あの「ケロリン桶」がお風呂メガネに?⇒月1000本超えの大ヒット。「これは助かる…」と売り切れ続出の裏側

湯気が立ち込めるお風呂で使っても曇りにくく、視界を確保できるーー。

あの黄色い桶でおなじみの「ケロリン」とコラボしたお風呂メガネ。月1000本超と、当初の計画の倍以上売れており、発売から半年経った今も品薄の状態が続いている。

「ケロリンお風呂メガネ」は、首都圏を中心にメガネストアーを展開するアイ・トピアが2024年11月に販売したもの。銭湯で見かけるケロリン桶がそのままメガネになったようなイエローカラーのメガネで、耳にかける部分にはロゴが丸く印字されている。

販売当初はサウナ・銭湯好きから支持を集めるニッチな商品だったが、SNSでの拡散をきっかけに多くの人が購入するようになった。

どのようにして商品が生まれ、ヒットにつながったのだろうか。アイ・トピア マーケティング部の高畑友華さんに話を聞いた。

あの「ケロリン桶」がお風呂メガネに?⇒月1000本超えの大ヒット。「これは助かる…」と売り切れ続出の裏側

銭湯でおなじみの「ケロリン桶」を再現したお風呂メガネとは…?

「ケロリン」とコラボした背景とは?

視力の低い人にとって、お風呂や銭湯、サウナは緊張する場所だ。メガネやコンタクトを外すと視界がぼやけるため、どこに何があるのかを把握しにくいからだ。

一方で、メガネをかけたまま入浴すると、熱や湿気によってフレームが歪んだり、レンズにヒビが入ったりする危険性がある。

高畑さんによると近年、サウナや銭湯ブームが起きたことにより、視力の低い人の入浴時におけるストレスは顕在化していたという。

「お風呂に入る時にメガネやコンタクトを外すと何も見えないという声をよく聞いていたので、お風呂に適したメガネを作ろうと決めたんです。レンズに曇り止めのコーティングを施し、フレームには耐熱性の高いプラスチックを採用。金属製のパーツを使っていないので、濡れても錆びる心配はありません」(高畑さん)

こうしてアイ・トピアは第一弾となるお風呂メガネを2023年12月に販売した。サウナ・銭湯好きからは支持を集めたが、すでに他社の先行商品も存在しており、一定の需要にとどまっていたという。

そして、お風呂メガネの第二弾の企画も始まった。その時に考えたのが「もっと『お風呂メガネ』というアイテムの認知を広められるような商品にしよう」ということ。考案したのが誰もが知る「ケロリン」とのコラボだった。

「『お風呂と言えば?』と話し合っていた時に、『ケロリン』の名前が出たんです。みんなが納得して、とんとん拍子で開発が始まりました。そこからケロリンらしさをメガネのデザインで表現しようと突き進みました」

ケロリン桶の再現にこだわり、試作を重ね…

ケロリンの桶には2つの特徴的なデザインが施されている。まず、遠くからでも一見してわかる透明感のある黄色を採用していること。視認性が高く、湯気の立ち込める銭湯でも一目で「あの桶がある」と認識できる色だ。

次に、桶の底にポップなフォントで印字されたケロリンのロゴ。ポップなフォントで書かれた商品名は見る人の印象に残りやすい。

これら2点の特徴をメガネでも再現しようと考えた。担当したのは、商品部に所属する雑貨チームだ。協力工場と協力し、まずケロリンのイメージカラーの再現を試みた。

しかし、その進行は一筋縄ではいかなかったという。

「ケロリンらしい透け感のあるイエローがなかなか再現できなかったんです。最初の試作品は濃い黄緑でしたし、何度も色の調整をお願いしました。その結果、クリア感は少し不足しているものの、何とかケロリン桶の色に近づけることができました」

