阪神・ルーカス、巨人・ウィットリー、日本ハム・カストロ… 他球団から見た新助っ人たちの「リアルな評価」

WBCで侍ジャパンが世界を相手に戦いを繰り広げる中、NPBでもオープン戦で選手たちがアピールを続けている。各球団のスコアラーが重点的に視察しているのが、チームの戦力を大きく左右しかねない新たな外国人選手たちだ。
セ・リーグ球団のスコアラーが「間違いなく能力が高い」と口をそろえるのが、阪神の左腕・ルーカスだ。身長191センチの左腕で、角度のついた直球や精度の高いスライダー、チェンジアップが武器。3月3日の侍ジャパンとの強化試合では、3番手で登板して1回を三者凡退。10日の西武戦では先発し、3回を2安打2奪三振無失点の快投を見せた。
セ・リーグ球団の分析グループ関係者は「先発ローテーションに入ってくるでしょう。スライダーは変化量が大きいのでスイーパーに近い。チェンジアップもブレーキが効いているので、打者は緩急への対応が難しい。制球も思ったよりまとまっています。デュプランティエがDeNAに移籍して抜けた穴は埋まるのでは」と指摘する。
阪神は「強打の内野手」としてマイナー通算85本塁打をマークしたディベイニーも獲得している。前出の分析グループ関係者は「待って捕球するスタイルなので、本拠地が土の甲子園だと内野安打になってしまう。芝生と違って打球の勢いが落ちて不規則なので慣れが必要だと思います。打撃は外角から逃げる変化球への対応に少し苦戦しそうな感じがします」と、こちらは辛口の評価だ。
■投手陣の助っ人依存度が上がった巨人
巨人は先発の層を厚くするためにウィットリー、マタという2人の新“助っ人”投手を獲得。昨年は楽天でプレーしていたハワードも獲得して、投手陣の外国人依存度が大きく上がった。打者でも、クリーンアップを担う強打者としてダルベックへの期待が大きい。
セ・リーグ他球団のスコアラーは「ウィットリーは身長201センチ。150キロ台中盤の直球を常時投げてチェンジアップ、スライダーも空振りが取れる。メジャーで活躍できなかったのが不思議なレベルです。ハワードにも言えますが、故障が多いのがネックなので、シーズンを通じて投げられるか。あと、投げる球がすごい割にメジャーで目立った活躍ができず、3Aの成績もそこまで圧倒的ではない。クイックやフィールディングなど投球以外の要素も確認しながら、対策を練っていくことになる。ダルベックはオープン戦で内角攻めを嫌がっている感じがします。パワーがあるので、甘く入ったらスタンドに運ばれる怖さはありますが、懐を突かれて打撃が崩れないかがポイントになる」と明かす。

■身長213センチの右腕
今年の新“助っ人”には長身の投手が多い。ルーカスやウィットリーをさらに超える身長213センチの右腕がオリックスのジェリーだ。4日の広島とのオープン戦で4回1安打無失点の好投。10日のロッテ戦では味方の失策もあって毎回走者を背負ったが、3回3安打1失点(自責点0)で切り抜けた。
「力感のないフォームからキレのある球を投げ込むのでギャップを感じる。身長が高い投手は制球に難があるケースが少なくないですが、ジェリーの場合はまとまっていて制球で崩れる心配がない。直球で押し込むだけでなく、シンカー、ナックルカーブと縦の変化球でゴロを打たせるなど投球の幅が広いです」(在京球団の関係者)。
オリックスの先発陣はWBCで侍ジャパンに選出された宮城大弥、曽谷龍平のほかに、九里亜蓮、田嶋大樹、山下舜平大、山岡泰輔、寺西成騎、エスピノーザとコマがそろっている。ジェリーが先発の軸で稼働すれば、優勝候補と目されるソフトバンク、日本ハムの牙城を切り崩す可能性が十分にある。

■レイエスと同じドミニカ出身野手
野手で評価が高い新“助っ人”が日本ハムのカストロだ。俊足で二塁、三塁、遊撃を守れる守備力が魅力だが、オープン戦で早くも2本のアーチを放ってパンチ力も見せている。同じドミニカ共和国出身で、昨年の二冠王であるレイエスから日本野球を学べる環境もプラスに働くだろう。
パ・リーグ球団のスコアラーは「打席に立った雰囲気がレイエスに似ているんですよね。タイミングをゆったりとって、変化球に軸がブレずきっちり捉える。シーズンに入って日本野球の対応に苦しむ時期が来ると思いますが、大崩れしないように感じます」と警戒する。
ほかにもメジャー通算164本塁打をマークした中日のサノー、パンチ力のあるスイッチヒッターで強肩も売りのDeNAのヒュンメル、西武で長距離砲として期待されるカナリオもオープン戦で実力を見せつつある。
ただし、オープン戦は新戦力の長所、弱点を研究する場でもあるため、好調だった新外国人選手がシーズンに入ると弱点を突かれ、本来の輝きを放てずに退団したケースは少なくない。その逆に、オープン戦ではからっきしだったが、シーズンに入って覚醒した選手もいる。来日1年目に本塁打王となった元ヤクルトのホージーがその例だろう。
スポーツ紙デスクは「近年は日本で活躍する助っ人が減ってきているので過度な期待は禁物です。日本ハムの新庄剛志監督がレイエスを来日1年目の5月にファームに落として日本の配球術に慣れるための時間を与えたように、『急がば回れ』で適応する時間が必要です。持っている能力を発揮させるために各監督の起用法が重要になってきます」と強調する。異国の地で何人の選手がブレークできるだろうか。
(ライター・今川秀悟)
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