セブン、ファミマ、ローソンにはもう勝てない…ミニストップがそれでもイオンに必要とされる"深い事情"

2025年度のコンビニ大手の業績が発表された。多くの報道で言われていた通り、ローソンが好調、ファミマも堅調に伸びる一方で、セブン-イレブン・ジャパンは営業減益となり、伸び悩みが目立つ結果となった。

【画像でわかる】セブン、ファミマ、ローソンと比べて、ミニストップ店舗数はこんなに少ない

店舗ベースのデータでも、ローソン、ファミマが平均日販でセブンとの差を縮め、既存店売上を3~4%ほど伸ばしているのに対して、セブンは平均日販、既存店売上ともに微増にとどまった。セブンとの実力差は少しずつ縮まっていることは間違いあるまい。

とはいえ、数字を見て再認識するのは、セブンの絶対値の圧倒的な強さがまだまだ揺るがない、ということだ。規模も収益も収益率も平均日販も、2位以下に大きな差をつけている事実に変わりはなく、ファミマ、ローソンがその背中をはっきり捉えた、とまでは言いがたい。

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もう大手とも言いがたいミニストップ

ファミマ、ローソンは今や大手商社や携帯キャリアのグループ会社として、株主対策等に気を取られることなく、事業推進に邁進している。一方のセブンは、買収提案され「カナダからの手紙」への対応に追われていたのだから、影響がないわけはなかろう(SEIが米国コンビニ大手として大きくなったときから想定しておくべきだった、といえばそうなのだが……)。

物価上昇による消費の二極化が進む中、コンビニも顧客の離脱対策として、消費者への寄り添いが必要だった。圧倒的トップブランドであったセブンがこの変化対応に出遅れたことは、自他ともに認めるところである。正直、それどころではなかったのだろう、と勝手に想像している。

ただし、今回本当に考えたいのは、大手3社の順位争いではない。3社寡占が強まる中で、4番手以下のチェーンがどこまで追い詰められているのか、という点である。そこで気になるのが、4番手ながら、もう大手とも言いがたくなってしまっているミニストップのことである。

ミニストップといえば、昨年8月に店内調理商品の消費期限表示をめぐる不正が複数店舗で発覚したことは記憶に新しい。手づくりおにぎりや弁当、店内加工惣菜の製造・販売を一時停止し、再発防止策を講じることになった。

この影響で、ミニストップの売上高は大きく落ち込んだ。店内調理商品の販売停止により、同社の強みである店内加工FF(ファストフード)の売上が大きく減少し、客数も落ち込んだ。さらに、再発防止のための監視カメラ設置やラベル発行機の見直しなどの費用もかさみ、期初の黒字計画から一転して、大幅な赤字計上を余儀なくされた。

偽装問題前の水準に戻らないミニストップ

次の図表は既存店の月次動向であるが、発覚以降、店内調理売上が大きく減り、売上全体も低迷した。10月以降、店内調理商品の販売は順次再開しているものの、直近でも問題前の水準には戻っていない。

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ただ、ここで考えるべきなのは、この問題だけをミニストップ不振の原因と見るべきではない、ということである。むしろ、ミニストップの業績不振は問題の前からずっと続いていた。そう考えると、消費期限偽装は業績不振をもたらした原因というより、業績不振こそが問題の遠因かもしれない。

ミニストップの業績不振は、今に始まったことではない。2010年代半ばから国内業績は減収傾向が続き、収益低迷から抜け出せない状況が続いてきた。次の図表は2002年以降の国内におけるチェーン全店売上高、経常利益の推移を示したものだが、2012年度を売上のピークに、その後は売り上げも収益も右肩下がりとなっている。

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同じ時期の業界全体の売上動向と並べてみると、2010年代にコンビニ業界全体では全店売上増減率が大きく伸びる一方、既存店売上増減率はマイナスに転じていることがわかると思う。

これは大手3社が出店を加速したことで市場規模は拡大したものの、同時に市場飽和の兆候が見え始め、競争環境が急速に悪化していったことを意味している。とりわけ下位チェーンには、減収圧力が一気に高まった。

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この圧力が、コンビニ業界の再編を加速させることになる。コンビニ業界では1990年代にも再編が進行していたが、競争の激化によって、2010年にはam/pmがファミリーマートに、2016年にはサークルK・サンクスがファミリーマートに統合されることになった。その結果、セブン、ファミマ、ローソンの3社寡占体制が確立し、上位3社が市場の大半を占める構図となった。

ミニストップはじりじりと縮小

こうした上位寡占化の進行とコンビニ市場の飽和が重なり、上位に圧迫されていったミニストップは、減収、減益、赤字化という業績低迷から抜け出せなくなっていった。

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こうした状況になれば、多くの場合は大手との統合に進むのであろう。だが、幸か不幸か、ミニストップは流通大手イオングループの傘下企業として、存続し続けることが可能だった。そのうえ、イオンはミニストップを他社グループに出すような意向も見せなかったため、ミニストップはじりじりと縮小しつつ、赤字に転落し、そのまま回復できずにいる。

