厚生年金+国民年金「ひと月20万円以上のラインに届く人」はどれほどいるのか

年金だけでは足りない? データで見る高齢者世帯の「リアルな所得構成」

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厚生年金+国民年金「ひと月20万円以上のラインに届く人」はどれほどいるのか

新年度が始まり、ご自身のマネープランや将来のライフプランを改めて見直している方も多いのではないでしょうか。

2026年度(令和8年度)の年金改定により、国民年金の満額が月額7万608円となるなど、物価変動を反映した最新の数字が明らかになりました。

改定後の新しい年金額は「6月支給分」から実際に反映されるため、いよいよその変化を実感するタイムリーな時期でもあります。

老後の生活を支える柱である「公的年金」ですが、ご自身が将来いくら受け取れるのか、そしてその金額だけで生活が維持できるのかは、世代を問わず切実な関心事です。

特に「月額20万円」という数字は、安定したセカンドライフを送る上での一つの目安とされます。しかし、実際にその水準に達している受給者がどの程度いるのか、統計上の事実は意外と知られていません。

最新の調査結果を紐解くと、厚生年金受給者のうち月20万円以上を受け取っている層は全体の2割に満たず、多くの世帯が年金以外の収入で家計を補っている実態が見えてきます。

今回は、日本の公的年金制度の基本構造をおさらいするとともに、最新の受給額分布データから見える「年金格差」と、高齢者世帯のリアルな所得構成について詳しく解説します。

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おさらいしよう! 日本の公的年金制度「2階建て」の仕組み

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日本の公的年金制度は、「国民年金(基礎年金)」をベースとし、会社員や公務員などが「厚生年金」に上乗せ加入する二階建て構造です。

1階部分:国民年金(基礎年金)

・誰が加入する?:原則として「国内在住の20歳以上から60歳未満」全員

・保険料はいくら?:全員一律(2026年度月額 1万7920円)

・老後の受給額はいくら?:全期間(480カ月)納付すれば満額(2026年度月額 7万608円)

国民年金の被保険者区分

・第1号被保険者:農業者・自営業者・学生・無職の人など

・第2号被保険者:厚生年金の加入者

・第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者

2階部分:厚生年金

・誰が加入する?:会社員や公務員、またパート・アルバイトで特定適用事業所(※4)に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入

・保険料はいくら?収入に応じて決まり、給与からの天引きで納付(保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算)

・老後の受給額はいくら?:加入期間や納めた保険料により個人差あり

・被保険者区分は?:第1号~第4号の4区分

厚生年金の被保険者区分

・第1号:第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人

・第2号:国家公務員共済組合の組合員

・第3号:地方公務員共済組合の組合員

・第4号:私立学校教職員共済制度の加入者

【最新データ】厚生年金と国民年金、平均受給額は月にいくら?

厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、公的年金(厚生年金・国民年金)の平均年金月額、および年金月額分布を見ていきます。

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厚生年金・国民年金の平均月額(2024年度末現在)

厚生年金:平均年金月額はいくら?

・男女全体:15万289円

・男性:16万9967円

・女性:11万1413円

※厚生年金の月額には国民年金の月額部分が含まれています。また、ここでは、会社員など民間の事業所で雇用されていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」の年金月額を紹介しています。

国民年金:平均年金月額はいくら?

・男女全体:5万9310円

・男性:6万1595円

・女性:5万7582円

国民年金の平均月額は、男性は6万円台・女性は5万円台にとどまります。これは、保険料が全員一律となる国民年金の仕組み上、受給額に大きな差が出にくいことが影響しています。

2026年度の国民年金の満額(1人分)が月額7万608円です。国民年金のみで年間240万円(月額20万円)超の年金収入を確保することは現実的ではないでしょう。

一方、厚生年金は国民年金に上乗せされる形で支給されます。さらに、加入月数とその期間の収入に応じて保険料と受給額が変動するしくみです。そのため、国民年金と比べて年金額に個人差が出やすいのが特徴です。

厚生年金の平均月額は男女全体で15万289円ですが、男性は16万9967円、女性は11万1413円と、男女間でも大きな差が見られます。

上記の公的年金の平均額を踏まえると、公的年金収入だけで老後の生活を維持できるのかが気になるところです。特に「月額20万円」は、年金だけで生活費を賄えるかどうかの一つの大きな目安となるでしょう。

