無所属で「侍ジャパン」に選出された菅野智之の新天地はどこに 古巣・巨人への電撃復帰も

巨人・長野久義(左)の引退セレモニーで花束を手渡す菅野智之=2025年11月23日、東京ドーム(萩原悠久人撮影)

米大リーグ、オリオールズからフリーエージェント(FA)になった菅野智之投手(36)が、古巣・巨人を新天地に選ぶ可能性は十分にあり得る。鍵を握るのは年俸などの条件面ではなく、やりがいや男気、そしてベースボールと野球の質の違いをどこまで重視するかではないだろうか。

日米球団からオファー

第4回WBC準決勝の米国戦に先発した菅野智之。6回3安打1失点と好投した=2017年3月21日、ドジャースタジアム

昨季終了後、オリオールズからFAになった菅野の所属先がいまだに決まっていない。今オフは、フランバー・バルデス(前アストロズ)やクリス・バシット(前ブルージェイズ)、メジャー通算221勝を誇るマックス・シャーザー(前ブルージェイズ)ら大物投手も続々とFAとなり、所属先が決まっていない。ランク的に優先順位の下がる菅野の契約は、2月以降にずれ込む公算が大きいとされる。

しかし、菅野には日米双方の球団からのオファーが届いているもようで、大リーグ関係者は「すべての条件を把握して、それを見比べながら熟考している段階だろう」と話す。大リーグに流れる情報では、中堅から下のクラスの球団から1年1260万ドル(約20億円)レベルのオファーがあり、複数年契約するなら1年換算の年俸は下がるとみられている。そして、2024年まで在籍していた巨人は「複数年契約で総額20億円程度の提示を終えている」と球界関係者は話している。

捕手の小林誠司(左)とタッチする巨人・菅野智之。同学年の2人は長くバッテリーを組んだ盟友だ=2021年9月1日、京セラドーム大阪(中井誠撮影)

〝スガコバ〟再結成は?

条件面だけ見れば、メジャーのどこかの球団を選ぶ公算が大きいはずだが、それでも菅野が決断に至っていない理由は何か。一つは「やりがいではないか」と大リーグ関係者は言う。

巨人から24年オフに海外FA権を行使し、オリオールズと1年契約、年俸20億円で移籍した。メジャー1年目の昨季は30試合に先発して10勝10敗、防御率4・64の成績を残すも、チームは75勝87敗でア・リーグ東地区最下位に沈んだ。今オフも地区優勝の可能性が低い球団からのオファーが多く、先発ローテーションの4~5番手を想定した条件提示が行われているもようだ。

大金を得ても勝てないチームで腕を振る日々を1シーズン過ごした。再び同じような状況になるのか…。逆に巨人に復帰すれば打倒・阪神への強力な戦力となり、メジャーの世界で収集した情報や知識を山崎伊織や戸郷翔征、大勢ら後輩に伝授することもできるだろう。

また、極端なデータ重視の大リーグでは、自ら持ち合わせる感性を配球に生かせないジレンマも感じたのではないか。巨人に戻れば小林誠司捕手(36)との〝スガコバ〟コンビを再結成し、阿吽(あうん)の呼吸で打者の狙いを外して裏をかく配球が実現できる。データに基づく投球か、感性を生かしたピッチングか。菅野がどちらに充実感を得るかは明白だ。

やりがいと男気

菅野は20年のシーズン終了後、ポスティングシステムでの大リーグ移籍を模索したが、交渉期限までに合意に至らず、巨人に残留。4年後、35歳になって海を渡った。子供の頃から抱いていた夢や憧れをかなえた今、自身の将来を見据えた次の選択はどうなるのか。

3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に臨む日本代表「侍ジャパン」の事前合宿が2月14日から宮崎で行われ、メンバーに選出されている菅野も参加する。無所属の立場となっても「日の丸」のために戦う-という決断を下したベテラン。新天地を選択する上で「やりがい」や「男気」がキーワードとして浮上するなら、巨人への電撃復帰は十分にあり得る。=金額は推定

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て客員特別記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。