今永昇太がまさかのカブス残留 山本由伸や大谷翔平の参加が不透明なWBC侍ジャパンに光明?

FAとなっていたカブスの今永昇太が、クオリファイング・オファー(QO)を受け入れ、来季も残留することが米国のメディアで一斉に報じられた。
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■今永とカブスの関係は…
今オフの今永との契約交渉をめぐり、カブスはトレード拒否権が付帯する3年総額5700万ドル(約87億7800万円)の契約延長オプションを行使しなかった。今永サイドも来季年俸1500万ドル(約22億9000万円)の単年契約の権利行使を拒否し、FAとなっていた。複数球団による争奪戦が確実視されていたが、カブスが提示した1年2202万5000ドル(約33億9000万円)のクオリファイング・オファーを今永が受諾。来季もカブスと契約することが決まった。
QOはFAとなった選手に対して、所属球団が規定額(メジャーの年俸上位125選手の平均値)による1年契約を提示できる制度だ。移籍濃厚とみられていた今永は、なぜQOを受け入れ、カブスに残留したのか。メジャーを取材するスポーツ紙記者はこう分析する。
「2012年から導入されたQOで昨季までオファーを受けた144選手のうち、約1割の14選手しか受諾していません。ですが今年は、13選手のうち今永を含めて史上最多の4人がオファーを受け入れています。リスクはありますが、契約は1年です。今永は来年の活躍で選手としての市場価値を上げて、オフに好条件の契約を勝ち取ることを選んだ。26年末に切れる労使協定の交渉がこじれ、MLBがロックアウトする懸念があるため、各球団が今オフは大型契約を提示しづらいという背景もあります」
ただ、今永とカブスは“相思相愛”とは言えない。メジャー2年目の今季は25試合登板で9勝8敗、防御率3.73。8月以降に9試合連続で15本のアーチを浴び、計31被本塁打とナリーグワースト2位タイだった。プレーオフでも2試合登板で防御率8.10。ブルワーズと対戦した地区シリーズ第2戦に先発登板したが、3回途中で2本塁打を浴びるなど4失点KOを喫した。後半戦の投球内容が、球団サイドの評価を落としたことは想像に難くない。

■「真価が問われるのは来年」
「15勝を挙げたメジャー挑戦1年目の昨季は、高めに投げる回転数の多い直球と、落差の大きいスプリットのコンビネーションで奪三振能力が高かったが、相手も研究してきた。今年はスプリットを見極められて直球を痛打される場面が目立ちました。32歳という年齢を考えると、カブスは3年契約を延長するオプションは得策ではないと判断したのでしょう。単年契約を新たに結びましたが、球団の期待値が高いとは言えない。今永が仮にQOを拒否していても、ドラフトの指名権が補償として与えられるメリットがカブスにはあった。純粋に戦力として高く評価したという内容ではありません」(あるメジャーリーガーの代理人)
プレーオフでブルワーズに敗退した際、今永は「正直言って、通用しなくなってきている。それは紛れもない事実。別人にならなければ、この世界で生き抜くには苦しいかもしれない」と胸中を吐露している。突きつけられた現実を分析した上で明かした率直な思いだろう。メジャーでプレーしたOBは「真価が問われるのは来年」と強調する。
「メジャーで長年活躍する投手は修正能力が高い。ドジャース、ヤンキースと名門球団の先発ローテーションで稼働した黒田博樹さんは、広島時代は直球で押し込むパワーピッチャーだった。しかし、メジャーではシンカー、スライダー、スプリットを丁寧に投げ分けて打者のバットの芯を外して凡打の山を築いていた。今永はメジャーで生き残るために、投球スタイルをどう変えていくか。頭の回転が速い投手なので、色々なことを考えているでしょう」
カブスに残留したことで、追い風となるのは来年3月に開催されるWBCの侍ジャパンだ。今オフにカブス残留となったことで、新たな環境に適応する時間が必要ではなくなった。さらにカブスも今永がWBC出場を希望した場合は容認する可能性が高いとみられるからだ。前回23年の大会で今永は、決勝の米国戦で先発登板するなど世界一に貢献した。

■「投げる哲学者」、来年待っている2つの目標
「世界一連覇を達成するためにはメジャー組の力が不可欠ですが、山本由伸(ドジャース)はプレーオフでフル回転して疲労が懸念されている。ドジャースがWBC出場にゴーサインを出すか現時点で不透明です。大谷翔平の出場が実現したとしても、野手に専念することを想定する必要がある。ダルビッシュ有(パドレス)も右肘の手術のため出られない。世界の強豪国がメジャーの強打者をそろえる中、今永の経験値は侍ジャパンの投手陣全体で情報共有の観点からも貴重です」(侍ジャパンを取材するスポーツ紙記者)
来年のWBCに出場し、シーズンでも輝きを取り戻す――。その道のりは容易ではないが、DeNAの元チームメートは「今永は大丈夫です。DeNA時代にもケガを乗り越えて何度も復活している。カブスが3年契約を破棄したことを後悔する活躍を見せてほしいですね」と期待を込める。
深い思考と独自の野球哲学から「投げる哲学者」と言われる今永。悔しさを糧にどう進化するのだろうか。
(ライター・今川秀悟)
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