ホンダが初の完走を果たしたF1日本GPで見たもの、聞いたこと

ホンダの「日本凱旋」で注目を集めた「フォーミュラワン」(F1)の日本グランプリ(GP)を観戦するため、鈴鹿サーキット(三重県)に行ってきた。会場で見たものとホンダ・レーシング(HRC)渡辺康治社長に聞いたホンダの現状についてお伝えする。

ホンダとF1の歴史と復帰の背景 - オールホンダでの参戦はあり得る?

F1日本GP

F1日本GPに行ってきた!

F1が推し活に?

3月29日、決勝当日の鈴鹿サーキットに到着したのは午前10時過ぎ。レースは14時スタートの予定だったのだが、鈴鹿はすでに大勢のファンでにぎわっていた。

来場者の多くが応援するチームのグッズを身に付けていて、会場は色とりどり。ホンダの復帰で鈴鹿サーキットはアストンマーティン・ホンダのホームグラウンドと化しているものと思いきや、(アストンの)緑色のグッズを身に着けたファンが大勢を占めているわけでもないのが興味深かった。

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体感として、来場者の3~4割は海外からのお客さんなのではないかと思えた。そして、若い人が多い。Netflixのドキュメンタリー『Drive to Survive』(栄光のグランプリ)がヒットした影響で世界的にF1ファンが増えていると聞くが、現地で実感した次第だ。ファンの中には、F1ドライバーの顔パネル(写真を引き伸ばして顔の部分だけを切り抜いた感じのもの)を持参している人がけっこういた。どうやら、F1には「推し活」としての側面もあるらしい。

F1日本GPには3月27日からの3日間で31.5万人が来場。昨年に比べ4.9万人の増加となった。

アストン・ホンダ苦戦の要因は?

ホンダがパワーユニット(PU)を提供するアストンマーティン・ホンダの2台は、初戦(オーストラリアGP)、2戦目(中国GP)ともにリタイアしており、2026年シーズンの3戦目となる日本GPは「チーム初の完走」がかかるレースでもあった。出走前には、HRC渡辺康治社長の話を聞くことができた。

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HRCの渡辺康治社長

これまでのF1マシンは「エンジンが8割、モーターが2割」ほどの割合で力を発揮して走るクルマだった。それが今年からはレギュレーションが変わり、エンジンとモーターが5:5になっている。この変更は「ハードルが高い」と渡辺社長は話す。

苦戦が続くホンダだが、原因は?

「言い訳になってしまうので、なるべく言わないようにしていたんですけど」としつつ、渡辺社長が挙げたのは「スタートの遅れ」だ。各レースにおけるスタートダッシュのことではなく、F1に本格的に着手すること自体が遅れた、というのである。

なぜ遅れたのか。ホンダでは、2021年シーズン終了時にF1から撤退した際、F1に携わっていた社内の「トップエンジニア」を最新技術やカーボンニュートラル関連、量産車、航空機、宇宙などの分野に「戻して」いた。F1再挑戦に向け、彼らを(渡辺社長いわく「すごい数の」エンジニアを)F1の現場に再び「戻す」のに手間取ったため、F1再参戦の出足が遅れたそうだ。今は「メンバーがそろった」状態だという。

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もうひとつの苦戦の要因は「コストキャップ」だ。F1では1年で使えるお金に上限が決められていて、その資金の中から開発費や部品代などを捻出しなければいけないルールなのだが(とはいえ、上限2億ドルくらいの規模らしいが)、アストン・ホンダでは「リライアビリティ」(信頼性)の開発に大きな金額を投じなければならない状況となっている。「信頼性」にたくさんの資金を使っているチームよりも、「競争力」により多くの投資ができるチームの方が、やっぱり速いということなのだろう。

振動問題、どうなっている?

アストン・ホンダのマシンでは「振動」のトラブルが起こっていると聞く。その実態は?

渡辺社長によれば、F1開幕前に栃木県さくら市の拠点でPUをテストしていた際には、振動はそれほど出ていなかったという。それが、実際の車体に積んでみると大きく振動するようになった。

振動はバッテリーにダメージを与える。通常であれば、F1では1つのシーズンで3基ほどしかバッテリーを使わないそうだが、アストン・ホンダ陣営では今シーズの初戦を前にして、バッテリーが1レースももたない状態となっていたそうだ。

現状、バッテリーは「2レースはもつ」状況で、バッテリーに対する振動対策も整ってきたようが、「振動が全て落ち切ったわけではない」そうで、まだまだ改善の余地がある様子。振動の発生源はエンジンだがエンジン側だけで抑えられるものではなく、車体側と協調して対策を施す必要があるため、今後もワンチームで取り組んでいく、とのことだった。

19歳のアントネッリが優勝

決勝レースはメルセデスのキミ・アントネッリが優勝。ポールポジションからスタートしたもののスタートで出遅れ、一時はマクラーレンのオスカー・ピアストリ、フェラーリのシャルル・ルクレールに先行を許したが、最終的には2位のピアストリを10秒以上も引き離しての快勝だった。弱冠19歳のアントネッリは中国GPに続く2連勝で、現在はドライバーズランキングのトップに立っている。

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アストン・ホンダはランス・ストロールが31週目でリタイアした一方、ベテランのフェルナンド・アロンソがチーム初の完走を達成。順位は22台中18位だった。「今日の目標として、まずは、しっかり完走するというのが正直なところ」と渡辺社長は話していたので、とりあえずは目標達成をお祝いしたいが、いつかは上位争いするアストン・ホンダの雄姿を見てみたいところだ。

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F1は現在の情勢を受けて中東の2レース(バーレーン、サウジアラビア)がキャンセルに。次回は5月4日に決勝が行われるマイアミGPだ。

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