【年金と生活保護】両方受給する人の7割が「おひとりさま」世帯ってほんと? 老後の生活不安をなくす「5つの対策」
生活保護を受給するシニアの年金は「月5万円台」

【年金と生活保護】両方受給する人の7割が「おひとりさま」世帯ってほんと?老後の生活不安をなくす「5つの対策」
5月から6月にかけては、税金や年金に関する公的な通知が届きやすい時期です。物価の上昇が続くなか、「年金だけでは生活が苦しい。生活保護は受けられるのだろうか」といった疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
将来への漠然とした不安から、公的な支援制度について正確な知識を得たいと考えるのは自然なことです。
特に、おひとりで老後を迎える準備をしている方の中には、誰にも相談できずに「自分の将来は大丈夫か」と心配を募らせているケースも少なくないでしょう。
厚生労働省が公表した調査データ(※2024年2月時点)を詳しく見ていくと、単身の高齢者世帯が直面する厳しい生活実態と、誰の身にも起こりうる「あるリスク」が明らかになります。
老後に備える第一歩は、「ご自身の現状」と「利用できる公的制度」を正しく把握することです。本記事で一つずつ確認していきましょう。
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【年金と生活保護】両方もらうことは可能?知っておきたい「補足性の原理」とは
「年金を受け取っていると生活保護は利用できない」というのは、よくある誤解の一つです。
実際には、生活保護制度には「補足性の原理」という基本原則があります。これにより、年金収入があっても、その金額がお住まいの自治体で定められた最低生活費に満たない場合、差額分を生活保護費として受給することが可能です。
具体例を挙げると、最低生活費が月額13万円の地域で、ご自身の年金受給額が月額6万円だった場合、不足している「7万円」が生活保護費として支給される仕組みです。
2026年度の国民年金(基礎年金)は、満額受給でも月額7万608円です。最低生活費は地域ごとに異なりますが、基礎年金のみで生活している場合、収入が生活保護の基準を下回ることは十分に考えられます。(ただし、生活保護の受給可否は、収入だけでなく預貯金や不動産といった資産の有無、親族からの扶養が受けられないことなど、複数の要件を総合的に判断して決定されます)
注意点として、年金と生活保護を両方受け取ったとしても、支給される合計額は「最低生活費」の範囲内にとどまります。そのため、生活が著しく豊かになるわけではないことを理解しておく必要があります。
生活保護を受ける人の年金は平均いくら?データで見る「月5万円台」の実態
それでは、実際に生活保護を利用している高齢者は、どのくらいの年金を受け取っているのでしょうか。
厚生労働省の「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)令和4年」のデータをもとに確認してみます。

全体・生活保護受給者の年金平均額
・年金受給者全体の平均額:151万8000円(年額)
・生活保護受給者の年金平均額:65万7000円(年額)
年額65万7000円を月額に換算すると、およそ5万4000円となります。
この金額から、生活保護を受けている方々の多くが、国民年金の満額にもおよばない、いわゆる「低年金」の状態にあることが推測できます。
このデータは、社会の最後のセーフティネットである生活保護に頼らざるを得ない厳しい実情を浮き彫りにしています。
年金と生活保護を両方受給する人の約7割が「単身世帯」という現実
さらにデータを詳しく見て、年金を受け取りつつ生活保護も利用している方々の「世帯構成」に注目してみましょう。
厚生労働省「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)令和4年」によると、生活保護を受けている年金受給者(約48万5000人)について、配偶者の有無で分けると以下の通りです。
・配偶者がいる世帯:10万2000人
・配偶者がいない世帯:36万2000人
補足すると、配偶者がいない方のうち、31万6000人が「単身世帯」です。
この結果から、生活保護を利用している年金受給者のうち、7割以上が配偶者のいない単身世帯であることがわかります。
夫婦世帯の場合、2人分の基礎年金収入が見込めるうえ、生活費を分担できます。しかし、単身世帯ではそうしたメリットがなく、ご自身の収入のみで生計を立てる必要があります。
公的年金にも存在する「男女格差」の実態。なぜ女性の年金は少なくなるのか?
もう一つ見過ごせないのが、公的年金における「男女間の格差」の問題です。

