ナフサ不足をチャンスに! 石油に頼らない素材の受注が急増…代替製品やリサイクル見直すきっかけにして

 中東情勢によるナフサの供給不安を受け、代替素材が注目されている。包装資材を再利用する取り組みもあり、環境や人に優しい技術やサービスへの関心が高まるきっかけとしても期待される。(白山泉、市川千晴、鈴木太郎、並木智子)

◆ナフサ不使用の塗料や備蓄米使ったバイオプラスチック

 「1年分を半月で出荷する勢いだ」。建築用の接着剤を製造する「ユニーク」(千葉県市川市)の島村浩一工場長は話す。

◆ナフサ不使用の塗料や備蓄米使ったバイオプラスチック, ◆スタバのストロー、ナゴヤドームの人工芝にも新素材, ◆「包装メーカーが包装売らずに再利用…自殺行為に見えるけど」, ◆石油製品に代わる開発、東京都が予算9億円で後押し

トルエンやベンゼンなどを使用しない接着剤の需要が高まっているという千葉県市川市の「ユニーク」

 10年前からナフサ由来の溶剤を使わない塗料や接着剤を展開してきたが、シンナー製品の供給不足を機に、4月以降「溶剤の原料が入らない」という専門商社から引き合いが強まっている。「石油に頼らない製品に切り替えていくきっかけになれば、環境にも職人の健康にもプラスになる」と期待を込める。

 食用に適さない備蓄米を混ぜたバイオプラスチックを手がける「ライスレジン」(福島県浪江町)では3月以降、問い合わせが急増中という。従来は使い捨てスプーンや歯ブラシが中心だったが、最近は、自治体のごみ袋素材としての要望が目立つ。

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食用に適さない米を使い、ナフサ使用率を抑えた「ライスレジン」の自治体ごみ袋

 奥田真司代表取締役最高執行責任者は「これまでごみ袋を納入してきた業者が『供給できない』と音を上げ、自治体の入札不調が起きている。原油高で既存素材との価格差も縮まり、実際の受注にもつながっている」と明かした。

◆スタバのストロー、ナゴヤドームの人工芝にも新素材

 大手化学メーカー「カネカ」(東京都港区)の100%バイオマス由来の生分解性ポリマーは、化石資源を一切使わず、海水中でも分解される。スターバックスのストローや、バンテリンドームナゴヤの人工芝にも採用された。今回の供給不安を受けた新規発注はまだ様子見が多いものの、確かな関心の高まりを感じるという。

 バイオマス素材への切り替えは、レジ袋でも進む。コンビニ大手のファミリーマートは、サトウキビを主原料としたバイオマス素材の配合比率を25%から50%に引き上げ、石油由来原料の使用を減らす。6月16日から順次全国の店舗で切り替える。

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再生素材100%で注目を集める和光紙器の「ポリエコレン」

 100%再生プラスチック素材をつくるのは、包装資材メーカーの「和光紙器」(埼玉県川口市)。梱包(こんぽう)素材や防災グッズ、工場用トレーの素材として使われ、3月以降、受注が増加。本橋志郎社長によると、最近は「プラスチック廃材をリサイクルして」との依頼も多い。 

◆「包装メーカーが包装売らずに再利用…自殺行為に見えるけど」

 資源の再利用に取り組む動きもある。日本茶の包装資材メーカー「吉村」(東京都品川区)は6月3日から、戸越銀座商店街の自社アンテナショップ「茶雑菓」で一部商品の包装の再利用を始めた。飲み終えたティーバッグの袋を店頭に持ち込むと、同じ商品を1つ多く袋詰めして販売する仕組みだ。

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使い終えて空になった袋に同じ茶葉を入れてもらい購入することができる商品(左中段)について話す「吉村」の橋本久美子会長

 3月以降、原料となる石油関連資材の値上げと納期遅延の苦境に直面。顧客に商品を提供し、社員の雇用を守り工場の稼働を続けるため、高くても購入せざるを得ない状況が続く。石油製品の使い捨てに対する疑問もあり、踏み切った。

 橋本久美子会長は「包装メーカーが包装を売らずに再利用するのは自殺行為と言われるかもしれないが、お客さまが店に通うことで対話が生まれる。個人専門店としての新しい価値を提供するきっかけになれば」と前を向く。

◆石油製品に代わる開発、東京都が予算9億円で後押し

 行政もこうした動きを後押しする。東京都は2026年度補正予算案で、ナフサの代替素材の開発など、非石油由来製品の開発支援・利用促進として計9億円を計上。プラスチックなどの代替製品や原材料の削減につながる製品・サービスの開発をする中小企業に対する助成を盛り込んだ。

 都の担当者は「長期的な取り組みとして、石油製品に代わる開発を後押しすることで都内の産業を活性化させたい」と話している。

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