次に注力したのがロゴの再現だ。ケロリンの桶の底には、「ケロリン」という商品名が印字されており、それを囲うように「頭痛・生理痛・歯痛に 内外薬品」と書かれている。

そこで、メガネを耳にかけるテンプルの端に「お風呂・サウナに ケロリン 内外医薬品」という文字を入れることにした。ケロリンのロゴが入っているだけでなく、まるでケロリン桶を彷彿とさせる丸いフォルムにもこだわったという。

耳あて部分は、まるでケロリン桶のように丸いフォルムにして、おなじみのロゴを入れた

「お風呂の桶よりも格段に面積が狭いので印字するのが難しかったんですよ。でも、ケロリンらしさを再現したいと思っていたので、何度も微調整を重ねて実現しました」

そして、メガネケースのデザインにも力を入れた。お風呂メガネで完全には再現できなかったクリアイエローを実現。左右に水抜きのスリットを設け、お風呂場に持ち込める仕様にした。

「第一弾のお風呂メガネでもメガネケースはついていました。社内でも『やっぱりケースは欲しいよね』という話になったんです。小さいサイズなので、入浴時の小物入れとしても使ってもらえるかと思います」

ケロリン桶を再現したメガネケース。明るいイエローで視認性もよい

メガネ本体とケースの両方で、「ケロリン」の世界観を再現したお風呂メガネは約1年かけて完成。製品の完成度の高さに社内の評判も上々だったが、攻めたデザインに不安も感じていたという。

「完成した時に『話題になりそう!』という期待はしていました。ただ、私たちはコラボグッズを販売した経験があまりないんです。黄色の目立つお風呂メガネをかけたいとお客様に思ってもらえるかも心配でした」

ケロリンお風呂メガネは、イエロー、ホワイト、ブラックの3色展開

Xで9.5万いいね⇒「お風呂メガネ」がトレンド入り

「ケロリンお風呂メガネ」は24年11月に販売された。色のラインナップはイエローとブラックとクリアの3種類で、対応視力は−2.00から−6.00の5種類だ。公式価格は5,980円(税抜)。

新製品の周知のために、まず行ったのがサウナ系インフルエンサーの起用だ。インスタグラムにリール動画を投稿してもらうと574万回再生を記録。アイ・トピアの主要顧客層は40代以上だが、20代や30代の来店や購入も増えたという。

「第一弾の販売時よりスタートが好調でした。予想以上の反響でしたね」

反響が広まるとより多くの声が集まる。そこで、新しい度数も急きょ追加販売した。

「動画へのコメントや購入した方の反応の中には、もっと強い度数を求める声がありました。度数が強くなるとレンズが厚くなり、フレーム内に収まりきらなくなります。そのため、もともと販売の予定はなかったんですが、25年1月に限定で−7.00と−8.00のお風呂メガネも作りました。これも完売しています」

そして、発売から4カ月が経った2月上旬、作家・町田そのこさんが自身のアカウントで「ケロリンお風呂メガネ」の投稿をすると9.5万いいねを獲得。「お風呂メガネ」というワードがXのトレンドに入った。

「突然、話題になっていたので驚きました。公式オンラインショップと楽天のECサイトの在庫が全てなくなりました。もともとは5000本くらい1年で売れるといいねと話をしていましたが、月1000本以上、半年で7000本以上売れました。口コミを見ると皆さんお風呂場で見えにくいことに悩まれていたとわかって。その悩みを解決できるような製品を届けられてうれしいです」

左右のテンプルにもケロリン桶に印字されたロゴをそれぞれ配置した

ケロリンお風呂メガネの開発について、高畑さんは次のように振り返る。

「お風呂用メガネは他社も販売している商品で、ある程度認知されているものだと思っていました。しかし『こんなのがあるんだ!』という声も多く、予想以上に存在が知られていなかったことに気がつきました。今後も特定の場面で使うと、その時間が充実するような商品を作っていきたいと思います」

デザイン性の高さから多くの人の手に届き、「お風呂メガネ」という用途のメガネを広めたケロリンお風呂メガネ。今後もレギュラー製品としての販売を続けるため、在庫も補充していく予定だ。

(取材・執筆/中 たんぺい、編集/荘司結有)