男性の年金額
厚生労働省「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)令和4年」によれば、生活保護受給者に限定せず年金受給者全体で見ると、男性の平均年金額は192万6000円、配偶者がいない世帯では171万4000円となっています。

女性の年金額
一方、女性の平均年金額は120万7000円であり、男性との間に大きな差が見られます。配偶者がいない女性世帯では145万2000円でした。
生活保護を受けている方に絞って見ても、女性の平均年金額は年額58万3000円(月額換算で約4万8000円)と、低い水準にとどまっています。
この格差の背景には、年金額の算定方法が関係していると考えられます。国民年金は保険料の「納付月数」によって、厚生年金は「現役時代の報酬額や加入期間」によって受給額が決まる仕組みです。
かつての日本では、「女性は結婚後に家庭を守る」「パートタイムで働く」といった雇用形態や社会通念が一般的でした。こうした社会構造が、結果として男女間の年金額の差につながったと分析できます。
近年では共働き世帯が増加しているため、年金の男女差は少しずつ縮小していくと予測されます。しかし、個々人の働き方による差はこれからも存在し続けるでしょう。
将来の年金額は現在の働き方に大きく左右されることを意識し、今後のキャリアプランを考えることが重要になります。
老後の生活不安を解消へ。今からできる5つの具体的な対策ステップ
他人の年金額や生活保護の利用について批判するのは簡単かもしれません。しかし、データが示すように、年金額の個人差は、これまでの保険料納付状況や過去の雇用環境、さらには社会全体の構造といった要因が複雑に影響しています。
他者を批判しても、ご自身の老後資金が増えるわけではありません。老後に向けて今取り組むべきなのは、ご自身の現状を正確に把握し、具体的な生活設計を立てることです。
特に50歳代後半から60歳代の方は、以下のステップを参考にしてみてはいかがでしょうか。
・「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」の確認:最初に、ご自身の年金見込額を把握することから始めましょう。65歳からいくら受給できるのか、具体的な数字を知ることが第一歩です。
・退職金や預貯金など手持ち資産の確認:勤務先の退職金制度や、現在の預貯金額を洗い出します。契約したままになっている貯蓄性のある保険などを見直してみるのも良いでしょう。
・老後にかかる生活費の試算:住宅ローンの完済時期、家賃、食費など、老後も継続して発生する費用を計算し、最低限必要な生活費をシミュレーションします。
・不足額の算出:「月々の生活費 - 年金収入 = 毎月の不足額」を計算し、老後全体でどれくらいの資金が不足するのかを把握します。
もし不足額が見込まれる場合は、その差額をどのように補うか、冷静に計画を立てることが大切です。
現在は「貯蓄から投資へ」という風潮がありますが、60歳代からリスクの高い金融商品に資産の大部分を投じるのは避けるべきです。対策としては、「働く期間を延ばすこと」や年金の「繰下げ受給」といった選択肢を検討するのが現実的です。
まずは、可能な限り長く働き、厚生年金の加入期間を延ばして年金額を増やすことが基本となります。長く就労できれば、年金の受給開始を遅らせる「繰下げ受給」も視野に入ります。たとえば1カ月繰下げるごとに受給額が0.7%増額され、70歳まで繰下げると生涯にわたって42%増えた年金を受け取れます。
ただし、年金額が増えると税金や社会保険料の負担も変わるため、総合的な視点で判断することが重要です。
もちろん、生活に影響のない余剰資金があるのであれば、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)を活用して資産形成を図るのも有効な方法の一つです。
まとめ:公的制度を正しく理解し、未来の安心につなげよう
生活保護や年金といった、私たちの生活基盤を支える公的制度について理解を深めることは非常に重要です。
今回のデータ分析から、生活保護を受けている方の年金額は決して高くないこと、そして年金額には男女間で差が存在する実態が明らかになりました。
必要以上に将来を悲観するのではなく、客観的な事実として現状を把握することで、取りうる対策の選択肢は広がります。
「未来の安心」を手に入れるため、まずはご自身の状況や利用できる制度について知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
・厚生労働省「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)令和4年」
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