与党の大物代議士とも交友が…被害者5000人「250億円詐欺」疑惑の会社が見せていた“政界人脈”

「信用してしまった」

藤田文武・日本維新の会共同代表(45)の横で、口元を引き締めながら記念写真に納まる中年の男。一見、ツーショットをせがんだ支持者に見えるが――実はそんな穏やかな話ではない。

関西地方に住む60代男性のAさんが憤慨する。

「この男を信じたばっかりに、老後の蓄えのほぼ全額に等しい4800万円を失いました。自宅の売却という最悪の事態を避けるため、還暦過ぎの老骨に鞭を打ってアルバイトを始めました……」

S氏と藤田氏のツーショット。この写真が撮影された勉強会には、大物政治家や自治体の首長らが登壇したという

藤田代表の隣に立つ「この男」、サーバー関連事業を展開する合同会社「クリアースカイ」(以下、クリア社)の執行役員・S氏なのである。クリア社は顧客5000人から、約250億円を巻き上げて音信不通となり、第三者破産を申し立てられたうえ、行政処分を求めて消費者庁に告発されたことで世間を騒がせた。

クリア社を巡っては、元阪神の関本賢太郎氏(47)が同社の設立5周年パーティーに参加したりセミナーに登壇したりして信用形成に一役買っていたことを『文春オンライン』が報道。活動自粛に追い込まれたのは記憶に新しいが、クリア社は「政治家も利用している」とAさんは言うのである。

被害者弁護団の加藤博太郎弁護士がクリア社の手口を解説する。

「同社は出資者に『最新のIPFSサーバー機器の普及は国策として進められている。この事業に出資すれば、数ヵ月以内に110%のリターンを出す』と謳っていましたが、サーバーは実際には1基しか持っておらず、クリア社が主張する性能であったかも怪しい。

出資当初に出ていた配当は今年2月までにすべてストップ。出資者の問い合わせにも応じなくなりました。実際には存在しない物品を購入させ、少しだけ配当を出して巨額の出資金をゴッソリ持ち逃げするというのは、詐欺事件で繰り返し使われてきた手口です」

そんな手垢のついた怪しい預託商法を、多くの人が信じ込んだのには理由がある。前出のAさんが嘆く。

「Sやクリア社の幹部は、同社のセミナーやSNSで大物政治家との交流を盛んに喧伝するのです。藤田氏以外に、自民党の元総理大臣や閣僚経験者とのツーショット写真も見ました。政権与党の大物政治家と親しい人物が幹部を務める企業なら国策に通じているだろうし、何より安全。そう思い込んでしまった」

S氏は政治家との繋がりを武器に、クリア社で存在感を高めていったという。

「クリア社は、実質的な経営者であるTと二人の息子が最高幹部。その次のナンバー4的な地位にあったのがSです。Sはクリア社の執行役員であると同時に、自身が設立した法人を同社の代理店にしていました。彼が契約を獲得すると、通常の代理店よりも高い割合のコミッションを得られたのです」(クリア社の元関係者)

名前が取り沙汰された3人の議員

政治資金パーティーなどに潜り込んで撮影した有力議員との記念写真を信頼獲得に利用するのは、詐欺や悪徳商法の常套手段。だが、S氏はそこに″ひと手間″加えていた。

前出のクリア社の元関係者が明かす。

「藤田氏との写真は、一般社団法人『地域から日本を変える』が主催した勉強会で撮られたものです。同法人の運営の中心人物が、政界にパイプを持つH氏。SはH氏と昵懇で、彼が講師として招く政治家とコネクションを作った。

『地域から日本を変える』でSが撮った政治家との記念写真は、顧客の信頼を獲得するために利用されていました」

’24年10月、当時デジタル大臣を務めていた平将明衆議院議員(59)がT氏の次男と並んで座る写真をS氏がLINEで拡散。そこには「若手実業家の意見交換会に呼ばれた」と説明文が添えられていた。

また、昨年7月にS氏が主宰した講演会には、当時文部科学副大臣の職にあった野中厚衆議院議員(49)から祝電が送られていた。その祝電を持ったS氏の写真(2枚目)も、同様に出資者の信頼獲得に利用された。

「政治家との繋がりだけでSを信じたわけではありませんが、それがなければ騙されることはなかった。もちろん悪いのはクリア社ですが、影響力のある人は立場をわきまえてほしい……」(Aさん)

クリア社とはどういう関係なのか。被害者からの信頼獲得に利用されたことをどう思うのか。名前が取り沙汰された3人の議員とH氏に質問状を送付したところ、野中氏の事務所は「消費者庁に対し、弁護士らから預託法違反の告発状が提出されたとの報道があることを知り驚きました。地元支援者を通じて祝電依頼がありメッセージを発出した」などと回答。

平氏の事務所からは「T氏の次男とは面識もありません。平の名前が使われることで被害に遭われた方がいらっしゃるのであれば誠に遺憾に思います」と回答があった。

藤田氏とH氏からは、期日までに回答はなかった。

大物議員たちとの関係について質(ただ)すべくクリア社に電話すると、「お客様のご都合によりお繋ぎできません」というガイダンスが流れるだけだった。

疑惑の会社が見せつけていた″政界人脈″。まんまと利用された大物議員たちも被害者には違いないが、公人である以上、付き合う企業や人間は選ぶべきではなかったか。

当時、文部科学副大臣だった野中氏の祝電を手にするS氏。野中氏は、報道でクリア社の詐欺疑惑を知ったと回答

’24年11月のクリア社設立5周年パーティー。会場には関本氏など人気アスリートが登場したほか、有名格闘家からも花束が贈られていた

T氏の次男と食事したとされる平氏。この写真も拡散されて、被害者らがクリア社を信用する一因になっていた

取材・文:奥窪優木(フリーライター)