「ここ数日、批判もありましたので」痛恨ミスから4日後、日本代表CBが千金弾ゲットでV字回復!キャリアに大きく影響しそうなファン・ペルシ監督との“濃密な会談”の内容とは?【現地発】

「ここ数日、批判もありましたので」痛恨ミスから4日後、日本代表CBが千金弾ゲットでV字回復!キャリアに大きく影響しそうなファン・ペルシ監督との“濃密な会談”の内容とは?【現地発】
フェイエノールトのDF渡辺剛が1月22日のELリーグフェイズ、シュタム・グラーツ(オーストリア)戦で攻守に渡って活躍し、3対0の快勝に大きく貢献した。
渡辺は開始5分、右CKから豪快なヘディング弾を決めて、チームに先制ゴールをもたらした。
「フェイエノールトのセットプレーは、俺と(上田)綺世がターゲットを務めてます。今日のゴールは、ベルギーの時から何点か取っている形。その形がうまくハマりました。アルジェリア代表のハジ・ムサはクオリティがある。キッカーの彼からいいボールが来てうまく合わせることができました」
ゴールが決まると、渡辺はゴール裏のサポーターへ駆け寄り、胸のエンブレムを掴みながらクラブへの忠誠を示した。
「ここ数日、批判もありましたので。自分はこのチームのためにプレーしたいと思っていたし、ここでやることが代表に繋がると思っていたので、何か恩返しを――という意味でああいうことをしました」
18日のオランダリーグで、フェイエノールトはスパルタに3対4で競り負けた。渡辺は後半早々、自陣ゴール前で相手FWをかわそうとした際、ボールタッチをミスしてロスト。そのままシュートを決められ、チームは0対2とリードを広げられてしまった。
「前の試合で自分が失点に絡みました。ヨーロッパで初めてああいうミスをして、自分としてもショックだった。その後、監督(ロビン・ファン・ペルシ)とも話をしました。
監督は冬のオフにリオ・ファーディナンド(元イングランド代表、マンチェスター・ユナイテッドのDF)と会って、『ミスがあった時に早く切り替える選手がいい選手。そこが普通と一流の違うところだ』と言っていた、という話を聞いたと教えてくれ、自分も『そうだな』と思いました。
気持ちを切り替えてプレーしようとしたなか、自分で掴み取った得点でした。自分にとっても、チームにとっても大きな1点だったので、本当にいい得点を取ることができました」
68分にムサのゴールでフェイエノールトが2対0にすると、渡辺はロングキックで起点を作ったGKティモン・ベーレンロイターを祝福した。
「ゴール後は得点を取った選手だけがフォーカスされがちだけど、キーパーのキックの精度が高かったし、狙っているのが彼の良さ。キャプテンの彼は、チームが厳しい状況のなかでも戦っている選手のひとり。だから、自分は彼のところへ行きました」
そしてクリーンシート。フェイエノールトが相手を零封したのは10月19日、対ヘラクレス(7対0)以来、本当に久しぶりのことだ。
「10月以来!? 自分たちは相当、苦しんでいた。攻撃にもそれが繋がってしまい、攻撃がうまく行かなかった時期も多かった。今日の試合が大きな一歩になると思いたい。次はヘラクレスとホームでリーグ戦、どうにか勝たないといけない状況なので、うまく繋げたい気持ちがあります」

グラーツ戦では、渡辺が右のCBを務め、相方のアネル・アフメドホジッチが左CBだった。普段はその逆だ。
「自分から監督に言いに行きました。左利きじゃない自分が左CBというのは難しく、少なからず自分の特徴を出し切れてなかった。『自分は右もやりたい。僕が右CBをやったら、ビルドアップでもう少し打開できる』と伝えたら、監督も僕の意見に『右からチームの流動的なプレーに参加してほしい』と賛同してくれた。
守備でもロングボールに対して、左足で踏み切ってジャンプできる。日本代表、ヘントでもやってきたポジションだったので、すごくやりやすかったです。右利きで左CBをやっている選手もいますが、自分はもうちょっと勉強して、レベルアップしてからやりたいです」
記者会見で何度も渡辺とアフメドホジッチの守備を褒めたロビン・ファン・ペルシ監督は、記者から「なぜ渡辺とアフメドホジッチの位置が今日は左右逆になったんですか?」と訊かれ、「選手が私に言ってきたんだ。素晴らしいだろう?」と言ってから続けた。
「私は監督室をよくオープンにしてます。まず渡辺が部屋に来て『あなたと話をしたい』と言いました。オッケー、ウェルカムだ。それから私と渡辺は1時間ほど、あらゆることを話し合いました。プレーの方法、チーム・カルチャーのこと、ポジションのこと。そして彼は『そのポジション(右CB)でプレーしてチームのことを助けたい』と言ったのです。その後、アネルも私の部屋に来て、『自分は右でも左でも構わない。シェフィールド・ユナイテッドでは頻繁に左でプレーしていた』と言いました。昨日、練習で試したところ、とてもポジティブな印象でした」
その会談のことを渡辺が振り返る。
「僕が今回、話に行ったことでポジションが変わった。戦術や守備のところもこうしたほうがいいと監督と話した。監督はいろいろな選手の話を聞いてくれる。監督はファーディナンドなどレジェンドたちと会って、その時に『どういう選手が一流で、どういう選手が一流じゃないと思う?』と質問し、『ミスは絶対に起きるから、その後の姿勢や切り替えがいかに早くできるか。そこのクオリティが全然違う』という話をした。そこは俺も救いになった。『自分を信じるだけだ』と話を聞いて、しっくり来るところがあった」

さらにファン・ペルシ監督は、渡辺にチームリーダーの役割を期待している。
「今回、(冬の移籍市場で)ふたりの中心選手(GKジュスティン・バイロ―、MFクインティン・ティンバー)が移籍した。彼らが抜けたので、監督は俺に『チームにいい影響を与える選手になってほしい』と言いました。自分自身も(チームリーダーに)付いていく年齢じゃない。『試合の時に声をかけることも、中心になってやってほしい』と監督から言われました。それでスイッチが変わったというか、立ち位置がまた一歩、チームの中で上がったところがある。ふたりのオランダ人選手がいなくなり、新たなチームになったところで、自分がどう貢献できるか。そこは自分の姿勢も大事になってくると思います」
「ヨーロッパに来てから初めてのミス」という痛恨のスパルタ戦からわずか4日。この間、渡辺の今後のキャリアに大きく影響を与えそうなやり取りがファン・ペルシ監督とあった。そして、ゴール&クリーンシートで結果を出した。
「こんなにうまくいくとは思ってなかった。今日はなんとか自分のいいプレーを見せたかった。今日の相手はロングボールが多かったですが、そこで勝つこともそう。すべて、“あの1点”で、チームも自分もいい方向に向いた感じがします」
取材・文●中田 徹
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