毎月60万円をNISAで投資する40代夫婦「今後の教育費は足りる? ずっと賃貸で間違いない?」

毎月60万円をNISAで投資する40代夫婦「今後の教育費は足りる? ずっと賃貸で間違いない?」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回の相談者は、毎月60万円というハイペースでNISAへ資金移動されているご夫婦です。このような貯蓄・投資方法であっているのか、というご相談です。FPの氏家祥美氏とどちらの選択の方がよいか考えていきましょう。

【相談内容】

現在は余剰資金を使って毎月60万円ずつ新NISAに投資しています。これから教育費がどのくらいかかるのか、現状のような貯蓄を続けていけるのかが知りたい。また住宅は賃貸でいく予定ですが、この選択で間違っていないかを聞きたいです。

【相談者プロフィール】

・女性、42歳、既婚、自営業・役員

・夫:38歳(会社役員)

・子ども:0歳、2歳

・お住まい:賃貸

・毎月の世帯の手取り金額:61万円(夫16万、妻45万)

・年間の世帯の手取りボーナス額:150万円

・その他:児童手当3万円

【毎月の支出の内訳】

・毎月の世帯の支出の目安:30万円

・住居費:5万円

・食費:9万円

・水道光熱費:2万円

・教育費:7.5万円

・保険料:0.4万円

・通信費:1万円

・車両費:1万円

・お小遣い:2万円

・その他:子ども服・おもちゃ2万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:0万円

・ボーナスからの年間貯蓄額:0万円

・現在の貯金総額:500万円

・毎月の投資総額:60万円

・現在の投資総額:1,350万円

・現在の負債総額:0万円

自営業を営む子育て中のご夫婦からのご相談です。将来の教育資金準備のために、現在は毎月60万円というペースでNISAを活用されています。

このご相談では、現状の資金配分が適切かどうかを含め、次の3つの観点から整理していきます。

①30代自営業夫婦にとって、毎月60万円のNISA拠出は適切か

②教育資金の準備方法として何が最適か

③老後資金づくりをどのように並行して進めるか

毎月60万円のNISAは家計に対して多すぎる

毎月60万円ずつNISAに投資しているということですが、これはおそらく、NISAの年間投資可能額360万円を12等分した月額30万円を2人分ということでしょう。すでに余裕資金が十分にある方が、急ピッチでNISAに資金移動したい場合には、こうしたやり方が向いています。

しかし、ご相談者さんの場合、これが適切かというと必ずしもそうとは言えません。

毎月の家計を見ると、ご夫婦の手取り月収が61万円、毎月の支出が30万円ですから、手元に残るのは31万円です。毎月60万円をNISAに投資しているとのことですので、この黒字31万円を全額投資に回したとしても、毎月29万円(60万円-31万円)が不足する計算になります。年間150万円のボーナスの多くをNISAに回しているとしても補いきれず、今ある貯蓄を取り崩しながら投資している状態だと推測されます。

現在の金融資産は、投資額が1,350万円、預貯金が500万円となっています。これまでは相場が比較的上昇基調で、投資に回すことのメリットが多かったかもしれませんが、今後の相場はどうなるかわかりません。

それでも、お2人が公務員や安定した企業の会社員であればリスク許容度は高くなりますが、ご相談者さんご夫婦は自営業者です。今回、事業内容や経営状態については伺っていませんが、もしも事業が何かしらのリスクにさらされると、一気にお2人の収入が不安定になります。事業継続のために現金が必要になることもあるかもしれません。

もしもの事態を考えると、毎月の余剰資金を超えた金額をNISAに回すことは過剰と考えられます。賃貸暮らし、お子様あり、ご夫婦で自営業者という状況ですから、最低でも生活費の1年分は元本確保型の預貯金等で資金を確保しておきましょう。

教育費は2027年から始まる「こどもNISA」で準備を

これまでハイペースでNISAを活用してきていますが、NISAは一生のうちで投資可能額が最大1,800万円(運用益除く)の上限が決まっています。この枠は年間360万円のペースで拠出すると5年間で使い切ってしまう計算に。この枠を最優先で使い切ることはご相談者さんにはおすすめではありません。

