謝罪の定番「切腹最中」を買うワケは?――「場が和んだ」「笑えるものがあると」“新人教育”や感謝の気持ちも『every.特集』

ちょっとユーモアを利かせた“謝罪の定番”として人気の手土産「切腹最中」。春になると売れ行きが上がるといいます。買いにきた方々の思いや事情を聞いてみました。

■“謝罪の定番”「切腹最中」 あなたはなぜココに!?

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東京・新橋のオフィス街にある老舗和菓子店。ここに、春になると売れ行きが上がるという名物があります。その名も「切腹最中」。お店の場所が、忠臣蔵で有名な浅野内匠頭が切腹したお屋敷の跡地であることから名づけられました。

30年ほど前に新聞記事で取り上げられ、ちょっとユーモアを利かせた謝罪の手土産として人気に。今では、気の緩みからミスをしがちな時期なのか、ゴールデンウィークあたりにお客さんが増えるそう。

買いに来た人は…

「ちょっとしたおわびの品に」

「クレームのおわびに行くのに、ちょっと買ってきてほしいとか。クスッと笑ってもらえたらラッキーかな、と」

買いにきた方々の思いや事情を聞いてみました。

■“謝罪の定番”の効きめは…? 安どしたのもつかの間…

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ソフトウエア開発会社勤務・玉井大輔さん

「お取引している会社にこれから伺うんですけど、うちの社員がそちらで仕事をしていて、その担当社員が会社を辞めることになったので。その仕事を続けられなくなったんです」

部下と一緒に退職のおわびへ向かうとのこと。取引先の相手とは長い付き合いだということで…

玉井さん

「一緒にお茶でも飲みながら食べようかなという感じ。一回切腹最中を使ってみたかったんですよ。初めて今回その機会があって、念願の謝り」

果たして切腹最中の効き目はどうなのか――

謝罪直後の写真を見せてもらうと、そこには玉井さんと取引先の人らが写っていました。うまくいったみたいです。

「半分笑いながら受け取って、分かった分かった受け取るよ、みたいな感じ」

ところが…

「夕方一緒に会食をしたんですよ。その席で、別なことでまた怒られちゃったりしました。言わなくていいこと言っちゃうんで」

玉井さん、気が緩んだのか、仕事のことでつい、余計なことを言ってしまい、またしても怒らせてしまいました。

「せっかく切腹最中渡したけど、今度は介錯団子でもないとダメかなと思いました。介錯までしてもらわないと、自分ダメかなと反省しましたけど」

再びの謝罪でどうにか許してもらったそうです。

■謝罪の後の“予期せぬこと”

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次は、神妙な雰囲気で買いに来た2人組。どうも深刻な事態の様子。

先輩

「彼のミスを私が見逃してしまって、本人が謝りに行くのと、私も一緒に謝りに行く。もう本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」

コンサルティング会社に勤める先輩と後輩。後輩がお客さんに提出する大事な資料を「出したつもり」で、実は未提出。まさかのうっかりミスに、お客さんはカンカンに怒っているそう。

後輩

「本当に申し訳ないという気持ちです」

――なんで俺が謝りに行かなくちゃいけないんだ、とは思わないですか?

先輩

「思いますけど…でもしょうがないので。(お客は怒っている?)そうですね。怒られる…。(謝罪は)嫌ですね。胸がキリキリしちゃうので。(切腹最中で)場合によってはお客さんも笑って許してくれるところがあるので」

果たして切腹最中で切り抜けられるのか。

後日、結果を聞くと、「『手土産持ってきてくれたんだね』と場が和んだことは間違いなかった」とのこと。

でもそれで終わりではなかったそうで…

先輩

「後日上司が別件でその会社に行った時、 きつくお叱りを受けたと聞いています。あちゃーと思いましたね」

■切り札の「切腹最中」 新入社員を連れて来店したワケは?

