ホンダが再びF1の頂へ! 電動化時代の新PUと技術思想に迫る! 2026年F1参戦の意義と展望

F1の2026年シーズンもスタート。いよいよホンダF1の「第5期」が始動した。今度のパートナーは2021年から61年ぶりのF1参戦を開始しているアストンマーティン。レギュレーションが大きく変更される2026年シーズン、ホンダ×アストンマーティンはどう戦う!?
※本稿は2026年2月のものです
文:ベストカー編集部 鈴村朋己/写真:ホンダ、アストンマーティン ほか
初出:『ベストカー』2026年3月10日号
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2026年……ホンダF1第5期始動

F1が転換期を迎える2026年。ホンダが再び世界最高峰のテッペンを獲りに行く。高い技術力を証明する物語の始まりだ
冬の静けさの向こうで、F1は「新しい時代に向けた」準備をしている。轟きだけではない。電気の立ち上がり、燃料の匂いの変化、そして効率という言葉が、速さと同じ重みで語られる時代だ。
F1は2026年から、車体とパワーユニット(以下:PU)の両面で大きなレギュレーション刷新を迎える。PUは電動出力が従来の約3倍へ。また、サステナブル燃料が義務化され、電動技術と脱炭素を同時に追いかける次世代モータースポーツへと進化する。
さらにPU供給に関する年間支出上限(コストキャップ)も、開発の速さそのものを問う。限られた資源で最大の成果を出す。開発効率の戦いがスタートするというわけだ。
その転換期に、「Powered by Honda」の名前が戻ってくる。タッグを組むのは、新パートナーとなるアストンマーティンF1チーム。ホンダF1第5期が幕を開けるのだ。
復帰という言葉は簡単だが、ホンダにとってF1は、そもそも挑戦の原点に近い場所だ。四輪販売から間もない1964年にF1へ挑み、勝利と挫折を重ね、黄金時代を築き、そして近年も頂点を獲ってきた。その歴史は「最も困難なものへ挑戦せよ」というブランドの精神と重なっている。

参戦するパワーユニットサプライヤーの中では一番に姿が公開されたホンダ RA626H
では2026年、ホンダに求められるものは何か。鍵は、熱をどう捌き、エネルギーをどう回生していき、そしてサステナブル燃料の性質まで含めて、クルマ全体をひとつのシステムとして高効率に成立させることだ。
ホンダのレース運営子会社であるHRCは、新型PU「RA626H」を開発。全貌をいち早く公開した。
「テストはもちろんですが、完全に勢力図がわかるのは3月に開幕するオーストラリアのメルボルンです。それまでは信頼性を重視してプログラムを進めていく必要があります」。
そう語るのは、アストンマーティンF1チームのチェアマン、ローレンス・ストロール氏だ。
一見、慎重な言葉にも聞こえる。だが、2026年のF1はすべてが新しく、前年の勢力図は当てにならない。今、上位にいる者が上位のままとは限らず、逆に沈んでいる者が一気に浮上してもおかしくないからだ。
アストンマーティンは2025年のコンストラクターズランキングで10チーム中7位にいるのだが、ここから先は完成度が順位表を塗り替えていく。
F1が変わる。ホンダも変わる。ただ、唯一変わらないものがあるとすれば、勝つためにもっとも難しい領域へ踏み込むという姿勢だろう。速さだけではない。大切なのは、知恵と効率、そして連携で、最速の称号を手に入れられるかだ。
ホンダとアストンマーティンがひとつのパッケージとして挑む新章。それは、F1の未来像そのものを映す鏡になるのだから。
ホンダF1・挑戦の系譜

第1期(1964〜1968年)。ロータスとの紆余曲折がありフルワークスでの参戦
エンジン、車体ともにフルワークスで挑んだ伝説の時代。参戦2年目となる1965年のメキシコグランプリで初優勝を遂げる。

第2期(1983〜1992年)。日本にF1ブームを巻き起こした「セナ・プロ時代」
強豪チームとタッグを組んだ黄金時代。特に1988年には16戦15勝という輝かしい記録をマクラーレンと共に打ち立てた。

第3期(2000〜2008年)。第1期以来のフルワークスで健闘
エンジンサプライヤーからはじまりフルワークスへ移行したが優勝は一度のみ。リーマンショックの影響を受け3度目の撤退。

第4期(2015〜2021年)。第2期を彷彿とさせる強豪チームに
マクラーレンとの再タッグは不発。代わりに組んだレッドブルと二人三脚で開発力を高めた結果、2021年には30年ぶりの王者に。