は「複数政党が協力しやすくなる『中選挙区連記制』への移行が必要」と主張する。とはいえ、「各党の合意が前提となる選挙制度改革には、数年単位での時間がかかる」(衆院事務局)ことは間違いない。

「連立参加」をめぐる国民民主党の一連の動きについて、野党第1党として非自民政権の樹立を目指す立場の立憲民主党・野田佳彦代表は、1月6日の記者会見で「(政界全体が)総与党化してはチェック機能がどんどん失われていく」と指摘。参議院での少数与党を維持するためにも、国民民主党を含めた野党の結集が必要との考えを改めて力説した。

野党結集の必要性を改めて力説した立憲民主党の野田代表(写真:ブルームバーグ)

こうした状況だからこそ、政界では「解散含みの今年の混迷政局の“台風の目”は玉木氏」とみる向きが多い。多くの政界関係者は「玉木氏にとって、現状の“いいとこ取り”をどこまで続けられるかが課題。したがって、次期衆院選までは『準与党』を続け、国民民主党の大幅議席増によって衆参両院で安定多数となる『自維国連立』が実現すれば、晴れて与党になることを目指すはず」(政治ジャーナリスト)との見方が広がる。

はたして、玉木氏の思惑どおりに進むのか。