まもなく新型「カイエン」日本デビューへ! ポルシェジャパンのブッシュマン社長が明かす2026年の戦略と新型「911ターボS」の中身とは
新型「911ターボS」と「カイエン エレクトリック」に込められた“ポルシェの哲学”
「オートモビルカウンシル2026」において、ポルシェ「911」シリーズのハイエンドモデル「911ターボS」が日本初公開されました。2026年の後半にはさらにニューモデルのリリースが予定されるなど、日本においてポルシェの話題は当分事欠くことはなさそうです。
そんなポルシェのインポーターであるポルシェジャパンを率いるのは、2025年8月1日に就任したイモー・ブッシュマン社長。ハンブルク大学を卒業後、ポルシェと同じフォルクスワーゲン・グループのアウディAGに入社。マーケティングゼネラルマネージャーなどを務めてきました。
【写真】超カッコいい! 日本初公開となったポルシェ新型「911ターボS」を写真で見る(30枚以上)
その後、フォルクスワーゲンAGに転籍。2010年からはアジアマーケット担当を経て、2014年にマレーシア、2016年から中国、そして2024年からは日本において、セールスやブランディングに関する要職を歴任しています。
“カーガイ”と呼ばれるクルマ好きであり、世界の自動車事情にも精通したブッシュマン社長に、2026年の日本市場とニューモデル、経営観、そしてプライベートなどについてうかがいました。
まずは日本デビューを飾った「911ターボS」について。筆者(村田尚之)は、同モデルは「911」シリーズにおけるアイコンのひとつと位置づけていたのですが、歴代モデルのDNAは新型のどのような点に受け継がれているのでしょうか?
「『911ターボ』は『911』シリーズのアイコンにとどまらず、ポルシェを象徴する存在といっても過言ではありません。私たちのラインナップの中でも、多くの方にその価値を感じていただいていると信じています。
ポルシェの哲学は明確で、どのセグメントにおいても“最もスポーティなクルマ”を提供することです。その観点から見ると、『911』は世代を重ねながら常にスポーティさを追求し続けてきたモデルであり、その姿勢は今も揺らいではいません。また、「911 GT3 RS」のように、サーキット志向のモデルとGTカーとが併存していることも、『911』というブランドの強みだと考えています

ポルシェ新型「911ターボS」とポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン社長
その中で『911ターボ』は、1970年代初頭の登場以来、進化の過程において常に“ラインナップの頂点に立つとはどういうことか?”について問い続けてきた存在です。今回、日本初公開した『911ターボS』も、その答えを体現していると考えています。
新型『911ターボS』は、歴代の『911』シリーズの中で最もパワフルなモデルです。最高出力711psを発生する3.6リッターの“ツインeTurboエンジン”を採用しており、スポーツカーの名に恥じないパフォーマンスを実現しています。
また、純粋にスポーツカーとしての性能の高さだけでなく、街乗りなど普段のドライビングでも苦にならない優れたバランスを実現していることも、このモデルのポイントだと考えています」(ブッシュマン社長)
ポルシェといえば、スポーツカーにとどまらず、昨今はSUVのカテゴリーにおいても確固たる存在感を示しています。その最新モデルである新型「カイエン・エレクトリック」が本国ではデビューしていますが、ポルシェファンのみならずクルマ好きであれば誰もが、その日本導入のタイミングが気になるところです。
「実はポルシェジャパンにとって2026年のハイライトのひとつとなるのが、新型『カイエン エレクトリック』です。『911』シリーズと同様、われわれにとって非常に重要な意味を持つモデルになると考えています。
先ほどお話しましたように、ポルシェは常に各セグメントで最もスポーティなクルマを提供することを哲学としていますが、新型『カイエン エレクトリック』も“ハイパフォーマンスSUV”という存在を新たなカタチで昇華させたモデルです。何より、ポルシェのロードカーとして歴代最高の1156psという最高出力は、圧倒的かつ象徴的だと考えています。

