天皇陛下の優しいまなざしは、いつも雅子さまへ! 豪華絢爛よりも光る「平安の王朝風」白菫色のお着物の品のよさ

天皇ご一家は18日、東京・墨田区にある両国国技館を訪れ、国技である大相撲初場所の取組を観戦された。皇后雅子さまと長女の愛子さまは和の装いで臨んだ。雅子さまは、王朝風の古典柄をお選びに。金彩や銀彩が全面に出るような豪華さではないが、皇后としての気品と存在感を専門家は、素晴らしいと話す。そして、陛下の視線の先には雅子さまがいる。それは、東宮時代から変わることのない光景だ。
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天皇皇后両陛下、並びに愛子内親王殿下がご入場されます――。
そうアナウンスが入ると、両国国技館は大きな拍手と熱気に包まれた。元横綱・北勝海で、日本相撲協会の八角理事長が説明役を務め、ご一家と和やかに歓談。
かすかに淡い紫がかった白菫(しろすみれ)色の雅子さまの訪問着と陛下の同色のネクタイが、おふたりの仲睦まじさを伝えてくれるようだ。
雅子さまは、後方の理事長に体を向け、会話を楽しまれていた。朗らかな笑顔をみせる雅子さまを、陛下が見守るように穏やかに見つめる場面もあった。
ふとした瞬間、陛下の視線の先には、雅子さまがいる。おふたりの絆が伝わるこうした光景は、皇太子時代からずっと変わっていない。
そしてこの日、ご一家の大相撲観戦は、6年ぶり。雅子さまは、2000年の観戦では、朱色と金彩が華やかな訪問着であったが、今回は柔らかな柄行を。背中と袖には、天皇家の内廷皇族が用いる「十六葉八重表菊」の菊紋が入った三つ紋の訪問着をお召しであった。

京都市で京友禅の誂えを専門とする、「京ごふく二十八」を営む原巨樹(はら・なおき)さんは、こう話す。
「この日の皇后さま和装は、王朝風の柄行で統一されているようにお見受けします」
白菫色の訪問着には、平安時代の貴族らが用いる文箱(ふばこ)や扇子が描かれ、背景にはかずら帯文がやわらかく配されている。
「かずら帯とは能衣装のひとつで、鉢巻きのように頭に巻いて後ろで結ぶ細いひも状の布のことです。皇后さまのかずら帯には、亀甲や重ね菱(かさねびし)、菊や梅といった吉祥柄が描き出され、雅な着こなしです」

ふわりと舞うようなかずら帯は、雅子さまが好んでお召しの文様のひとつ。昨年夏のアフリカ開発会議(TICAD9)に参加した各国首脳夫妻らを招いての皇居・宮殿での茶会や、23年にフィリピン・マルコス大統領夫妻との会見などの場で、かずら帯文が描かれた訪問着をお召しだった。
大相撲観戦の際の訪問着に描かれていた文箱や扇子をはじめ、平安時代の宮中遊び「貝合わせ」の入れ物である貝桶や絵本といった王朝風の器物文様も海外要人の接遇の場などで、たびたびお召しになってきた。
日本の国技である大相撲の観戦。王朝風の柄行が染めあげたれた訪問着に合わせたのは、華やかな袋帯。原さんが目に留めたのは、華やかに織り上げられた「薬玉(くすだま)」の意匠だ。
薬玉といえば、割ると中から紙吹雪などが飛び出す丸い玉だが、もとは端午の節句に魔除けとして飾る中国の風習に由来する。錦の袋に薬や香料を入れて、菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)といった造花で結び、五色の長い糸を垂らした薬玉の文様は、女性のお祝い着の柄に好んで用いられてきた。
「皇后さまの帯には、牡丹、橘、松、藤、そして菖蒲の葉がみえます。そうなると背景にあるのは御簾(みす)文だろうと思われます。訪問着と帯はすべて平安の王朝文化につながる文様です。着物と帯の時代性にまで配慮された合わせは、素晴らしいと感じます」

たとえば、「シルクロードの終着駅」とも呼ばれる正倉院に由来するラクダの文様と王朝文化を連想する御所解きや御所車の文様の組み合わせでは、どことなく違和感が出てしまう。
文様の統一感や心地よい調和にこそ、装いの美しさがにじむという。
天皇ご一家の魅力は、装いにみせる品格、そしてご一家を包むあたたかな空気だろう。
公的な場でも私的な場でも、天皇陛下の視線の先には雅子さまがいる。そして雅子さまは、仲睦まじく会話を交わす陛下と愛子さまへ、穏やかな目線とほほ笑みを送る。
皇后として多忙な公務を務める日々のなかにある、心地の良い安らぎの空間。そうした、ご家族の絆が皇后としての雅子さまを支えているのだろう。
(AERA編集部・永井貴子)

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