選ばれない「マイナ運転免許証」開始1年、新規取得や更新時15%に満たず「再発行」で不利なケースも

 運転免許証の新規取得や更新時にマイナンバーカードと一体の「マイナ免許証」を選んだ割合が15%弱にとどまることが、警察庁への取材で分かった。制度開始から1年ほどの間、多くの人は「従来の免許証のみ」を選択した。マイナカードの所持が1億人超となってもマイナ免許証のメリットが浸透しておらず、切り替えは運転免許の総保有者(約8100万人)の数%にしか広がっていない。(福岡範行、戎野文菜)

 マイナ免許証 マイナンバーカードのICチップに運転免許の番号などを記載したもの。災害などで通信不能でも警察官は運転資格を確認できる。データベースと通信して健康保険の情報を得るマイナ保険証とは方式が異なる。スマートフォン搭載はできず、運転にはカード携行が必要。4月末時点の全国の保有者は315万4980人。うちマイナ免許証のみは89万9193人、残りは従来の運転免許証との2枚持ち。

◆昨年3月から今年4月の1992万件の免許更新のうち

 警察庁によると、マイナ免許証は単独で持つ場合と、従来の免許証との2枚持ちがある。今、マイナ免許証を保有する人の大半は、免許更新時に選んだ人だ。

 マイナ免許証の運用が始まった昨年3月24日から今年4月末までの免許更新は延べ1992万9751件で、このうち14.17%の282万4616件でマイナ免許証の保有が選ばれた。

 同じ期間での運転免許の新規取得のうち、マイナ免許証が選ばれたのは16万888件(12.54%)。住所変更時などに切り替えた人もいるが、限定的だ。

 同庁交通局運転免許課の担当者は「制度への関心は高いと認識している。引き続き制度やメリットの分かりやすい周知に努めたい」とコメントした。

◆住所変更手続きの簡略化などをアピールするが

 同庁はマイナ免許証のメリットに、住所変更手続きの簡略化や、更新手数料の安さなどを挙げる。ただ、利用者への訴求力には弱さがみられる。デジタル庁が今年2~3月に実施したインターネットアンケートでは、マイナ免許証を取得したきっかけは「特に理由はない」が41.0%で最多。メリットを理由にした回答と16ポイント以上、差がついた。

 一方、紛失時の再発行は、従来の免許証は即日でも可能だが、マイナカードは通常1カ月、「特急発行」でも1週間かかる。また、「マイナ免許証のみ」にした場合、紛失すると顔写真付きの本人確認書類がなくなって再発行の手続きで苦労するケースもある。

◆「マイナカード1枚に機能を搭載し過ぎる」指摘も

 一般社団法人情報システム学会は昨年5月までの提言で、マイナカード1枚に機能を搭載し過ぎる今の制度設計の見直しを訴えている。カードが暗証番号と一緒に流出すれば個人情報が不正取得されるなどの課題があることから、「(運転免許などの)目的別にカードを分けてリスク分散することが肝要」と指摘した。

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