ポルシェ新型「カイエン エレクトリック」
新型『カイエン エレクトリック』を担当したデザイナーは、ポルシェや『カイエン』シリーズのデザイン言語をよく解釈し、注目に値する内外装をつくり上げたと思います。特に、曲面を活かしたディスプレイパネルは見た目の美しさと機能性を高次元で融合させています。
新型『カイエン エレクトリック』の日本でのお披露目は8月頃を予定していますが、その際は改めて、私から詳しくご説明したいと考えています」(ブッシュマン社長)
「カイエン」は、ポルシェが手がけた初のSUVという新境地を切り拓き、多くの人々を驚かせました。新しい「カイエン エレクトリック」にもポルシェらしさは受け継がれているのか、気になるところです。
「ポルシェは常に物事を“再定義”してきたブランドです。例えば、空冷エンジンから水冷式への移行時も、『なんてことだ、そんなことができるのか!?』と、当初は驚きの声が上がりましたが、今ではその価値をしっかりと証明しています。初代『カイエン』の誕生時も同様でしたが、大きな反響を呼びつつ成功を収めています。
BEVにおいても同じです。つまり、新型『カイエン エレクトリック』は他のポルシェと同様、スポーティな運転が楽しめるクルマに仕上がっていますし、ポルシェだからこそ実現できる電動モビリティを提示できると自負しています。
もちろん、『エンジン車がいい』、『ハイブリッドカーが欲しい』といった方々の選択肢もご用意しています。その上で、パフォーマンスSUVを求める方にとって、BEVという選択肢を初めて本格導入できることは、今後のポルシェにとって大きな意味を持つと考えています。
繰り返しになりますが、日本初公開は8月頃、そして9月頃にはデリバリーもスタートできると思います。まずは多くの方に乗っていただき、心躍るような感動を味わっていただきたいですね。楽しみにしていてください」(ブッシュマン社長)
日本のポルシェファンへの想いと社長自身の“オフタイム”
ここ日本において、ポルシェは高い人気を獲得しています。ブッシュマン社長の目には、日本のポルシェファンはどのように映っているのでしょう?
「日本のポルシェファンは非常に多様で、ひと言では定義できませんね。紳士的にスポーツドライビングを楽しんでおられる方もいらっしゃれば、情熱的にクルマと向き合う若い世代の方もお見かけします。でも共通しているのは、皆さん“運転する喜び”を大切にされているという点です。この共通した価値観こそが、日本市場の特別な魅力だと感じています。
また、多くのお客さまが長い時間をかけてポルシェにたどり着いておられて、その過程も含め、深くブランドを理解して大切にされている印象があります。今日のようなイベントを通じてポルシェへの愛情や愛着をファンの方たちと分かち合い、語り合って共有できるのもうれしいことですね」(ブッシュマン社長)
ブッシュマン社長は日頃から、千葉県木更津市にあるポルシェのブランド体験施設「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京(以下、PEC東京)」などでのイベントに自ら足を運び、参加者たちと交流を重ねているといいます。ポルシェジャパンという企業のトップが直接、そうした場に姿を見せる理由をうかがいました。
「『PEC東京』では楽しいイベントがたくさん開催されていますから、お客さまも大勢集まってくださいます。私もそれを体験したり、お客さまと交流したりすることで、新たな気づきや学びがあるのです。
私自身、これだけ素晴らしいモデルを展開しているポルシェというブランドで働いていることに喜びを感じており、いつもクルマの近くに身を置いています。そうすると必然的に、お客さまと密接な関係ができてきますし、それ自体、楽しいことだと感じています」(ブッシュマン社長)
ポルシェジャパンは、カスタマーはもちろんのこと、日本社会とのつながりや距離感を重視している企業であると筆者は感じています。
例えば、東京大学先端科学技術研究センターとのコラボによって開催される中高生を対象としたスカラーシッププログラム「LEARN with Porsche」のように、ユニークなCSR活動などもおこなっています。そうした活動は、ブッシュマン社長の目にどのように映っているのでしょう?

ポルシェジャパンが東京大学先端科学技術研究センターと2021年から展開しているユニークなスカラーシッププログラム「LEARN with Porsche」
「ポルシェが日本で成功している背景には、ファンの方々の存在があります。その感謝を形にするために、私たちもコミュニティの一員として何か恩返しをしたいという思いがありました。
現在、いろんなプログラムを展開していますが、“良き企業市民”としてコミュニティに受け入れられる一員となるには、相応の活動をおこなうことは欠かせません。
CSR活動は単なる社会貢献ではなく、若者たちの“夢”や“憧れ”を生み出す役割も担っています。人生において、夢や憧れってとても大事なことですよね? 夢に向かって目標を設定して達成する、そしてまた次の目標に進む……その原動力となりますからね。
『LEARN with Porsche』はその一例ですが、若い人たちが学び、成長し、望むキャリアで成功を収める……その夢を実現して欲しいですし、われわれはそれをサポートしたいと思っています。そして将来、ポルシェオーナーになるという夢も持っていただけるとうれしいですね(笑)」(ブッシュマン社長)
ここまでポルシェというブランドや各モデルの話、そしてポルシェジャパンとしての取り組みなどについて話していただきましたが、最後はブッシュマン社長のプライベートについて、ちょっとだけうかがってみましょう。
故郷から遠く離れた日本で企業のトップに就くのは、相応のストレスがあると思いますが、ブッシュマン社長はどのようにして、それらを解消しているのでしょう?
「私はこれまで、さまざまな文化の中で育ってきましたから、環境の違い自体は大きなストレスとは感じません。現在は日本を拠点としていますが、自分のベストを尽くしたいと考えていますし、強いチームで仕事をしたいと思っています。
そのために、会社としても個人としても目標を設定し、それを達成していく。そして、目標が達成できたときは、お祝いをして喜びを分かち合う……そういう方針がいいと考えています。

ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン社長
もちろん、仕事を始め、何事にもバランスは肝心。私がストレスを解消する方法は、ふたつあります。
ひとつはスポーツ。具体的には、ランニングやサイクリングによってリフレッシュしています。自転車で江の島や葉山、三浦方面まで2〜3時間サイクリングすると、頭の中がスッキリしますよ。
もうひとつは家族と過ごす時間です。最近は次女と過ごす時間が多いのですが、そうした時間をとても大切にしています。
そうそう、昨日、ゴルフに挑戦してみたのですが、あれは逆にストレスが増えてしまいますね(苦笑)」(ブッシュマン社長)
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ポルシェジャパン躍進のカギを握るブッシュマン社長。知的かつパワフルでありながら気さくで気取らない人柄は、まさにポルシェというブランドを映す鏡といった印象です。2026年、ニューモデルや各種イベントが目白押しのポルシェジャパン、そしてブッシュマン社長の言動からは、目を離せそうにありません。