認知症の人、そうでない人が「ありのままに」つながるカフェを 大津

「ありのままカフェ」を大津市の商業施設・ブランチ大津京で初開催するGRAINの田中亜由美さん=大津市で2025年4月21日午前11時35分、岸桂子撮影

 人間、生きていれば誰しもさまざまな困難に直面する。認知症もその一つ。現時点の当事者と支援者がつながるのは大切だけれど、「今後関係するかもしれない」人とも縁を結ぶ場があればいい社会になるのでは――。そう考えた大津市のグループが26日、おむすびとみそ汁を食べながら参加者がゆるやかに交わる1日カフェを市内の商業施設「ブランチ大津京」で実施する。活動9年目の大きな挑戦だ。【岸桂子】

 大津市のデザイン会社「GRAIN(グレイン)」の田中亜由美さん(53)が、新しい社会活動を探るプロジェクト「musubi」の一つとして、「ありのままカフェ」の名前で展開している。

 きっかけは十数年前、母親が認知症になったこと。子供の不登校などの悩みも加わり、「母の居場所づくりと自分自身が元気になりたい」と2017年、当時住んでいた自宅敷地内の蔵で人々が集まれるマルシェを始めた。認知症当事者やその家族らが集う「認知症カフェ」の取り組みが少しずつ知られてきた頃だ。

 開催場所や方法を変えながら実績を重ね、志を共有する仲間もできた。すると、うつや発達障害などで生きづらさを感じている人が少なくないことに気づいた。「私を含め、周囲の評価を気にして『○○せねばならない』に縛られている。認知症に関わらず皆がありのままの自分でいられて、人と人を結ぶ場をつくりたい」と考えるようになった。22年度からは大津市の認知症カフェ委託事業として月1回、地域の自治会館や事務所で開催し、24年度から「ありのままカフェ」と名付けている。

 痛感したのは「認知症を知らない人、今関心がない人に啓発すること」の重要性だった。田中さんが活動する「おおつむすびマルシェ」と題した各種イベントで来場者アンケートを実施。認知症に関する項目もつくり、回答で興味を示した人にカフェ開催のメール告知を始めた。

 週末はファミリー層をはじめ多くの老若男女が訪れるブランチ大津京。田中さんが同所での開催を目標にしてきたのも「広げたい」思いがあったからだ。

 「認知症基本法が施行されましたが、今も『認知症は怖い』と考える人は多い」と田中さんは言う。「26日、食べるだけで終わる人がいるかもしれません。それでもいいんです。私たちの取り組みを紹介し、誰もが無関係ではないと記憶に残ってくれたらうれしい」

 26日はイベントスペース「musuLab(ムスラボ)」で午前11時~午後1時で限定30食、880円~。5月以降も月1回開催の予定。問い合わせは田中さん(090・2014・6842)。【岸桂子】

滋賀県内の認知症カフェ

 県医療福祉推進課のまとめによると、2024年度に県内で認知症カフェを実施した団体は約70あった。今年度の情報は県内市町の情報を受けて5月以降に県ホームページで公開する予定。