進化する都市鉄道網 東京・江東区中央部の「陸の孤島」も解消へ 関東・関西で空港アクセスも強化

人口が集中する大都市圏を中心に新たな新線・延伸計画が動き出している。都市部で新路線の計画が進行するのはなぜなのか。AERA 2025年12月1日号より。
* * *
首都・東京に、新たな鉄道網が生まれようとしている。
「延伸されたら、移動がぐっと楽になります」
東京都東部にある江東区。中央部の千田に20年近く暮らす女性(45)は、笑顔を見せる。
町には昔ながらの個人商店が残り、下町の人情が感じられて暮らしやすい。だが唯一の弱点が「交通」だった。近くの駅までバスで15分ほどかかり、都心まで出るには時間も手間もかかる。そんな事情から、地域は長らく「陸の孤島」などと呼ばれてきた。そこに、ついに鉄道が来ることになったのだ。
東京メトロ有楽町線を、豊洲(江東区)~住吉(同)まで延ばす計画が進む。延伸区間は約4.8キロで、途中に三つの新駅が設けられ、女性が住む地域にもできる。昨年11月に着工し、2030年代半ばに完成予定だ。「街も賑やかになると思います」(女性)

進展している鉄道は、有楽町線だけではない。
羽田空港アクセス線、東京メトロ南北線の延伸、大阪メトロや大阪モノレールの延伸──。東京や神奈川、大阪など大都市圏を中心に、世界屈指の鉄道網はさらなる進化を遂げようとしている。
少子化や人口減少などで多くのローカル線が衰退する中、都市圏で新路線のプロジェクトが相次ぐのはなぜか。
鉄道ライターの小林拓矢さんは「大都市圏に人口と都市機能が集中し、移動が活発になっているから」と説明。
「例えば、有楽町線の延伸は、タワーマンションが増え住宅街としての発展も著しい江東区で、通勤や通学を支える公共交通の充実が目的です。利便性を高めるだけでなく、地域間の交流を密にしようという狙いもあります」
都市機能を高めるため、空港アクセスの整備も進む。
東京では10月、東急蒲田駅(大田区)と京急蒲田駅(同)を結ぶ「蒲蒲線(新空港線)」の実現が正式に決まった。
関西では、大阪のキタ(梅田周辺)とミナミ(難波・心斎橋周辺)を繋ぐ「なにわ筋線」の建設が進む。JR西日本と南海電気鉄道が進め、31年春の開業予定というから、まもなくだ。小林さんによれば、なにわ筋線の開通により、関西空港方面などの列車を振り分けることができるようになり、JR大阪環状線の運行が整理されるという。
「大阪環状線は東京の山手線と違い、運行形態が複雑。一周する列車もあれば関西空港や奈良方面へ向かう列車もあり、行き先が多様で利用者にとって分かりづらい状況でした。なにわ筋線の開通で、大阪中心部や京都などから関西空港へのアクセスも大幅に改善されます」
(編集部・野村昌二)

※AERA 2025年12月1日号より抜粋
・【もっと読む】幻の“上越新幹線・新宿駅乗り入れ計画” 大江戸線が深い理由との関係? 「今こそ現実味」の声も
・鉄学者・原武史が語る幻の鉄路 “歴史を変えた?”未成線、“地方の可能性を拓く?”新線
・西武の提案に小田急は「えっ?」 名車両の「第二の人生」に鉄道ファンはワクワク、サステナ車両のメリット