抜本的な改善策が見えない中、ミニストップが選んだのは、収益率の高い店内調理を強化することで収益改善を図るという策だった。だが、その店内調理こそが、今回の消費期限偽装へとつながる伏線になったようにも見える。

店内調理とは、弁当や総菜などを店内の調理場で調理・提供することで、できたて感を訴求して他社と差別化し、内製化によって高い粗利を確保できる、というメリットがある。

しかし、半面では提供オペレーションが煩雑であり、人出がかかるため、人出不足の昨今では人員確保は、通常よりも現場に大きな負担を強いる。また、工場生産ではないため、その消費期限も短く、店内調理モノを強化すればするほど、廃棄ロスのリスクが拡大するというデメリットもある。

店内調理の強化という戦略の挫折

ミニストップは再発防止策の一つとして、店内調理品目を削減し、加盟店の負担を軽減するという選択を行っている。これは安全管理上は当然の対応だが、同時に、店内調理の強化によって業績改善を図ろうというミニストップの戦略自体が、いったん挫折したことの表れでもある。

消費期限偽装という問題は、店内調理強化による現状打破は困難である、という結論でもあろう。さらに言えば、3社寡占化が事実上確立した状況で、その環境に抗い続けることで、ミニストップの現場にひずみが起きているのであり、現状路線の延長線上では、ミニストップがコンビニとして存続することは、かなり難しいのであろう。

再発防止策によって、同じような問題は防止できるかもしれない。しかし、それがそのままミニストップの抜本的な競争力強化につながるわけではない。だとすると、ミニストップが採るべき選択肢とは、どういった方向性になるのだろうか。

思うに、あのイオンが業界覇権の可能性がない中小コンビニを持ち続けているのには、何らかの意味があるはずだ。それは、従来とは異なり、もうすぐコンビニとスーパーの境界線がなくなることを、イオンがよく知っているから、だと思うのだ。

これまでスーパーは、生鮮品などを店内で流通加工するのが主流だった。コンビニの店内加工とは少し違い、小分け、パック詰めなどが中心である。そのため、店舗内に広いバックヤードを併設し、各店舗で作業するオペレーションが一般的だった。

しかし、技術革新を背景に、人手不足や人件費高騰への対策として、スーパーはその工程を加工センターでの集中処理に切り替えていく転換期を迎えている。これは、コンビニの商品供給に近いオペレーションである。コンビニとスーパーは商品構成こそ異なるものの、仕組みの面では大きな違いがなくなっていく。つまり、スーパーとコンビニを共通のインフラで併営することが、これからは効率的になっていくということである。

そうした仕組みを実装して成功したのが、まさにイオンのまいばすけっとであり、この転換期の先端を走っているのがイオンだということだ。これからは、スーパーとコンビニの境界が薄れ、内食需要と中食需要の汽水域を、両者の融合型のような新業態が奪い合うようになる。

コンビニとスーパーの融合型

今のところ、そんな業態はまいばすけっとくらいしか目立っていないが、各社によるさまざまな融合型店舗の検証は始まっている。セブンのSIPストア、ローソンのLミニマート、トライアルのTRIAL GOなど、少し前からニュースになった小型店新業態は、この汽水域争奪戦のための戦略店舗なのである。

以上を踏まえて、ミニストップが現在取り組んでいる新業態「Newコンボストア」がどんなものかを思い出していただきたい。これこそ、コンビニとスーパーの融合型として、地域の内食需要をスーパーから奪うことを目指した実験業態である。

前段で、スーパーの流通加工が、店内バックヤード分散型からセンターインフラ活用型に転換する、という話をした。ただし、センターインフラの採用は、中小零細スーパーでは費用倒れになりやすい。一定規模のチェーンでなければ、規模の利益を享受しにくいからである。

各地に中堅中小が割拠している構造は、日本のスーパー業界の特徴でもあった。だが、大手による寡占化が進めば、そうしたシェア分散型の業界構造は確実に変わっていく。寡占化への移行期の競争は、大手同士の正面衝突というより、大手が中堅中小を統合していく動きとなる。そう考えると、相対的にはミニストップは、統合される側ではなく、統合する側の陣営に回ることができる。

コンビニ市場では「負け組」のミニストップも、スーパー内食市場再編では強者として復活する可能性があるため、イオンにとって利用価値は十分あるのだ。

スーパーの大再編期における重要なピース

ミニストップは少し前から、フランチャイズ契約に加えて、パートナーシップ契約を導入している。従来の粗利分配型から、店舗運営に必要な経費を差し引いた事業利益を加盟店と本部で分け合う方式へと移行しつつある。

移行する加盟店は増えているが、その一方で、FC契約を解消し直営店となる店舗もある。この動きは、加盟店に寄り添った契約への移行を促しつつ、今後の大再編期を共に戦う意思のある加盟店に絞り込んで、これからの激動期に臨もうとしているようにも感じられる。

偽装問題のダメージは大きかった。だが、加盟店からすれば、無理筋の戦略が是正されるよい機会だったと感じている可能性もある。ある意味で膿を出したミニストップは、スーパーの大再編期におけるイオンの重要な戦略ピースであり続けるだろう。