厚生年金+国民年金「ひと月20万円以上のラインに届く人」はどれほどいるのか

本章では、厚生年金(国民年金部分を含む)の受給額分布を見てみましょう。

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厚生年金の受給額ごとの受給権者数

厚生年金:受給額ごとの人数

・1万円未満:4万3399人

・1万円以上~2万円未満:1万4137人

・2万円以上~3万円未満:3万5397人

・3万円以上~4万円未満:6万8210人

・4万円以上~5万円未満:7万6692人

・5万円以上~6万円未満:10万8447人

・6万円以上~7万円未満:31万5106人

・7万円以上~8万円未満:57万8950人

・8万円以上~9万円未満:80万2179人

・9万円以上~10万円未満:101万1457人

・10万円以上~11万円未満:111万2828人

・11万円以上~12万円未満:107万1485人

・12万円以上~13万円未満:97万9155人

・13万円以上~14万円未満:92万3506人

・14万円以上~15万円未満:92万9264人

・15万円以上~16万円未満:96万5035人

・16万円以上~17万円未満:100万1322人

・17万円以上~18万円未満:103万1951人

・18万円以上~19万円未満:102万6888人

・19万円以上~20万円未満:96万2615人

・20万円以上~21万円未満:85万3591人

・21万円以上~22万円未満:70万4633人

・22万円以上~23万円未満:52万3958人

・23万円以上~24万円未満:35万4人

・24万円以上~25万円未満:23万211人

・25万円以上~26万円未満:15万796人

・26万円以上~27万円未満:9万4667人

・27万円以上~28万円未満:5万5083人

・28万円以上~29万円未満:3万289人

・29万円以上~30万円未満:1万5158人

・30万円以上~:1万9283人

公的年金収入が「月額20万円以上」に達しているのは、厚生年金受給権者のうちわずか18.8%にとどまります。

8割以上の人がひと月20万円未満となっているのが実情です。年金収入は世帯単位で考える必要もありますが、公的年金だけで安定した生活を送るためには、自助努力による備えが欠かせません。

なお、この数字は、あくまで厚生年金を受給している人のなかでの割合です。国民年金のみを受給している方々も含めて全体を見渡すと、年金月額が「月額20万円以上」となる人の割合は、さらに低くなると考えられます。

年金だけでは足りない? データで見る高齢者世帯の「リアルな所得構成」

厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の「1世帯あたりの平均所得金額」を見ていきましょう。

おさらいしよう! 日本の公的年金制度「2階建て」の仕組み, 1階部分:国民年金(基礎年金), 2階部分:厚生年金, 【最新データ】厚生年金と国民年金、平均受給額は月にいくら?, 厚生年金:平均年金月額はいくら?, 国民年金:平均年金月額はいくら?, 厚生年金+国民年金「ひと月20万円以上のラインに届く人」はどれほどいるのか, 厚生年金:受給額ごとの人数, 年金だけでは足りない? データで見る高齢者世帯の「リアルな所得構成」, 高齢者世帯の平均所得金額, 公的年金という「ベース」に、自分なりの上乗せを

出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

高齢者世帯の平均所得金額

(カッコ内は総所得に占める割合)

総所得:314万8000円 (100.0%)

【内訳】

・稼働所得:79万7000円(25.3%)

・公的年金・恩給:200万円(63.5%)

・財産所得:14万4000円 (4.6%)

・公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万8000円 (0.6%)

・仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得18万9000円(6.0%)

高齢者世帯の平均総所得は年314万8000円、月額に換算すると約26万円です。

主な内訳は、所得の3分の2を占める月額約16万6000円の「公的年金」と、約2割を占める月額約5万5000円の「雇用者所得」です。

この所得構成からは、高齢者世帯の生計が公的年金をベースとしながら、主に仕事による収入で補われている様子がうかがえます。

※雇用者所得:世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額で、税金や社会保険料を含む

公的年金という「ベース」に、自分なりの上乗せを

今回は、最新の統計データをもとに、日本の公的年金の受給実態と高齢者世帯の所得構成について見てきました。

厚生年金の平均月額は約15万円ですが、受給額ごとの分布を確認すると「月20万円」を超えるのは全体のわずか18.8%。国民年金がベースとなる自営業層などを含めれば、公的年金だけで月20万円の収入を確保できるのは、現役時代に高い所得を維持し続けたごく一部の層に限られるのが実情です。

実際に、高齢者世帯の平均所得の内訳を見ると、総所得の約3分の1は「仕事(稼働所得)」やその他の収入が占めており、年金の不足分を補っている様子がうかがえます。

人生100年時代、長く続くセカンドライフを公的年金だけに頼り切るのは、リスクを伴う可能性が高いと言わざるを得ません。

まずは、誕生月に届く「ねんきん定期便」などで自身の将来の受給見込額を正確に把握することがスタートです。その上で、iDeCoや新NISAを活用した資産形成や、「長く働く」といった選択肢を組み合わせ、自分なりの所得ポートフォリオを構築することが重要になります。

国の制度の現状を正しく理解し、早い段階から自助努力による備えを整えていくことが、ゆとりと安心感のある老後を実現するための確かな一歩となるでしょう。

参考資料

・厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

・厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」

・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」

・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明

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