侍ジャパン新監督に松井秀喜氏が浮上、巨人次期監督の声も…ゴジラは火中の栗を拾うのか

侍ジャパンの宮崎合宿で、日本代表のウエアを羽織って笑顔を見せる松井秀喜氏=2月15日、宮崎県総合運動公園(松永渉平撮影)

野球日本代表「侍ジャパン」の次期監督として、米大リーグ・ヤンキースのゼネラルマネジャー(GM)付特別アドバイザーを務める松井秀喜氏(51)の名前が浮上している。複数の球界関係者は「侍ジャパンの監督を決めるキングメーカーの意中の人は松井氏」と言い、オファーを出すのが濃厚とみられている。古巣の巨人は今季、阿部慎之助監督(47)が3年契約の最終年を迎え、成績次第では退任の可能性がある。巨人次期監督の有力候補でもある松井氏の対応に注目が集まる。

準々決勝でベネズエラに敗れ、記者会見に臨む侍ジャパンの井端弘和監督=2026年3月14日、ローンデポ・パーク(松永渉平撮影)

井端氏は退任へ

ファンの声援に応える巨人・阿部慎之助監督。今季は3年契約の最終年となる=2026年4月8日、マツダスタジアム(渋井君夫撮影)

野球の国・地域別対抗戦、第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンを率いた井端弘和監督(50)は、3月15日に米フロリダ州マイアミで行われた準々決勝のベネズエラ戦に逆転負けを喫すと、「結果がすべてなので」と退任の意向を表明。5月末に任期満了で退任することが確実となった。

古巣・巨人の春季キャンプで、坂本勇人(左)と談笑する臨時コーチの松井秀喜氏=2026年2月10日、宮崎県総合運動公園(萩原悠久人撮影)

日本野球機構(NPB)やアマチュア野球を統括する全日本野球協会などの委員で構成する「侍ジャパン強化委員会」は、新体制構築を目指して後任の監督人事を今後、本格化させる。そうした状況下、複数の球界関係者は「次期監督の有力候補に松井秀喜氏が入っている」と話し、「最終的にGOサインを出す、NPBの最有力者の意向は松井氏」と話した。

しかし、たとえオファーを出したとしても、松井氏が受諾する可能性はどれほどあるのか。懐疑的になってしまう理由は、侍ジャパンを待ち受ける険しい道のりだ。

3年契約の最終年

来年11月には、2028年ロサンゼルス五輪の出場権が懸かる国際大会「プレミア12」が控える。ロス五輪には開催国枠の米国を含め6チームが出場するが、プレミア12でアジア最上位に入らなければ出場権を得られない。ここで出場権を逃した場合は最終予選に回り、最後の1枠を争う。ロス五輪の出場権を逃すような事態になれば、監督は猛烈な批判を浴びるだろう。

さらに松井氏の古巣である巨人の動向もある。阿部監督は今季が3年契約の最終年。就任1年目の24年はリーグ優勝を果たしたが、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでDeNAに敗れ、日本シリーズの出場権を逃した。昨季は3位に終わり、優勝した阪神には8勝17敗と惨敗。常勝が義務付けられている巨人の監督として今季も優勝を逃した場合、契約は延長されるのか。状況によっては、新監督候補として日米通算507本塁打のレジェンド、松井氏を推す声が高まるだろう。

監督就任のリスク

井端氏が侍ジャパン監督に就任したのは23年10月だった。同年3月の第5回WBCで3大会ぶりの世界一奪還に導いた栗山英樹前監督が退任後、侍ジャパン強化委員会は日本球界の複数の候補者と接触。監督就任を打診したもののことごとく断られ、ようやく井端氏に決まった経緯がある。

監督を引き受ければ、勝てば官軍、負ければ賊軍…のリスクを背負い、プロ野球12球団のいかなる要請も断らざるを得ない-。そんな事情があるから引き受け手がないのだ。3年の歳月が流れた今現在も状況は全く変わらない。松井氏が有力候補の一人であるにせよ、先行きは極めて不透明といえる。ある球界関係者は「松井氏をはじめ、また次々に断られるのでは…」とため息を漏らした。

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て客員特別記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。