【厚生年金+国民年金】いちどの年金支給日に「30万円(月額15万円)以上受け取る人」はどれほどいるのか
【2026年度 年金改定詳細】6月支給分より、厚生年金(報酬比例部分)は2.0%の増額へ。国民年金は1.9%増

【厚生年金+国民年金】いちどの年金支給日に「30万円(月額15万円)以上受け取る人」はどれほどいるのか
大型連休が明け、日常のペースを取り戻しつつある5月中旬。自動車税などの納付書が届き、まとまった出費に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。くわえて、長引く物価高騰がじわじわと日々の家計を圧迫しています。
現役世代にとって、日々の生活維持と並行して進める「老後資金の準備」は避けて通れない課題です。

年金ではゆとりがないと考える理由
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、単身世帯の60歳代の5割以上(50.7%)が「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答しています。
その不安の根源は、足元の物価上昇だけでなく、将来的な医療・介護費の負担増という「見えない支出」にも向けられているのが実情です。 公的年金だけで生活を維持するのは、想像以上に険しい道のりかもしれません。
本記事では、老後の柱となる厚生年金に焦点を当て、支給日に「ひとりで30万円(月額15万円)以上」受け取っている人がどの程度いるのか、最新の公的データをもとに解説します。 厳しい現実を直視しつつ、自身のライフプランを再点検する一助としてください。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【公的年金の基本を整理】「国民年金と厚生年金」の違いは何?
日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満の人が加入する「国民年金(基礎年金)」を基盤とし、その上に会社員などが加入する「厚生年金」が上乗せされる「2階建て」の仕組みで成り立っています。
ここでは、それぞれの制度の基本的な特徴について整理していきます。

1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」の概要
・加入対象:日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象です。
・保険料:所得にかかわらず一律で、毎年見直されます。(※1)
・受給額:40年間(480カ月)すべての保険料を納めると、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取れます。未納期間がある場合は、その期間に応じて年金額が減額されます。(※2)
※1 2025年度の国民年金保険料は月額1万7510円です。
※2 2025年度の老齢基礎年金(満額)は月額6万9308円です。
2階部分にあたる「厚生年金」の概要
・加入対象:会社員や公務員のほか、一定の条件を満たすパートタイマーなどが国民年金に加えて加入します。(※3)
・保険料:給与や賞与といった収入額に応じて決まります。(※4)
・受給額:将来受け取る年金額は、加入期間や現役時代の収入によって個人差が大きくなります。
国民年金と厚生年金は、加入対象や保険料の仕組み、年金額の計算方法がそれぞれ異なるため、将来受け取る金額は現役時代の働き方や収入によって大きく左右されます。
また、公的年金は物価や賃金の変動を踏まえて毎年度見直しが行われる仕組みとなっている点も、あらかじめ理解しておくことが重要です。
※3 特定適用事業所とは、厚生年金保険の被保険者数が常時51人以上の企業などを指します。
※4 保険料は、標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を乗じて算出されます。
【2026年春から】厚生年金は2.0%の増額へ!国民年金は1.9%増
公的年金の支給額は、物価や現役世代の賃金の動向を踏まえて、毎年見直しが行われます。
2026年1月23日には厚生労働省が2026年度(令和8年度)の年金額の目安を公表しており、新しい改定率は4月分の年金から適用されます。
今回の見直しでは、国民年金(基礎年金)が+1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が+2.0%とされています。

2026年度(4月分~)の年金額
・国民年金(老齢基礎年金・満額):月額7万608円(1人分 ※1)
・厚生年金(夫婦2人分のモデルケース):月額23万7279円(夫婦2人分※2)
※1 昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(前年度比+1300円)です。
※2 平均的な収入(賞与を含む月額換算で45万5000円)の男性が40年間就業した場合に受け取り始める年金額(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金満額)の給付水準です。
国民年金のみを受給する場合、保険料を全期間納付し満額(※3)であっても、月額は7万円ほどの水準にとどまります。
また、受給開始を75歳まで遅らせる「繰下げ受給」(※4)を選択した場合でも、月額はおおむね13万円未満です。
※3 国民年金の保険料を40年間(480カ月)納付した場合に、65歳から受け取れる満額の年金額を指します。
※4 繰下げ受給とは、年金の受け取り開始を66歳から75歳までの間で遅らせる制度です。1カ月遅らせるごとに0.7%増額され、75歳開始では最大84%増額されます。
厚生年金+国民年金を「月額15万円以上受給する人」は何%?
厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者(国民年金部分を含む)の平均受給月額は15万289円です。
ただし、実際の受給額には幅があります。
そこで次に、受給額がどのように分布しているのかを詳しく見ていきましょう。
厚生年金の「受給額分布」を一覧表で確認

