常勝青山学院大に対抗するのはどの大学か、来年の楽しみは「国学院大」「順天堂大」「早稲田大」…箱根路のレジェンドが総括
第102回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝=読売新聞社共催)は3日に復路が行われ、往路優勝の青山学院大が2度目の総合3連覇を果たした。早稲田大学時代に4年連続区間賞を獲得し、総合優勝も経験した箱根路のレジェンド、武井隆次さん(54)がレースを振り返る。(デジタル編集部)

武井隆次さん解説
大会前に故障者や体調不良者が出た影響などで、有力大学が区間配置に腐心した跡がうかがえる。総合優勝の青山学院大も往路では急な配置変更を余儀なくされた。復路でその青山学院大を追うべき中央大は吉居駿恭、駒沢大は佐藤圭汰とそれぞれのチームの「大エース」を、逆転優勝を狙うための最大の勝負どころの7、8区ではなく、9区と10区に配置した。
当日変更で送り出されたエースは、佐藤圭汰が10区の区間新記録を作るなど見せ場を作ったが、青山学院大を終盤に焦らせるまでにはいかなかった。

青山学院大アンカーの折田壮太を出迎える黒田朝日(左)(3日)=高橋美帆撮影
青山学院大は過去に2区で2度、実績を残していた絶対的エースの黒田朝日を当日変更で5区に起用し、黒田は区間新記録でこたえた。従来は2区重視の先行逃げ切りが箱根駅伝のセオリーだったが、近年は山を支配した学校が成績を挙げる傾向にあり、5区重視の考え方にシフトしていると言える。
過去に青山学院大が負けている年は、山で負けていることが多く、原監督は今大会、2区で確実に結果が期待できる黒田を5区に配するギャンブルに打って出て、成功したということになる。
「5区重視」とはいえ、1、2区のレベルが落ちたわけではない。今大会も各校が実力のある選手を配置していた。国学院大や早稲田大のように「往路で勝つぞ」という意気込みの学校が、黒田が出てくる前の平地区間で5分くらいの差をつけてとどめを刺せればよかった。
1区16位から往路優勝した青山学院は、復路の逃げ切りのレース運びの巧さは相変わらずで、この伝統はエースの黒田が抜ける来年以降も受け継がれるだろう。他校は青山学院の4連覇を阻むためにも、往路で決定的な差をつける勝負をするしかない。

平塚中継所でたすきをつなぐ国学院大7区の高山豪起(左)と8区の飯国新太(3日)=沼田光太郎撮影
今大会で、それに一番近い戦い方をしたのが総合2位の国学院大だった。2区の二けた順位が惜しまれたが、それ以外は一けた順位でまとめ、山登りの1年生が好走デビューするなど、将来への展望も開いた。
予選会突破から3位に躍進した順天堂大は、名前のある選手こそ多くないが、安定感が増していて、この1年間で育成が順調にいっていることを感じさせた。今大会エントリーの4年生は2人だけで、来年がさらに楽しみだ。
4位の早稲田大は鈴木琉胤を筆頭に4人がエントリーした1年生に加えて、今春には全国高校駅伝の上位で活躍した3人の新人などが入学予定だ。スピードを本番でしっかりと発揮できる強さを、育成できるか。
来年の103回大会に向け、楽しみな学校は順番に〈1〉国学院大〈2〉順天堂大〈3〉早稲田大としておきたい。
たけい・りゅうじ 1971年生まれ。東京・国学院久我山高で高校初の5000メートル13分台をマーク。早大時代は箱根駅伝で4年連続区間賞(1区、1区、7区、4区)、うち3度が区間新記録で、同期の花田勝彦、櫛部静二と並び「三羽がらす」と呼ばれた。卒業後はエスビー食品で2002年びわ湖毎日マラソンを2時間8分35秒で優勝。02年アジア大会男子マラソン銅メダル。引退後はエスビー食品のコーチ、監督を歴任。現在は「したまちアスリートクラブ」の監督として小、中学生を中心とした後進ランナーの指導にあたっている。