高市総理は「賃金5%上がった」と言うけれど…働き手の72%が「変わらない」賃上げに悩む中小経営者の本音

高市総理は「賃金5%上がった」と言うけれど…働き手の72%が「変わらない」賃上げに悩む中小経営者の本音
2026年の春闘を受け、連合が最新の賃上げ率が5.02%になったと発表した。高市早苗総理も「5%を超える賃上げとなった」と強調していたが、物価高の影響などもあり、73%の人が賃上げを実感していない。大企業は5%上昇を達成しても、「中小零細には関係ない」との声もある。『ABEMA Prime』では経営者に、生の声を聞いた。
■7割が賃上げ「実感できず」

大手の賃上げは過去最高となった。連合の2026春季生活闘争(第6回回答集計結果)によると、賃上げ率は5.02%で、大手(組合員数300人以上)は5.06%、中小(300人未満)は4.70%。平均引き上げ額は1万6518円だった。一方、日本商工会議所のまとめ(2025年)では、20人以下の小規模企業の賃上げ率が3.54%にとどまっている。
こうした背景から、約7割が賃上げを実感できていない。リスクモンスターの調査によると、直近1年間の給料の変化について、上がった(3%以上の賃上げ)15.4%、下がった11.6%、変わらない(3%未満の賃上げも含む)73.0%と回答した。
東京で電線の製造業を行う「石川電気」石川浩社長は、「大企業の平均1万6000円アップは、手取り換算すると約1万3000円。物価高を考えると、賃上げしたとは考えづらいのではないか」と考える。「弊社の賃上げはこれからだが、昨年はそれなりに業績が良く、5〜7%の賃上げができた」。
しかし経営者としては「製造業のため、設備投資を常に行わなければ生き残れない。選択は非常に悩ましい。昨年は設備投資も行ったが、賃上げを優先した」と、胸の内を語る。また人事面については「2、3年先を見据えた賃金を早めに提示して、採用活動を行っている。あっという間に賃金が上がるため、早めに高い給与で人を集めようとしている」と説明した。
熊本県で太陽光パネルの設置などを行う「タケモトデンキ」竹本雄一社長は、「平均数千円。残念ながら事業利益の問題でさほど上げられず、悔しい結果になった。価格転嫁に成功している方だとは思うが、太陽光は生活必需品ではないため、生活が苦しくなると売れなくなる。ここは自助努力で突破するしかない」と語る。
地域事情として「熊本には大企業が来たため、異常なくらい最低賃金が上がった」としながら、「利益がないと社員に還元できない。会社が存続し続けないと意味がないため、むやみやたらに上げても仕方ない。その代わりに、決算書は全部オープンにしている」とした。
北海道で飲食店経営などを行う「ユーケンサービス」渡辺大介社長は、「材料費が上がっているため、まず売価を上げないと賃上げできない。上がっている店舗は、8〜9%は賃上げできている」と説明。「大企業は5%」といったニュースは「あまりテレビではやってほしくない」と苦笑する。
とはいえ「社員の『うちも上がる』という期待には応えないといけない」のも現実だ。「独立志向の社員が多いため、将来的にそちらへ向くように会社も動いている。ただ本州から来た企業が、時給1300円からスタートしてしまうため、そこに寄せないと人が集まらない。だましだましだが、年に2回昇給を行い、やった分だけ給料が上がる方式を採っている」。
■「人口増加ボーナス」が終わったこれからの企業は

グローバルパートナーズ代表の山本康二氏は「高市総理の『5%上がった』はウソだ。春闘に参加する大企業は、700万〜1000万人。全体の1〜2割の人が5%上がっただけで、国民全員が5%上がったように発表してしまうと、中小企業は苦しい。テレビも含めて、気をつけて表現しないといけない」と考える。
一方で、「30年近くデフレが続いたため、一部でも賃金が上がるのは良いこと。国際的にもインフレで、賃金が上昇する中で、日本もようやく兆しが見えた。産業や地域によって差はあるだろうが、一部の賃上げを『ずるいな』と思うとシュリンクしてしまう。なんとか努力でガマンしながら、景気や物価、賃金が上がる流れに行って欲しい」とも願う。
今後を見通して「日本の人口は、これから2割、3割……と減っていき、購買力も下がる。外貨を獲得する産業を作ったり、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やロボットで効率を上げたりなど、国を挙げて『数十年かけて何を目指すか』を考えないといけない」と求める。
政府についても「総理が『5%上げなさい』と言って、経団連企業だけ賃上げして、なんとか政権を維持しても、粗利益が伸びていないのに給料を上げると、その分いい商品を作れず、株主に配当できないなどのひずみが生じる。『1人あたりGDP(国内総生産)をどう上げるのか』という大本の議論をせず、粗末な議論ばかりしている」と手厳しい。
そして「高市総理も新規産業などの長期プランを考えているだろう。しかし、分かりやすい図解がない。ドバイでは10年、20年プランで『この国はどこへ向かっている』が見える。1960年代の日本も、農業国家を工業化する国民所得倍増計画があったが、そうした大きな青写真が今こそ必要だ」と発言した。
また、国際的に見て、「人類は2000年間、人口ボーナスでずっと伸びてきた。客も増え、売り上げも伸び、収入も消費も増える。でも世界中で東アジアだけが急激に人口が減っている。これに対して、過去数百年間、答えを出した国も企業もないため、答えが分からない」と指摘する。
フリーアナウンサーの柴田阿弥は「業界の再編は必要で、ある程度の競争原理は働かないといけないと思う一方で、地域の生活インフラや雇用を担っている企業もある。地方から大勢出られるわけでなく、『地元に残りたい』という人もいるため、ゼロか100かは言い過ぎだ」とする。
EXIT・兼近大樹は「働き手が有利な時代に、経営者は大変な思いをしている。雇用される側は割と得だ。『給料が上がらない』と嘆くだけでなく、『自分にはどんな能力があるのか』と考え直すキッカケになり、新陳代謝が起きている」とコメントした。
(『ABEMA Prime』より)
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