ご相談者さんのお子さんは0歳、2歳。教育費のピークまでに十分時間があります。今回、教育資金のベースづくりとしてご相談者さんにおすすめしたいのは、今年の税制改正で創設が決まった「こどもNISA」の活用です。

「こどもNISA」とは、0〜17歳の未成年者が利用できるこども専用のNISA口座です。年間投資可能額は60万円まで、非課税保有限度額は600万円、非課税保有期間は無期限とされています。2026年の税制改正で創設されることが正式に決まったばかりで、2027年からの開始が予定されています。

教育資金ですが、高校卒業までの授業料や塾代は、あらかじめまとまった金額を蓄えるというよりは、その時々の家計から捻出すると考えましょう。小・中・高校の学費を支払いながら、並行して大学の授業料等を蓄えていくイメージです。

私立中学・高校への進学を予定している場合には、中学校から学費の負担が増えるため、中学校に入る前までになるべく大学の学費を貯め終えるというように、途中の進学先によって積立期間の工夫をするといいでしょう。

国立大学に進学する場合、入学金282,000円、年間授業料535,800円が標準額となっています。入学金と4年間の合計は、2,425,200円が標準額となります。国立大学では文系・理系に関わらずこの標準額が基準となりますが、大学によっては多少異なる場合があります。

私立大学は進学する学部によって大きく差が開きます。文部科学省の統計より、私立大学の学費を学部系統別に一覧にしました。

※文部科学省「令和5年度(2023年度)私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(調査結果の概要)」より作成

※入学金は初年度のみ

こうして見ると、それぞれのお子さんに対して「こどもNISA」で満額の600万円を積み立てれば、私立大学医歯系学部(6年)を除いて、その元本+運用益で概ねまかなえると考えられます。

600万円を10年間で積み立てる場合は、年間60万円、月額5万円になります。600万円を15年間かけて積み立てる場合なら、年間40万円、月額約3万3,000円になります。お子さんの年齢や進学コースに合わせて、積立額を設定してみましょう。

(以下引用)

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(以上引用)

老後資金は掛金が全額所得控除になるiDeCoの活用を

続いて検討してほしいのは、老後資金作りです。「こどもNISA」だけでは資金の余剰があると思うので、掛金が全額所得控除になる「iDeCo」を優先的に活用して老後資金作りを始めましょう。

ご自身で会社経営をなさっているご相談者さんが、すでに企業の経費として企業型確定拠出年金を導入していればそちらでも構いません。もし、退職金準備が手つかずで、かつ、節税をしながら手軽に老後資金を貯めたいと考えているのであれば、NISAで運用する金額を少し減らして、iDeCoで積立投資することをお勧めします。

iDeCoの掛金は全額所得控除にできるため、所得税や住民税負担を減らす効果があります。いつでも解約が自由にできるNISAと違って、iDeCoは60歳になるまでお金を引き出せない点には注意が必要ですが、こちらの方が税制上のメリットは大きくなるので、NISAと合わせて併用を検討してみましょう。

なお、iDeCoの掛金も改正されることが決まっています。2026年12月以降は、厚生年金の第2号被保険者の場合、企業型確定拠出年金など企業が負担する掛け金と合わせて、月額合計62,000円まで拠出できるようになります。拠出可能額が拡大し、働き方に関わらず70歳まで掛け金を拠出できるようになるので、こちらもあわせて考えてみるといいでしょう。

NISA一本ではなく「目的別」で制度を組み合わせる

NISAへの積極投資を通じて、投資残高が1,350万円あるご相談者さんですが、今後は、教育資金は「こどもNISA」で、老後資金は「iDeCo」を中心に活用していくことをおすすめしました。

「住宅は賃貸で行く予定」と伺いましたが、これの成否はこれだけの情報だと何ともお答えできません。今後の物件価格、ローン金利、事業の状況、ご家族の価値観、お子さんの教育方針などさまざまなことを鑑みて、これからゆっくり検討されていくといいと思います。

「こどもNISA」と「iDeCo」は、引き出し可能年齢に制限があります。教育資金と老後資金以外の余裕資金は、今後もNISAを使って運用されると思いますが、NISAは引き出し制限がありませんし、引き出した翌年には売却した商品の購入代金分の非課税枠が復活します。いつか住宅を買いたくなった時には、NISAの資金を住宅の頭金として使用するといいでしょう。