私立中学では生徒の「いじめ容認率」が公立よりも高い

「荒れた公立校に入れたくない」と考える保護者もいるが photoAC

義務教育段階では、公立校に通う児童・生徒が大半だ。全国津々浦々に公立の小中学校が設置されていて、無償で一定水準の公教育が実施されている。

しかし時代と共に、私立学校の比重が増している。中学校の生徒は2015年から2025年にかけて346万5215人から310万5297人に減ったが、私立中学の生徒は24万3390人から24万9161人へと増えている。中学生全体に占める割合は8%ほどだが、大都市の東京では27%(4人に1人)にもなる。半数近くの子が私立に行くエリアもある。

個性に見合った教育を受けさせたい、難関大学進学に有利になるようにしたい……。親の思いは様々だろうが、「荒れた公立校に入れたくない」という考えもあると聞く。

あらゆる家庭の子が通う公立と、そこそこの経済力がある家庭の子が通う私立では、「荒れ」の度合いは違うかもしれない。2024年度の中学校の暴力行為発生件数は、公立が3万8232件、私立が1318件。これを同年の全生徒100人当たりの数に換算すると、以下の<表1>のようになる。

全生徒100人当たりの暴力事件の件数は、公立が1.3件なのに対し私立は0.5件。公立の方が倍以上多い。いじめの認知数や不登校生徒数も同じだ。私立では問題が少ないことを示唆していて、早期受験でメシを食っている業者が飛びついてきそうなデータだ。

思春期の最大の問題である「いじめ」の認知数は、4倍以上の開きが出ている。だが、いじめを容認する生徒の割合は私立の方が高い(一番下)。文科省の「全国学力・学習状況調査」の「いじめは、どんな理由があってもいけないことと思うか」という問いに対し、否定的な回答をした生徒の割合だ。

早期受験を経ることで、他人を妬む(蹴落とす)メンタルが植え付けられているのかもしれない。それはさておき、いじめ容認率を全生徒数にかけて、いじめを容認する生徒の実数を出すと公立が10万8920人、私立が1万2969人。これを、実際に認知(把握)されたいじめ事件の数と照らし合わせるとどうなるか。

いじめを容認する生徒の数(b)を、実際に起きているいじめの近似数と仮定する。当局が把握したいじめの件数(c)が、この数の何%に当たるかを計算すると、公立では121.7%、私立では18.7%となる。これをいじめの認知率と見立てると、私立中学では実際に起きているいじめの2割も把握できていないことになる。

私立は客商売なので、いじめの把握に積極的でない可能性がある。暴力や不登校も同じかもしれない。公立の場合は、教育委員会からの強力な指導が入るが、指導の権限が設置者の学校法人にある私立は違う。私立学校も公教育の一翼を担っている以上、仮にそうであるとしたら問題だ。私学の自律性は尊重しつつも、監督官庁が然るべき指導をする必要がある。

<表2>を見ると、中学生のいじめ容認率は「公立<私立<国立」となっていて、入学難易度と見事に比例している。幼い頃からの受験勉強がメンタル、人格形成に影を落とす可能性もある。他者への共感のない勉強(ガリ勉)は、エゴの増幅にしかならない。

当人の意志に反して、早期受験を強制することなどは虐待に当たる。親が最も気を付けるべきなのは、わが子から笑顔が消えていないかどうかだ。

<資料>

文科省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2024年度)

文科省「全国学力・学習状況調査」(2024年度)