厚生年金の受給額分布をデータで確認
・1万円未満:4万3399人
・1万円以上~2万円未満:1万4137人
・2万円以上~3万円未満:3万5397人
・3万円以上~4万円未満:6万8210人
・4万円以上~5万円未満:7万6692人
・5万円以上~6万円未満:10万8447人
・6万円以上~7万円未満:31万5106人
・7万円以上~8万円未満:57万8950人
・8万円以上~9万円未満:80万2179人
・9万円以上~10万円未満:101万1457人
・10万円以上~11万円未満:111万2828人
・11万円以上~12万円未満:107万1485人
・12万円以上~13万円未満:97万9155人
・13万円以上~14万円未満:92万3506人
・14万円以上~15万円未満:92万9264人
・15万円以上~16万円未満:96万5035人
・16万円以上~17万円未満:100万1322人
・17万円以上~18万円未満:103万1951人
・18万円以上~19万円未満:102万6888人
・19万円以上~20万円未満:96万2615人
・20万円以上~21万円未満:85万3591人
・21万円以上~22万円未満:70万4633人
・22万円以上~23万円未満:52万3958人
・23万円以上~24万円未満:35万4人
・24万円以上~25万円未満:23万211人
・25万円以上~26万円未満:15万796人
・26万円以上~27万円未満:9万4667人
・27万円以上~28万円未満:5万5083人
・28万円以上~29万円未満:3万289人
・29万円以上~30万円未満:1万5158人
・30万円以上~:1万9283人
上記のデータから、厚生年金と国民年金を合わせた受給額が「ひとりで月15万円(一度の支給日に30万円)以上」となる人は全体の49.8%にとどまり、半数には達していないことが分かります。
また、この数値は厚生年金受給者に限った集計であるため、国民年金のみを受け取っている人も含めて考えると、割合はさらに低くなると見込まれます。
【シニア世帯】老後の収入源が「公的年金のみ」の世帯割合は?
続いて、厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」をもとに、高齢者世帯(※)の収入の内訳を見ていきます。
高齢者世帯全体の所得構成では、「公的年金・恩給」が63.5%と最も高く、次いで「稼働所得」が25.3%、「財産所得」が4.6%となっています。
ただし、これはあくまで平均値であり、「公的年金・恩給を受給している世帯」に絞ってみると、総所得のすべてを年金が占める世帯は43.4%にのぼります。
「公的年金のみ」で生活している世帯の割合は以下のとおりです。
※高齢者世帯とは、65歳以上の人のみで構成されるか、65歳以上の人と18歳未満の未婚の人がいる世帯を指します。

「公的年金のみ」で生活する世帯の割合は?
・総所得に占める公的年金・恩給の割合が100%の世帯:43.4%
・総所得に占める公的年金・恩給の割合が80~100%未満の世帯:16.4%
・総所得に占める公的年金・恩給の割合が60~80%未満の世帯:15.2%
・総所得に占める公的年金・恩給の割合が40~60%未満の世帯:12.9%
・総所得に占める公的年金・恩給の割合が20~40%未満の世帯:8.2%
・総所得に占める公的年金・恩給の割合が20%未満の世帯:4.0%
この結果から、高齢者世帯全体では就労収入なども一定の割合を占めているものの、年金を受給している世帯に限ると、約半数が収入の大部分を公的年金に依存している状況であることが分かります。
まとめにかえて
ここまで、月額15万円以上の厚生年金を受給する人の割合を見てきましたが、実際の年金受取額は「額面」から税金や社会保険料が天引きされるため、手取り額はさらに目減りします。公的年金だけでゆとりある老後を送ることは、決して簡単ではありません。
だからこそ、ただ「貯蓄を取り崩す」生活を思い描くのではなく、年金そのものを増やす工夫や、長く働くといった視点を持つことが鍵となります。たとえば、60歳以降も働き続けて厚生年金に加入したり、受給開始を遅らせる「繰り下げ受給」を活用したりと、制度の仕組みを知っているかどうかで将来の収入は大きく変わります。
自動車税などの納付書が届き、お金と向き合う機会が増えるこの5月。まずはご自身の年金見込額を確認し、「長く働く」「少しずつ投資で備える」など、ご自身に合った対策を検討し始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
・厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
・日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等についてお知らせします」
・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況 II 各種世帯の所得等の状況」
・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況 用語の説明」
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