【厚生年金+国民年金(基礎年金)】ひとりで「月15万円(年額180万円)」を超える人は何割? 2026年度は国民年金・厚生年金ともに増額改定
106万円の壁撤廃でパートの年金はどう変わる

【厚生年金+国民年金(基礎年金)】ひとりで「月15万円(年額180万円)」を超える人は何割?2026年度は国民年金・厚生年金ともに増額改定
ゴールデンウィークも終わり、少し落ち着いたこの時期に、将来のお金について考えてみるのはいかがでしょうか。特に「おひとりさま」の老後生活では、どれくらいの資金が必要になるのか気になる方も多いでしょう。
まずは、公的なデータから単身世帯の老後に必要な生活費の目安を確認し、年金だけでそれをまかなえるのか、という現実を見ていきます。

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯における消費支出、つまり生活費は月平均で14万8445円です。一方で、税金などを差し引いた可処分所得は11万8465円となっており、毎月2万9980円、およそ3万円が不足するという計算になります。
このデータから、老後生活を守るための一つの目安として「月額約15万円」というラインが見えてきます。
それでは、公的年金だけでこの金額を受け取っている人は、実際にどのくらいいるのでしょうか。公表されている資料を基に、現役世代が今のうちに知っておきたい年金受給の現実を詳しく見ていきましょう。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
日本の公的年金は2階建て!「国民年金」と「厚生年金」の仕組みとは
日本の公的年金制度は、基礎となる「国民年金(基礎年金)」に、会社員などが上乗せで加入する「厚生年金」を加えた構造から、「2階建て」といわれています。
ここでは、それぞれの年金制度の基本的な仕組みについて確認します。
公的年金の基本構造について

1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」の概要
・加入対象:日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が原則として加入します。
・保険料:収入にかかわらず定額ですが、毎年度見直しが行われます。(※1)
・受給額:保険料を480カ月(40年間)すべて納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取れます。(※2)未納期間がある場合は、その期間に応じて受給額が減額されます。
※1 国民年金保険料:2026年度の月額は1万7920円です。
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2026年度の月額は7万608円です。
2階部分にあたる「厚生年金」の概要
・加入対象:会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所(※3)に勤務し、一定の要件を満たす方が国民年金に上乗せして加入します。
・保険料:給与や賞与などの収入に応じて決まりますが、上限が設けられています。(※4)
・受給額:加入していた期間や納めた保険料の総額によって、一人ひとり異なります。
この2階部分である厚生年金は、主に会社員や公務員が国民年金とあわせて加入する制度です。そのため、国民年金と厚生年金では加入する人や保険料の決まり方、将来受け取る年金額の計算方法に違いがあります。
こうした仕組みから、老後に支給される年金額は、個人の加入履歴や現役時代の収入によって大きく変わってくるのです。
加えて、公的年金の額は物価や現役世代の賃金の動きに合わせて毎年改定されるという点も、理解しておくべき重要なポイントです。
※3 特定事業所:1年のうち6カ月以上、厚生年金保険の被保険者(短時間労働者を除く、共済組合員を含む)の総数が51人以上になると見込まれる企業などを指します。
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に、定められた保険料率を掛けて算出されます。
【2026年度】年金額は増額へ!国民年金は+1.9%、厚生年金は+2.0%に
公的年金の支給額は、毎年度、賃金や物価の変動を考慮して見直されます。2026年度分については、国民年金(基礎年金)が前年度比で+1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が+2.0%となり、4年続けての増額改定が決定しました。

2026年度の年金額
・国民年金(老齢基礎年金・満額):月額7万608円(1人分 ※1)
・厚生年金:月額23万7279円(夫婦2人分※2)
※1 昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(前年度から1300円増)となります。
※2 平均的な収入(賞与を含む月額換算で45万5000円)の男性が40年間就業した場合に受け取り始める年金の給付水準で、老齢厚生年金と夫婦2人分の老齢基礎年金(満額)を合計した額です。
国民年金のみに加入していた場合、満額(※3)でも月々の支給額は約7万円です。仮に受給開始を上限である75歳まで遅らせる「繰下げ受給」(※4)を利用したとしても、月額は13万円に満たない計算になります。
※3 国民年金(老齢基礎年金)の満額:国民年金の保険料を480カ月納付した場合に、65歳から受け取れる年金額を指します。
※4 繰下げ受給:老齢年金の受給開始を66歳から75歳までの間で遅らせる制度です。1カ月遅らせるごとに0.7%ずつ増額され、75歳から受給を開始すると増額率は最大で84%になります。
厚生年金の受給額、月15万円を超える人はどのくらい?分布データを解説
厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金受給者の男女合計での平均月額は15万289円です。この金額には、1階部分である国民年金(老齢基礎年金)の額も含まれている点に注意が必要です。
受給額ごとの人数分布をまとめたものが、以下のデータです。
【データで見る】厚生年金受給権者数|受給額別の分布

