6月は大雨リスク高い「近年では珍しい梅雨パターン」 「昭和の梅雨」再来か?

今年の6月は、近年では珍しい「しつこい梅雨」となり、大雨リスクが高まりそうです。昭和〜平成初期に見られた「梅雨後半の大雨パターン」に近く、雨の日が途切れにくいのが特徴です。蒸し暑い日が多く、夜間の熱中症リスクも早い時期から高まるでしょう。梅雨明け後も、局地的な豪雨に注意が必要です。

6月は大雨リスク高い「近年では珍しい梅雨パターン」 「昭和の梅雨」再来か?

●6月は前線が停滞しやすく「しつこい梅雨」 局地的な豪雨も

今年の6月は、雨の日が途切れにくい「しつこい梅雨」となり、大雨リスクが高まりそうです。

梅雨前線が、例年なら日本付近で南北に振動する6月ですが、今年は早い時期に本州付近へ停滞しやすい見通しです(これは、梅雨入りの時期とは別の話です)。

6月から、梅雨最盛期〜末期のような雨の降り方をすることがありそうです。近年によくみられる「晴れる日は多いが、ひとたび降ると大雨」という「メリハリのある梅雨」とは違い、今年は湿った空気の流れ込みが途切れにくいのが特徴です。

関東や東北の太平洋側、北海道の太平洋側では雨の量が多くなりやすいでしょう。東海や紀伊半島では、南からの風で雨雲が発達しやすく、線状降水帯など局地的な豪雨が起こりやすい条件も揃います。日本海側でも、北東気流の回り込みで長雨となることがありそうです。

大雨の季節を迎える前に、側溝の掃除をして水はけをよくするなど、早めの備えが大切です。

また、蒸し暑い日が多く、夜間の熱中症リスクも早い時期から高まるでしょう。

●今年の6月は「近年ではかなり珍しい梅雨パターン」に

今年の6月は「近年ではかなり珍しい梅雨パターン」に

今年6月の特徴には、以下の3つのポイントがあります。

① 日本の東で北東風が吹きやすい(=オホーツク海高気圧が強い)

② 日本の南で湿った空気が強く流れ込む(=湿舌が太い)

③ 南アジアの季節風の始まり(モンスーン onset)が遅れやすい

今年の6月は「近年ではかなり珍しい梅雨パターン」に

まず①について、図の上段(降水傾向)と下段(200hPa高度の平年差)を見ると、「フィリピンの東〜マリアナ諸島近海で対流活動が活発(青)」になり、その北側には対流が不活発(黄〜橙)の領域が広がっています。この配置は、上空で高気圧と低気圧が交互に並ぶ「北偏型PJパターン」を引き起こしやすい状態です。

その結果、オホーツク海〜千島近海に「背の高い高気圧」が形成され、日本の東で北東風が吹きやすく、梅雨前線が本州付近に停滞しやすいパターンになります。

次に②について、図の850hPa高度を見ると、日本の南で低気圧性の循環が強まり、暖かく湿った空気(暖湿流)が本州付近へ途切れなく流れ込むことが示されています。「湿舌が太い」状態で、降水帯を維持するための燃料供給が持続しやすい状況です。

③については、南アジア方面(インド洋〜ベンガル湾)で対流活動が弱く、図の850hPa風の矢印からも「南西モンスーンの吹き出しが弱い(=季節風が遅れ気味)」ことが読み取れます。

これら3つの条件が同時に揃う年は過去20年でもほとんど見られず、「近年ではかなり珍しい梅雨パターン」と言えます。

●今年の6月は「昭和57年の梅雨」に類似 かつての「梅雨後半の大雨パターン」に

今年の6月は「昭和57年の梅雨」に類似 かつての「梅雨後半の大雨パターン」に

前述した今年6月の特徴は、昭和〜平成初期にしばしば見られた「梅雨後半の大雨パターン」とも共通しています。

その代表的な例が、昭和57年(1982年)の梅雨で、力学的な背景(北東風の強まり、多湿な南風、季節風の遅れ)が今年と似ています。(ただ、当時は 7月に入ってから前線が長く停滞した点が異なります。)

図に示したように、昭和57年の7月〜8月は、西日本を中心に広い範囲で総降水量が多く、濃い青色の多雨域が連続しています。特に7月10日〜20日にかけては、日降水量100mmを超える大雨が続き、長崎県では23日夜に1時間100mm超の猛烈な雨を観測しました。

長崎市では1日の降水量が 448.0mmに達し、「長崎大水害(長崎豪雨)」として知られる災害となりました。土石流などで300名もの犠牲者が出る甚大な被害となり、長崎市長浦岳で観測された 1時間降水量153mmは、現在でも全国1位の記録です。

近年は「温暖化で大雨が激甚化している」と語られることがありますが、日本では昔から、梅雨の大雨そのものが非常に危険であることがわかります。

●冷涼な風ではなくなった「やませ」 海の変化で姿を変える

冷涼な風ではなくなった「やませ」 海の変化で姿を変える

前述した昭和57年の梅雨(6月下旬~7月)は、全国的に低温に見舞われ、夏の終わりにかけて低温傾向が続きました。このとき低温をもたらした要因の一つが、「やませ」と呼ばれる、オホーツク海の冷たい気団から吹く北東の風です。

「やませ」は、かつて東北で「冷涼な風」としてよく知られていました。ですが、近年では、北東の風が吹いていても、以前のように気温を大きく下げる場面が少なくなっています。

その背景には、海そのものの長期的な温暖化があります。

気象庁の解析によると、日本周辺の海面水温は春(4〜6月)と夏(7〜9月)のどちらも、広い海域で+1℃前後/100年のペースで上昇しています。

かつてはオホーツク海や三陸沖に広がっていた「冷たい海」が、近年は十分に形成されにくくなり、北東の風が吹いても空気を強く冷やすだけの冷源が弱まっているのです。このため、気圧配置が昔と似ていて北東の風が吹いていても、熱力学的には「冷涼なやませ」になりにくい状態が続いています。