山本由伸との463億円契約、安すぎたかも

ドジャースの山本由伸はワールドシリーズ第2戦で、20打者を連続して抑え、計27個のアウトを取るのに105球しか要らなかった

【トロント】ロサンゼルス・ドジャースが山本由伸を日本から南カリフォルニアに誘い出すために3億2500万ドル(当時のレートで約463億円)の契約を結んだ時、同球団が完全に狂ったのではないかと疑うのは当然のことだった。

山本は米国の野球で1イニングもプレーしたことがなかった。それにもかかわらずドジャースは、投手として史上最高額となる12年間の保証契約を結ぶという途方もない決断を下した。

山本がドジャースの目に留まった理由を実証するのに、わずか2年しかかからなかった。今シーズン、野球界でトップクラスの先発投手としての地位を確立した。

しかも山本は今月、自らがもっと偉大な、ドジャースがあれだけの大枚をはたいた時には予測できなかった投手であることを証明した。エースになったのだ。

大幅に希薄化された2025年基準のエースではない。今は投球数が110球を超えることが非合理的な負担で、6イニングの登板が「圧倒的」と見なされる時代だ。そうではなく、山本は古典的な定義でのエースになった。往年のドジャースの投手、サンディ・コーファックスとドン・ドライスデールを誇らしく思わせるような昔ながらのエースだ。「ブルペンデー」が存在せず、リリーフに任せるのは弱虫であり、先発投手が自らのクローザーを務めることが期待されていた時代をほうふつとさせるエースだ。

25日、山本は見事な投球を披露してワールドシリーズ(WS)を1勝1敗のタイに戻した。2015年にカンザスシティー・ロイヤルズのジョニー・クエト投手が達成して以来、WS初の完投を成し遂げ、ドジャースはトロント・ブルージェイズに5対1で勝利した。山本はわずか4安打に抑え、8奪三振を記録した。20打者を連続して抑え、計27個のアウトを取るのに105球しか要らなかった。

それも最も驚くべき部分ではなかった。前回登板した時も、山本は同じことをやってのけたのだ。ナショナル・リーグ優勝決定シリーズ第2戦でミルウォーキー・ブルワーズを相手に完投した。

2001年のアリゾナ・ダイヤモンドバックスのカート・シリング投手以来、ポストシーズンで連続完投を達成した投手はいなかった。ドジャースでは1988年のオーレル・ハーシュハイザー投手以来いなかった。

その偉業を山本が成し遂げた。その過程で彼は、野球がどれほど変化しても、一つのことは決して変わらないことを示した。野球において試合を完全に支配している先発投手ほど重要で美しいものはないということだ。

「これは野球が向かうべき、そして戻るべき場所を示しているのかもしれない」と、将来の野球殿堂入りが確実視されるクレイトン・カーショー投手は述べた。「将来に向けて人々に何かヒントを与えるかもしれない」

勝利の後、右翼手テオスカー・ヘルナンデスと喜ぶ山本

2025年に投手が連続完投を達成することの衝撃は、どれほど強調しても誇張にはならない。かつて一般的な出来事だった完投は野球から事実上完全になくなり、球数への厳格なこだわりと、剛速球リリーフ投手を重視する風潮の高まりに取って代わられた。

先発投手は今年、1試合平均でわずか5イニングしか投げなかった。ポストシーズンでは、わずかなトラブルの兆候でも監督が投手をすぐ交代させるため、投球イニング数は減少するのが普通だ。昨今の平均的な球数は85球。一方、ドジャースを含む30球団のうち13球団は、今年のレギュラーシーズンで1度も完投がなかった。

山本はワールドシリーズを含めて11日間で2度の完投を達成し、時計の針を戻した。

「彼は先発する試合には最後まで投げ切るつもりで臨む」とドジャースのデーブ・ロバーツ監督は述べた。

25日の試合の序盤では、その結果は起こりそうにないように見えた。24日の第1戦でドジャースの左腕ブレイク・スネルを相手にした時のように、ブルージェイズのしつこい打線は山本を序盤から苦しめた。わずか2人の打者で走者一、三塁とした。山本はピンチを切り抜けたものの、初回を脱出するのに23球を要した。

その時点でロバーツ監督は、山本が6回で降板し、不調のリリーフ陣に頼らざるを得ないと考えていたと述べた。山本は苦労した初回を終えた後、完投は全く頭になかったと認めた。その後、山本は集中力を高め、ブルージェイズはなすすべもなかった。

「何を言おうとしても、形容詞も最上級も足りない」と、ドジャースの一塁手フレディ・フリーマンは述べた。

ドジャースの一塁手フレディ・フリーマンは第2戦での山本の投球を称賛した

山本がドジャースへの加入に合意した頃、元大リーグ外野手ジョシュ・レディック氏はソーシャルメディアで「MLB(大リーグ)で1球も投げたことのない男になぜ3億2500万ドルを与えるのか?」と書いた。この投稿は、山本がドジャースの決断を正当化し続けている今月、かなり再拡散されている。

実際のところ、山本は決して普通の輸入選手ではなかった。日本でサイ・ヤング賞に相当する賞を3度受賞しており、海外ではスーパースターだった。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で強い印象を残し、東京オリンピックで日本を金メダルに導いた。彼はまだ27歳だ。

彼は昔を思い起こさせる存在でもある。25日の夜、フリーマンはドジャースのクラブハウスで山本の投球を絶賛しながら、1884年にプロビデンス・グレイズで678と2/3イニングを投げたことで有名な19世紀の伝説の投手オールド・ホス・ラドボーンの名前を挙げた。

今、それは適切な比較のように感じられる。

「もしかすると、われわれには新しいオールド・ホスがいるのかもしれない」とフリーマンは述べた。