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
・1万円未満:4万3399人
・1万円以上~2万円未満:1万4137人
・2万円以上~3万円未満:3万5397人
・3万円以上~4万円未満:6万8210人
・4万円以上~5万円未満:7万6692人
・5万円以上~6万円未満:10万8447人
・6万円以上~7万円未満:31万5106人
・7万円以上~8万円未満:57万8950人
・8万円以上~9万円未満:80万2179人
・9万円以上~10万円未満:101万1457人
・10万円以上~11万円未満:111万2828人
・11万円以上~12万円未満:107万1485人
・12万円以上~13万円未満:97万9155人
・13万円以上~14万円未満:92万3506人
・14万円以上~15万円未満:92万9264人
・15万円以上~16万円未満:96万5035人
・16万円以上~17万円未満:100万1322人
・17万円以上~18万円未満:103万1951人
・18万円以上~19万円未満:102万6888人
・19万円以上~20万円未満:96万2615人
・20万円以上~21万円未満:85万3591人
・21万円以上~22万円未満:70万4633人
・22万円以上~23万円未満:52万3958人
・23万円以上~24万円未満:35万4人
・24万円以上~25万円未満:23万211人
・25万円以上~26万円未満:15万796人
・26万円以上~27万円未満:9万4667人
・27万円以上~28万円未満:5万5083人
・28万円以上~29万円未満:3万289人
・29万円以上~30万円未満:1万5158人
・30万円以上~:1万9283人
このデータを見ると、厚生年金を月額15万円以上受け取っている人は全体の49.8%と、半数に届いていないことがわかります。厚生年金に加入していなかった人を含めると、この割合はさらに下がると考えられます。
「年収106万円の壁」がなくなる?2025年成立の年金制度改正法を解説
2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」では、パートやアルバイトとして働く人々の働き方に大きく影響する、いわゆる「年収106万円の壁」をなくすための改正が盛り込まれました。
パート・アルバイトに関わる「106万円の壁」の基本

出所:厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」に関するQ&A(キャリアアップ助成金関係)
「106万円の壁」とは、パートタイマーやアルバイトなどの短時間労働者の方の年収が106万円を超えると、社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養を外れ、自ら保険料を納める必要が生じる基準額のことです。
この基準を超えると保険料の負担で手取り額が減少するため、収入が基準額を上回らないように労働時間を調整する、いわゆる「働き控え」が起こる一因と指摘されてきました。
社会保険の適用対象となる企業の規模はこれまで段階的に広げられており、2024年10月からは従業員数「51人以上」の事業所が対象となっています。
今回の法改正では、このうち「賃金要件」を3年以内に撤廃し、「企業規模要件」を10年かけて段階的になくしていく方針が示されました。
改正のポイント:社会保険の加入対象が拡大へ

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
2025年7月時点において、パートタイマーなどの短時間労働者が社会保険に加入するためには、次の5つの要件をすべて満たす必要があります。
・週の所定労働時間が20時間以上
・2カ月を超える雇用の見込みがあること
・学生でないこと
・所定内賃金が月額8万8000円以上(賃金要件)
・従業員数51人以上の企業で働いている(企業規模要件)
今回の改正によって、このうち4番目の「賃金要件」と5番目の「企業規模要件」が撤廃されることになります。
いわゆる「106万円の壁」の根拠となる賃金要件は、全国の最低賃金の引き上げ状況を考慮しつつ、3年以内に廃止される予定です。また、社会保険の適用対象となる企業規模の要件は、10年という期間をかけて段階的に撤廃されます。
まとめ:自分の年金見込額を把握し、早めの対策を
ここまで公的年金をめぐる状況について見てきましたが、年金だけで老後の生活を支えるのは、年々厳しくなっているのが現状です。
現役で働く世代にとって、将来の資金不足は避けて通れない課題といえるでしょう。大切なのは、まず現状を正しく理解し、早めに対策を始めることです。
投資を活用した資産形成や、日々の生活費の見直しなど、今から取り組めることは数多くあります。まずはご自身に合った方法で、一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
・厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
・政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。」
・厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」に関するQ&A(キャリアアップ助成金関係)
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