カブスを電撃FAの今永昇太はQOを拒否か パドレスでダルビッシュと「打倒ドジャース」共闘の可能性

カブスからFAとなった今永昇太の動向が注目されている。今永はカブスからクオリファイング・オファー(QO)を提示されており、受託して残留するか、拒否して全球団を対象に交渉していくかの決断を迫られている。
QOはFAとなった選手に対して、所属球団が規定額(メジャーの年俸上位125選手の平均値)による1年契約を提示できる制度。今季の規定額は過去最高の2202万5000ドル(約34億円)だ。MLB公式サイトのマーク・フェインサンド記者が11月9日(日本時間10日)、関係者による情報として、「今永がQOを受諾する可能性がある」と報じた。だが、メジャーリーガーの代理人は別の見方を示す。
「QOは2012年に導入されましたが、受諾した選手は全体の10パーセント以下です。オファーを拒否した後に他球団と契約を結ぶと、旧所属球団にドラフト指名権が補償として与えられるため、選手を戦力として純粋に高く評価しているというわけではない。それにメジャーリーグ選手会とオーナーが結んでいる労使協定が26年12月1日に失効することも、今オフのQO受託の可能性を低くすると思います。来オフに労使交渉がまとまらず、ロックアウトする可能性が指摘されています。そのため、今オフに単年契約を結ぶのはリスクが伴う。今永は32歳という年齢を考えると、1年契約のQOを拒否し、他球団と複数年契約を結ぶのが自然でしょう」
今永はカブスに移籍した1年目の昨年、29試合登板で173回1/3を投げ、15勝3敗、防御率2.91と大活躍。カブスファンを熱狂させ、地元・シカゴの市長候補とまで言われた。今年は25試合登板で144回2/3を投げ、9勝8敗、防御率3.73と前年より成績が悪化したが、先発ローテーションで十分な役割を果たしたといえる。カブスと今永は複雑な契約形態で、球団側は来年からの3年間、5700万ドル(約87億4000万円)で契約できるオプションをもっていたが、これを破棄。この予想外の決断は、日米メディアで大々的に報じられた。
カブスを取材するライターがこの契約交渉を分析する。
「シーズン終盤に被弾する場面が目立ち、ポストシーズンの先発登板では2試合連続で5回を投げ切れなかった。年齢と今後の伸びしろを見た時、カブスは新たに3年契約を結ぶことに躊躇したのでしょう」

■ドジャースは獲得に動かない?
今永はナ・リーグ地区シリーズでブルワーズに敗退した際、「正直言って、通用しなくなってきている。それは紛れもない事実なので、これは体感ではなく、数字を見た事実。正直言って別人にならなければ、ちょっとこの世界で生き抜くには苦しいかもしれない」と危機感を口にし、トレーニングを積んでいく決意を語っていた。
「投球の土台から作り直すための環境を重視するなら、QOを受託して1年契約で慣れ親しんだカブスに残留する選択肢として考えられますが、今オフのFA市場は即戦力の先発が少ない。それに肩、肘に故障歴があるので、温暖な気候の球団に移籍したほうがコンディションを整えやすいと思います」(前出のライター)
大型補強の代名詞と言えば、2年連続ワールドチャンピオンに輝いたドジャースだ。温暖な西海岸にあり、大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希と日本人選手が3人在籍していることからも今永がチームの輪に溶け込みやすいだろう。常に優勝争いできる環境も大きな魅力だ。ただ、ドジャースが今永の獲得に乗り出すかというと疑問符がつく。ドジャースを取材するスポーツ紙記者が語る。
「ドジャースは先発陣のコマがそろっている。ブレイク・スネルやタイラー・グラスノーは故障が多いのがネックですが、エメット・シーハン、佐々木朗希、昨年11勝をマークしたギャビン・ストーンも故障から復帰予定です。今永を獲得するとドラフト指名権を失うことも考えなければいけない。リリーバーや外野を守れる左の強打者のほうが補強の優先順位が高いので、先発投手はタリック・スクーバル(タイガース)、ポール・スキーンズ(パイレース)のような球界を代表するエース級でない限り、今オフは補強に動かないのでは」
むしろ、ドジャースのライバル球団に移籍する可能性のほうが高いとみられる。有力候補がジャイアンツだ。ナ・リーグ西地区に所属し、今年は81勝81敗で4年連続プレーオフ進出を逃した。先発陣が手薄で補強ポイントになっており、本拠地のオラクル・パークは海風の影響で本塁打が出にくいため投手有利の球場だ。今永が加入すれば、エースのローガン・ウェブと共に先発陣の格として期待されることは間違いない。

■主力が一斉に退団しそうなパドレス
やはりナ・リーグ西地区に所属するパドレスも、獲得レースに参戦する可能性がある。ドジャースのライバル球団として近年は熾烈な争いを繰り広げていたが、マイク・シルト監督が退任した今オフは変革期を迎えている。守護神のロベルト・スアレス、首位打者を3度獲得したルイス・アラエス、先発のディラン・シース、マイケル・キングといった主力選手たちがいずれもFAで、一斉に退団する可能性がある。11月に右肘の手術を受けたダルビッシュ有も、リハビリに専念するため来季は全休となる。
「パドレスは『ワールドチャンピオンを狙うなら今年だった』という見方が強い。来年はチームの再建期に入り、戦力ダウンが懸念されていますが、補強次第で十分に戦えると思います。その中で今永が魅力的な投手であることは間違いない。ダルビッシュのことを尊敬しており、一緒のチームでプレーしたいという思いもあるのでは。ダルビッシュは来年登板できませんが、同じチームなら今永が投球を作り直す中で、技術面や精神面で色々な助言を受けることも可能でしょう。今永が先発陣に加われば、『打倒・ドジャース』に向けて頼もしい存在であることは間違いない」(スポーツ紙デスク)
今永は来年、どのチームのユニフォームを身にまとい、マウンドに立っているだろうか。
(ライター・今川秀悟)
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