トヨタ、ル・マン事前テストでのライバルの”愚かな駆け引き”を批判「手の内を見せないようにしているのは明らか」

 トヨタは、一部のハイパーカーメーカーがル・マン公式テストデーにおいて真のスピードを隠していたことは「明らかだ」と述べた。

 6月13~14日にかけて開催される第94回ル・マン24時間レース。予選ではアルピーヌがトップ通過を果たし、トヨタも2台揃ってハイパーポールへと進出。ただ昨年勝者のフェラーリ83号車は、ハイパーポールには進出できなかった。

 ただル・マン24時間レースは長丁場のレース。当然のごとく平均して好ペースで走ることができる能力が求められる。7日に行なわれたテストデーでの平均ラップタイムのデータを分析すると、トヨタの7号車が首位、8号車が3番手と上位に並び、決勝に向けての期待が高まった。

 しかしトヨタのテクニカルディレクターのデビッド・フルーリーは、テストデーの結果を額面通りに受け取るべきではないと強く警告した。

 ライバルたちが実力を隠しているのではないかと問われたフルーリーは、「我々は実力を見せた者の中で最速だ。真実は最終的に明らかになると思う。日曜日に我々のライバルたちのパフォーマンスを見たが、正直言って信じられない」と答えた。

 トヨタは、ライバルたちが特に直線区間で戦術的な駆け引きを行なっていると見込んでいる。2026年は複数のハイパーカーが空力規定の許容範囲内で調整されたことで、グリッド全体の最高速が2025年より向上している。

 トヨタも冬の間にGR010ハイブリッドを大幅アップデートし、TR010ハイブリッドへと進化させた。その開発目標のひとつが空気抵抗の低減だった。しかしフルーリーによれば、ライバルの全員がテストデーで本当のパフォーマンスを見せているわけではないという。

「何社かのメーカーがスピードトラップで手の内を見せないために駆け引きをしているのは明らかだ」と彼は語った。

「確実に隠している。データを見れば分かることだから、正直なところ少し愚かな駆け引きだと思う」

 トヨタにとってテストデーは、平川亮が巻き込まれた事故さえなければ非常に成功した一日だったと言える。

 平川は第1シケイン出口で、LMP2クラスのアルガルベ・プロ・レーシングのジェイク・ヒューズと接触してしまったのだ。平川は右側から25号車を追い越そうとしたが、タイヤが冷えていた25号車がスピン。右へ流れて進路を塞ぎ、トヨタ8号車の側面に衝突し、その衝撃で平川のマシンは一瞬宙に浮いた。

 幸い8号車のシャシーに構造的損傷はなく、メカニックが修復を行ない、午後のセッション開始時から走行を再開した。

 フルーリーは「うちのメカニックたちにとっては少し余計な仕事だったね」と語ったが、平川は「悪い運はレース前に使い切った方がいい」と受け止めていた。

 この事故以外は、トヨタ陣営は問題なくプログラムを消化。8号車のレースエンジニアであるライアン・ディングルは、「今日は良い一日だったし、予定していたテスト項目の約90%を消化できた」と説明した。

 最大の焦点は新しい空力パッケージだった。走行データはシミュレータの予測と正確に一致し、第1シケインからミュルサンヌまでの再舗装区間と新しいミシュランタイヤへの微調整が必要だった程度だった。

 空力アップデートはすでに成果を示しており、特に昨年バランスに苦しんだ高速のポルシェカーブ区間で改善が見られている。

 フルーリーは「確実に進歩している。昨年より良いスタート地点に立てている」と語った。この進歩はドライバーからのフィードバックにも表れている。

「最終的な評価はドライバーに任せるが、私が受け取ったフィードバックでは、彼らは昨年より明らかに満足している」

 そうフルーリーは付け加えた。

「マシンはより一貫性があり、レースしやすくなった」

 また、他車の乱流下での挙動も改善されており、62台が出走するル・マンで重要となるトラフィックの中での空力安定性向上につながっている。

 フルーリーは2026年のレースペースが大幅に向上すると確信している。その理由として、新しくなった空力ウインドウやミシュランタイヤ、新しい路面といった要素の組み合わせを挙げた。

 タイヤについては、ソフト、ミディアム、ハードのタイム差はわずかコンマ数秒だった。コンパウンドは従来世代のタイヤと比べて性能の重複が非常に大きいため、レース中の気温が高くなった場合には、ハードタイヤが有力な選択肢になる可能性もあるという。

 ただし4スティント連続使用が可能かどうかについては、フルーリーは「まだ分からない。テストデーで使用したタイヤを確認してからでなければ答えられない。それはミシュラン次第でもある」と述べている。

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