ナフサ供給不安…あらゆる分野に影響が どう解消?【#みんなのギモン】
ナフサの供給が不安定になっています。今回の#みんなのギモンでは、「ナフサ供給不安…どう解消?」をテーマにお伝えします。
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プラスチックなどの原料となるナフサの供給が不安定となり、その影響があらゆる分野に広がっています。まずは22日の動きからです。
22日朝、鹿児島県のENEOS喜入基地にタンカーが到着しました。UAE=アラブ首長国連邦の原油を積んでいるとみられています。この原油は、「産油国共同備蓄」として補充されるものです。
産油国共同備蓄というのは、アジアへの販売拠点が欲しい中東の国が日本のタンクに石油を置いてもらう制度のことです。つまり、22日に届いた原油は、日本国内ですぐに使えるものではありません。ただ、緊急時には日本の企業が優先的に購入できるというものなんです。
■現場で供給不安続く…企業は対応に追われる

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石油に関して政府は、代替調達と備蓄放出で対応していますが、ナフサに関しては現場での供給不安が続いていて、企業が対応に追われています。
まずは、紙業界です。大王製紙は8月1日の納品分から15%以上の値上げを実施すると発表しました。
対象となるのは、エリエールの名前で展開しているティッシュペーパーやトイレットペーパー、キッチンペーパー、オムツ、生理用品などすべての製品だということです
そして、日本製紙は21日、印刷用紙などを15%以上値上げすると発表しました。具体的には、コピー用紙やレシートの感熱紙、本やチラシなどに使われる紙などで、7月21日出荷分から実施するということです。
そして、花王も今後、衣料用洗剤やスキンケア商品などの値上げを順次行うことがわかりました。
さらに、全く違うインフラの分野にも影響が出ています。
テレビ大分・甲斐菜々子アナウンサー
「中東情勢の緊迫化を受けて、電線やケーブルの供給に影響が出始めているといいます」
電気工事などで必要なケーブルや電線は、ナフサ由来の素材が使われています。一部のケーブルは受注が制限されているほか、電線も調達に時間がかかっているということで、21日に大分県内の電気工事業者などで作る団体が、知事に緊急要望を行いました。今後、工事の受注ができなくなるおそれがあると訴えています。
■政府は足りていると説明…根拠は?

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企業に危機感が広がっていますが、一方の政府はずっと、ナフサは足りていると説明しています。その根拠はいったい何なのか。
1か月の供給量をみますと、中東情勢が悪化する前は、中東からの輸入がおよそ120万キロリットルありました。そして、中東以外からの輸入が45万キロリットル。国内での精製は110万キロリットル。合計でおよそ280万キロリットル供給されていました。
ところが、中東情勢悪化後は、中東からの輸入がゼロになりました。ただ、中東以外からの輸入は調達に力を入れたことで、今月はおよそ135万キロリットルを超える見込みだということです。政府が、ナフサが足りているとしている根拠のひとつは、この増加分ということです。さらに、国内の精製も石油備蓄の放出により、維持できるというのが2つめの根拠です。
ただ、全体としてはおよそ35万キロリットル足りないという状況になっています。この分は、ナフサ由来のプラスチックなどを作る材料の状態で、民間で保管されているものを活用して補っていくということです。
■流通ルートで目詰まりの仕方は複数

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政府は、年明けまで供給は維持できると見込んでいます。
ですので、この製品を作る材料はあるけれど、実際、本当に足りていないのは別の材料だったといったミスマッチが起きてしまうんじゃないかという疑問の声があがっているんです。一方で、なぜ現場では必要な分が手に入らないという声があがっているのか。
原因のひとつは、ナフサ由来の化学製品の流通ルートで起きている目詰まりです。石油化学工業協会によりますと、目詰まりの仕方は複数あって、1つ目は、価格高騰や供給不足などへの危機感から早めに確保しておこうという前倒しの需要が起きていること。そして、次に、卸売業者が先々のことを考えて少し持っておこうと在庫を抱えておく。つまり出し渋りの状況が起きていることなどがあげられます。政府はこうした目詰まりの解消に向け、個別の商社やメーカーに連絡するなど対応に動いています。
■市場全体のルールなど必要に

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ただ、いくつか課題もありそうです。
石油元売り大手に勤務経験があり、流通に詳しい桃山学院大学の小嶌正稔教授は、政府が行っている目詰まり解消のやり方では足りないと話していました。
ナフサからできる製品は、非常に多くの材料になっているということなんです。供給のルートもその分、複雑で、ナフサとしては足りていても、最終製品になった段階で、この種類はあるけど、こちらは足りないということも起きる。ですので、個別の流通ルートへのアプローチではなく、例えばナフサ関連製品をとりあつかう企業に「これまでの95%程度の供給は確保する」といった市場全体のルールを作る働きかけが必要だと話していました。
日本テレビ・経済部の民間キャップ・後閑駿一記者は「石油関連製品に関わる企業も非常に多く、どこに目詰まりが起きているかさえ企業側も把握しきれていないのが現状。政府としてはナフサ全体の量は足りていると強調しているが、それぞれの用途でそれぞれが欲しい形状で必要量があると本当に断言できるかは不透明」と話していました。
目詰まりの影響というのは、小規模事業者の方々のほうが多いといいます。今後、経営が悪化してしまうなど、深刻なダメージとならないように政府の早い対応が求められます。
(5月22日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
【#みんなのギモン】身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)