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続いて、2人組のサラリーマン。なんだか、商品の説明をする声が聞こえてきます。

「これが話にあった切腹最中。心からおわびした後、笑えるものがあると」

商社に勤める金子さん、新入社員を連れての来店です。

輸入食品商社勤務・金子欣正さん

「新人くんにこういういい店があるよと教えに。お客さんにおわびする時にすごく助けられる。前職の車屋(販売会社)の時も使ったことがあります。車だったら、ぶつけちゃったとか。深刻すぎると『そんなもんいらない』と返されちゃう経験もありますけど」

車をぶつけた謝罪にも使ったという切り札、切腹最中。実はこの日はおわびで買いに来たのではなく、新人に謝罪の作法を実地で教えようとやってきたそうです。

新人社員・藤田大樹さん

「新鮮です。おわびの品としてお菓子をあげることをまず知らなかったので。これからミスしたとしても、お菓子を持って行っておわびしたいと思います」

新人さんが知らなかった、“謝罪には菓子折り”。この日はいい勉強になったようです。その時が来たら教えを生かして…いや、来ないことを願ってます。

■3か月に一度の“ご褒美” 家族と一緒に味わう大好物

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今度はダンディーな紳士・多賀宏さん。

多賀さん

「3か月に1回、糖尿病の検査に行って、その帰りにいつも買っていく。頑張ったなってね。数値が上がったんじゃなくて下がったわけだから。成績と違って下がる方がいいからね」

約35年にわたる糖尿病との付き合い。食事制限を続けていますが、この日、検査が終わりご褒美で最中を買いに来たそうです。

昔から和菓子が大好物の多賀さんは、ここ新橋で40年近くサラリーマン生活を送り、切腹最中を知りました。

多賀さん

「甘いモノはやめられない。家族と甘いものも食べようかという話です」

3か月に一度、検査の後に食べるとのこと。家族と一緒に甘いものを味わう幸せな時間になっています。

■ご近所の皆様へ 渡した反応は…?

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一人で買いに来たお客さんも。

白石栄さん

「家をリフォームしまして。 それで、ご近所さまにご迷惑をおかけしましたので、それのおわびとお礼というか」

つい最近自宅をリフォーム。工事の音でご近所に迷惑をかけたのではないか、とおわびの品を買いに来ました。

「おわびの時に、『腹を切る』という意味で『切腹』というのを聞いていたので、ちょっと面白いかなと思って選びました」

この店の近くに勤めていますが、切腹最中を買ったのは初めてだそう。

後日、リフォームしたご自宅を訪ねました。築約60年の自宅。一念発起して500万円をかけ、キッチンやリビングを改装。キッチンの場所を動かしたそうです。夫婦の会話が弾むように、と考えたとか。

白石さん

「今はキッチンはここにありますが、リフォームする前は、キッチンはこの中にありました」

白石さんの妻・るみ子さん

「お料理しながらも、思いついたことを会話できる。テレビ見て、あそこ行ってみたいねとか、そういう会話ができるようになった」

切腹最中を配った反響は…?

白石さん

「おわびっていう気持ちと、あとは感謝という意味を込めて、受け取っていただきました。お渡ししたときに、近所の方々も『これ切腹最中ですね』と言ってくれて、喜んでいただきました」

■65個の感謝!? お世話になった施設の方へ

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続いて、親子で来店したお客さん。

植竹広美さん

「母が施設に入っていたんですけど、施設を退所するので、お礼の品で」

94歳のお母さんが施設を離れることになり、お世話になった皆さんに最中を配るそうです。

でも、どうして切腹最中なのでしょうか。

「本来は帯に切腹最中って書いてあるんですけど、その帯を『感謝』っていう言葉のものに変えていただいた」 

なんと、切腹と書かれている帯は「感謝」などに変えられるそうで、今回は“感謝最中”になりました。

「いろんな方にお世話になったので」

15個入りを3箱、10個入りを1箱、5個入りを2箱買ったという2人。お世話になった方々へ65個の感謝を贈りました。

   ◇

切腹最中を買いに来たお客さん。おわびや学びから感謝まで、そこには様々な思いがありました。

(2026年5月21日放送「news every.」より)