勝つのは「当たり前」から「50%」に V確率を大幅下方修正した岡田彰布顧問の現状分析

掛布雅之氏(右)と阪神―巨人戦のテレビ解説を務める岡田彰布氏。この日の解説で阪神の優勝確率を下方修正した=2026年5月1日、甲子園球場(松永渉平撮影)

虎の優勝確率は50%下落!? 衝撃的な岡田語録を阪神・藤川球児監督(45)はいかに受け止め、チーム力向上へ手を打つのか。17日の広島戦(甲子園)に0-1で敗れた阪神は、5月に入って6勝8敗と急ブレーキがかかっています。1日の巨人戦(甲子園)に敗れた試合では、テレビ解説を行った前監督の岡田彰布オーナー付顧問(68)が優勝確率を問われ「まあ半分、50(%)で」と返答しました。沖縄・宜野座での春季キャンプ中の2月14日、「普通に考えたら勝つのは当たり前」と100%V予想をしていたのに、76日後には大幅に下方修正。痛烈な評価を指揮官がどうはね返すかが見ものです。

1点リードの八回、ヤクルト・石井巧(奥)に同点適時二塁打を浴びる阪神・桐敷拓馬=2026年5月13日、神宮球場(佐藤徳昭撮影)

5月は6勝8敗

阪神―巨人戦の解説を務める岡田彰布氏(中央)。右は能見篤史氏=2026年5月3日、甲子園球場(松永渉平撮影)

どうもうまくいきません。17日の広島戦は先発・才木浩人投手(27)が力強い投球を見せていたのに、七回表に広島ベンチの代走、代打を惜しげもなく繰り出す攻撃で1点をもぎ取られると、結果的にそれが決勝点に…。0-1で敗れ、カードも負け越し。直近4カード(中日●●〇、DeNA●●〇、ヤクルト〇●、広島●〇●)連続で勝ち越しなしとなりました。5月に入って6勝8敗と2つの負け越し。3~4月に積み上げた貯金は6(23勝17敗1分け)に減りました。

直近4試合で15打数無安打と苦しんでいる阪神・森下翔太=2026年5月17日、甲子園球場(中井誠撮影)

今季の阪神を象徴する負け方だったといえるのが13日のヤクルト戦(神宮)でしょう。先発はそれまで3試合連続完封勝利の高橋遥人投手(30)でした。前日のヤクルト戦(神宮)は2番森下、3番佐藤、4番大山という今季初の大幅な打線改造が功を奏して10-0で快勝。前夜の勢いに加え、マウンドには無双の左腕。しかも試合は三回表に佐藤、大山、中野の3連打で逆転し、昨季ならこのまま逃げ切り…となるはずでした。ところが、高橋が6回を投げ切ってマウンドを降りてから、リリーフが踏ん張れません。桐敷やモレッタが打ち込まれ、八回裏に3点を奪われて逆転負けを喫しました。

「昨季なら及川、石井、岩崎で逃げ切れたはず。今年はそれができていない。この差がデカい。終盤に自信が持てなければ、どうしても先発投手を引っ張ることになり、先発陣の精神的な負担も大きくなる」とは阪神OBの言葉です。85勝54敗4分けの貯金31で、ぶっちぎりの優勝を決めた昨季との大きな差を感じざるを得ない敗戦です。

また、打線の方も主砲の佐藤が打率3割6分、11本塁打、32打点、得点圏打率4割1分2厘と獅子奮迅の活躍を見せているものの、直近の広島3連戦では2度のゼロ封負け。ここ4試合では森下が15打数ノーヒット。どうも打線がうまくつながりません。

カギは投手陣の整備

そんな状況下で、注目せざるを得ない発言が飛び出しました。5月1日の巨人戦でテレビ解説を行った岡田彰布オーナー付顧問は、阪神の連覇確率を問われると-。

「できると思いますよ。確率的には。今はブルペンとかピッチャーが悪いですけど。故障者もいて。夏場、オールスター明けくらいかな。その頃にはブルペンも整備されているだろうしね。打ちますけど、ピッチャー中心じゃないと難しいと思いますよ」と話した後、今季の優勝確率は「まあ半分、50(%)で」と語りました。

つまり、夏場以降にブルペンを中心とする投手陣の整備ができればリーグV、逆にできなければV逸…。なのでV確率は半分半分の50%になる…ということでしょうか。

何気なく聞いていましたが、よくよく考えてみると以前の発言とは大違いです。あれは沖縄・宜野座春季キャンプの2月14日でした。楽天との練習試合に先立ち、報道陣に取材対応した岡田顧問はこう話していたのです。

「そら強いやん。普通に考えたらそら強い。他、弱いやろ。見ても分かるやんか他を。去年あんだけ弱かったのに、それより弱くなってるってことやからな。普通に考えたら勝つのは当たり前やんか。お~ん」

その時、同顧問は優勝確率には言及していません。ただ、普通に考えたら「勝つのは当たり前」ということは、V確率100%と分析していたと言っても差し支えはないでしょう。あれから76日後の5月1日。わずか2カ月少々で、岡田語録での阪神優勝確率は100%から50%に大幅下落したことになりませんか。

2つの要因

V確率大暴落の要因は2つあるでしょう。岡田顧問の指摘した通り、今季の阪神は指揮官が「チームの心臓」と呼ぶブルペン陣が不安定なことが一つです。2月11日の紅白戦で左アキレス腱(けん)を断裂した石井大智投手(28)の穴を埋めきれず、リリーフ陣の役割分担が決めきれていません。先発陣も故障者が相次ぎ、やりくりが苦しい。41試合消化時点でチーム防御率は3.16。昨季は2.21で12球団トップでしたから、数字は大きく落ち込みました。これは岡田発言があった時点ではリアルに想像できませんでしたね。

もう一つは思っていたほど他が弱くなっていないことです。阪神は昨季、巨人に17勝8敗、ヤクルトに15勝9敗1分けと大きく勝ち越しましたね。巨人は岡本和真内野手(29)がブルージェイズに、ヤクルトも村上宗隆内野手(26)がホワイトソックスに、いずれもポスティングシステムを利用して移籍。両チームの主砲が抜け、戦力ダウンするのだから「勝つのは当たり前やん」となるはず。ところが、ここまでの巨人戦は4勝4敗、ヤクルトには5勝3敗。昨季よりも苦しめられています。

まあ、これら2つの要因は表裏一体なのかもしれません。阪神のチーム状態が悪いので「そら強い」とはなっていない。その結果が「弱くなってる」はずの他チームが強く見える、実際に勝てない状況になっている…ということなのでしょうか。

いずれにせよ、藤川監督は「勝つのは当たり前やんか」と言われたチームを一刻も早くそのように導かなくてはなりません。シーズンはまだ序盤です。岡田顧問が指摘した通り、ブルペンを含む投手陣を整備して阪神の勝ちパターンを構築しなければなりません。

26日からはパ・リーグとの交流戦(日本ハム→ロッテ→西武→楽天→ソフトバンク→オリックス)が始まります。シーズンの大きな節目です。戦いながら、勝ちながらチームを作っていく。就任2年目の指揮官は今こそ腕の見せ所です。

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て客員特別記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。