「ボルボ」購入者データ分析で明らかになった「ベンツ」や「BMW」とは明らかに異なる独特の価値基準

高級輸入車といえば、一般にはメルセデス・ベンツ、BMW、アウディの「ドイツ御三家」がまず思い浮かぶのではないだろうか。日本市場でも存在感は大きく、高級輸入車の王道として広く認知されている。

【図表と写真】ボルボ、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディの購入者を分析した

そういった輸入車市場の中で、やや異なる立ち位置にいるのが、ボルボだ。もちろん、ボルボも同じプレミアム市場に属するブランドだが、購入者の選び方を追っていくと、ドイツ御三家とは違う文脈で支持されていることが見えてくる。

そこで今回、ボルボ購入者とドイツ御三家の購入者データを見比べてみた。分析に使用したデータは、市場調査会社のインテージが毎月約70万人から回答を集める、自動車に関する調査「Car-kit®」である。

<分析対象車種・サンプル数>

・ボルボ購入者 255名

・メルセデス・ベンツ購入者 863名

・BMW購入者 862名

・アウディ購入者 536名

※いずれも分析対象は2022年1月以降の新車購入者のみ

売れているボディタイプはSUV

調査対象者が購入したクルマを見ると、ボルボ購入者の約7割がSUVで、約2割がステーションワゴンだった。

メルセデス・ベンツとBMWが、いまなお3割超のセダン購入者を抱えていることを考えると、この差は大きい。

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ボルボはもともとワゴンが強いブランドであったが、ここ10年ほどは世界的なSUVの盛り上がりに応じ、SUVが中心となっている。

ボルボはプレミアムブランドでありながら、伝統や威厳、格式を象徴するセダンではなく、日々のユーティリティに優れるSUVやワゴンの中で上質さを提供しているブランドだといえる。

ちなみに乗り換え時に手放したクルマ(=前有車)のボディタイプを見ると、ボルボ購入者ではSUVが36%、ステーションワゴンが30%で、この2つで全体の3分の2近くを占めていた。

購入車の約7割がSUVだから、「SUV→SUV」の乗り換えはその半分程度であることがわかる。

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その代わりステーションワゴン、セダンが多かった。つまり、買い替え時にステーションワゴンからSUV、セダンからSUV、といった乗り換えをした人が相応にいたことを表している。

さらに、購入時に「最後まで比較していたクルマ」のボディタイプを見ると、こちらは購入したクルマの分布と呼応する形で、ボルボ購入者:SUV66%、ステーションワゴン14%、セダン11%であった。

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アウディの主力SUV「Q5」は2025年7月にフルモデルチェンジしている(写真:アウディジャパン)

ドイツ御三家は、3メーカーともにSUVが45%程度、ステーションワゴンは10%未満で、セダンが25%前後と、ボルボ購入者とは求めるボディタイプが異なることがわかる。

購入時の実際の価格は?

それでは購入した人たちは、実際のところいくら支払っているのだろうか。「値引き前車両本体+オプション価格」と、「値引き額」「下取り額」「最終支払い額」の各データを下記に示す。

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「値引き前車両本体+オプション価格」の平均は、ボルボの710万円に対し、メルセデス・ベンツ:996万円、BMW:793万円、アウディ:684万円。

ボルボとドイツ御三家との差は、最大がメルセデス・ベンツで300万円弱。BMWとアウディとはそれぞれ上下に50万円前後の差である。

メルセデス・ベンツほど突出して高額ではないが、ボルボはアウディと近く、BMWにも迫る水準で、十二分にプレミアムである。

ボルボを語るうえで欠かせない「安全」

同じ輸入プレミアム車でも、何をもって「よいクルマ」と感じるかはブランドごとにかなり異なる。では、ボルボの何が最終的な決め手になっているのか。

「購入車の気に入った点」を見ると、ボルボはドイツ御三家同様、「スタイル・外観」が高い。ドイツ御三家と異なる傾向を示す点としては、「安全性への配慮」「安全運転支援機能」「乗り心地」「静粛性」等がある。

