伊勢ケ浜親方、2階級降格も「部屋閉鎖」に至らず またも起きた角界の暴力、「宮城野部屋処分」との違いは
日本相撲協会は9日、東京都内で臨時理事会を開き、弟子の幕内伯乃富士に暴力を振るった伊勢ケ浜親方(34)=元横綱照ノ富士、モンゴル出身=に対し、委員待遇年寄から年寄への2階級降格と3カ月の10%報酬減額の処分を決めた。
◆横綱経験者の「年寄」降格は元白鵬以来
協会発表によると、同親方は2月21日の酒席で、後援者の知人女性の太ももを触るなどした伯乃富士を注意した際、拳や平手で合計2回、顔面を殴打したという。不適切行為の伯乃富士は八角理事長(元横綱北勝海)から厳重注意を受けた。

1月31日、断髪式で元横綱照ノ富士の伊勢ケ浜親方㊧をねぎらう元横綱の白鵬翔さん
伊勢ケ浜親方は協会を通じ、「受けた処分について真摯(しんし)に受け止め、皆さまからの信頼を取り戻せるよう努力してまいります」とコメントした。横綱経験者が年寄に降格するのは、2024年2月の前宮城野親方(元横綱白鵬)以来となった。
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◆2018年、「暴力決別」を宣言したのに
角界の暴力問題が、また明らかになった。日本相撲協会は2018年に「いかなる暴力も許さない」と暴力決別宣言を発表し、定期的に全協会員対象の研修会を開いているが、不祥事は再び繰り返された。

1月31日、断髪式を終えてあいさつする元横綱照ノ富士の伊勢ケ浜親方
直近では2024年、幕内の北青鵬(後に引退)による弟弟子への暴力が発覚。師匠だった当時の宮城野親方(元横綱白鵬)は、協会への報告を怠ったなどとして2階級降格処分と部屋閉鎖の厳罰を受けた。師匠による弟子への暴力では、2020年に中川親方(元幕内旭里)が2階級降格処分を受け、部屋は閉鎖となった。
◆「すぐに報告してきた。一過性のもの」
今回は伊勢ケ浜部屋の閉鎖には至らず、伊勢ケ浜親方は師匠を継続する。藤島広報部長(元大関武双山)は、過去の2例は協会に報告がなかったことで暴力行為が長期間、続いたと強調。今回の件については「本人がすぐに報告してきた。一過性のもの」と処分内容の妥当性を説明した。

1月18日、初場所8日目で大の里を破り、懸賞金を手にする伯乃富士
暴力の発端は伯乃富士による宴席での不適切行為。協会への自己申告の早さも含め、情状酌量が認められた形だ。とはいえ、現役時代に最高位に君臨した師匠が弟子に手を上げた事実は重い。事実関係などを調査した協会コンプライアンス委員会も「親方としての自覚に欠け、到底許されるものではなく、厳しい処分が求められる事案」と断じている。
今後は協会と、部屋が所属する伊勢ケ浜一門が定期的に状況を確認する。「師匠としての立ち振る舞いがちゃんとできているか見てもらう」と藤島広報部長。部屋の運営について、実効性のある検証も求められるだろう。改めて協会は襟を正さなければならない。(丸山耀平)
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