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ここはボルボを語るうえで、非常に大事なポイントだ。ボルボもプレミアムブランドである以上、外観デザインの魅力は当然、購入者を惹きつける。しかし、その魅力はBMW的な「走りを想起させるデザイン」とは異なるものだ。

外観の良さに加えて、安全性や運転支援機能への信頼、日々乗る中で感じる乗り心地や静粛性の良さが、購入の納得感を支えている。派手さよりも、長く付き合って気持ちよくいられること、その比重が高いわけだ。

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BMWの人気SUV「X3」は2024年11月のモデルチェンジで現行型に(写真:BMW)

ちなみに「環境問題への配慮」も、ボルボは他より高くなっている。中国のGeely Holding傘下に入ってから15年以上が経つが、いまでも「ボルボといえばスウェーデン」のイメージを抱く人は多いだろう。

現在もボルボのグローバル本社は創業の地であるスウェーデン・ヨーテボリに置かれている。安全や環境への配慮といったブランドの特徴も含め、現在もスウェーデン発のブランドとして受け止められている面があるのかもしれない。

ボルボの独自性は、オーナー自身が抱くメーカーイメージを見るとさらによくわかる。

ボルボオーナーがボルボに対するイメージとして多くあげるのは、ドイツ御三家と同様の「センスのよい」「洗練」といったものに加え、ボルボの高さが目立つものとして「安定感」「信念」といった、ブランドの姿勢を思わせるイメージ群である。

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プレミアムブランドの評価は、しばしば「ステータス性」や「都会的」、「存在感」といった、外に向けた華やかさで語られがちだ。

実際、メルセデス・ベンツは「ステータス性の高い」が47%、「存在感」が30%であり、王道の高級車らしいイメージが強い。

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メルセデス・ベンツ「GLC」はモデル末期ながらなお人気が高い(写真:メルセデス・ベンツ日本)

BMWは「若々しい」が13%、その他に表からは割愛しているが、「活気がある」「遊び心のある」も他メーカーより高く、エネルギッシュなブランド像が目立つ。

それに対して、ボルボは少し違う。「ステータス性の高い」は26%にとどまり、「存在感」は12%、「若々しい」も2%と低く、目立たない。

つまり、ボルボで支持されているのは、華やかさや勢いを前面に押し出した点ではなく、センスのよさや洗練に加え、信念や安定感、信頼感を備えた落ち着きのあるプレミアムとしての価値である。

「ボルボ=頑丈」のイメージ

メーカーイメージだけでなく、購入したクルマそのものへのイメージでも、ボルボの特徴は表れていた。

ボルボは「頑丈」が39%と突出したのだ。メルセデス・ベンツ:20%、BMW:15%、アウディ:11%なので、その高さがわかるだろう。また先ほど紹介した「購入車の気に入った点」の結果同様、「安全」が非常に高く48%であった(メルセデス・ベンツ:34%、BMW:27%、アウディ:22%)。

ドイツ御三家が輸入プレミアムの中心であることは間違いないが、輸入車市場の中でボルボが一定の支持を集めている理由もわかった。

ボルボ購入者が重視しているのは、速さや派手さよりも、安全・安心・落ち着き・信頼できる上質さである。

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ボルボ「XC60」のインテリア。上質や落ち着きを感じられる(写真:ボルボ・カー・ジャパン)

さらに、ブランドの知名度や安心感は求めつつも、わかりやすい高級感の誇示や過度な威圧感までは望んでいない。結果として、ドイツ御三家とは違う価値基準で選ばれていると言える。

自分の価値観の先にいるボルボ

最後に補足するが、ボルボは単に「人と違うブランド」を求める人のためのブランドではない。というのも、車に対する考え方を確認すると、ボルボ購入者では「知名度が高く安心できるブランドを選ぶ」が93%に達する。メルセデス・ベンツ:90%、BMW:91%、アウディ:87%なので、高い水準だ。

つまり、ボルボ購入者は、「人と違うブランドを選んで個性を主張したい」人たちではない。むしろ、安心できる知名度あるブランドの中で、自分の価値観に最も整合的な選択肢がボルボだったと考えるほうが自然だ。

安全、快適、落ち着き、信頼。そうした言葉に支えられた静かなプレミアム性こそが、ボルボの独自性なのだろう。