申請しないとゼロ円に?60歳・65歳以上のシニアが申請しないと受け取れない公的給付5制度を解説

【2028年4月から】遺族厚生年金の変更ポイントも確認

意外と多い?申請しないと受け取れない公的なお金, 【老齢年金】申請によって受け取れる2つの上乗せ給付, 1. 年金の家族手当「加給年金」とは, 2. 所得が一定以下の人が対象「老齢年金生活者支援給付金」, 【雇用保険】働くシニアが対象となる給付金, 1. 早期の再就職を支援する「再就職手当」(65歳未満対象), 2. 60歳以降の賃金低下を補う「高年齢雇用継続給付」, 3. 65歳以上で失業した際の「高年齢求職者給付金」, 【2025年金改正】遺族厚生年金の変更点, 男女間の支給要件差の是正に向けた見直し, 有期給付・継続給付の拡充内容

申請しないとゼロ円に?60歳・65歳以上のシニアが申請しないと受け取れない公的給付5制度を解説

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日差しに少しずつ夏の力強さが混じり、同時に梅雨の足音も微かに聞こえ始める5月下旬となりました。

雨の日が増えて家で過ごす時間が長くなるこれからの時期は、普段は後回しにしがちな「わが家の書類や家計」をゆっくりと見直す絶好のチャンスです。

日々のやりくりを振り返るなかで、特に60歳代を迎え、セカンドライフの暮らし向きについて公的年金だけでは将来の生活に少し心もとなさを感じることもあるかもしれません。実は、私たちの生活を支える公的な制度には、年金以外にも国から受け取れるお金があることをご存知でしょうか。

これらの多くは、対象となっていても自動的に支給されるわけではなく、ご自身で申請手続きを行う必要があります。知っているだけで将来の安心につながる大切な情報ですので、ぜひ最後までご覧ください。

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意外と多い?申請しないと受け取れない公的なお金

老齢年金や障害年金、遺族年金といった公的年金は、私たちの暮らしを支える重要な制度です。しかし、これらの年金は受給資格を満たしていても、自動的に支給が開始されるわけではない点に注意が必要です。

年金の受け取りを開始するためには、ご自身で「年金請求書」を提出し、請求手続きを完了させる必要があります。

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出所:日本年金機構「初めて老齢年金を請求するとき」年金請求書(国民年金・厚生年金保険 老齢給付)様式第101号

国や自治体が提供する給付金や補助金も同様で、そのほとんどが「申請主義」をとっています。

もし申請期限を過ぎてしまったり、提出書類に不備があったりすると、受け取れるはずの金額が減ってしまったり、最悪の場合受け取れなくなったりする可能性も考えられます。

利用できる支援制度を賢く活用するためにも、まずはご自身がどの制度の対象になるのかを正確に把握し、確実に手続きを進めることが大切です。

【老齢年金】申請によって受け取れる2つの上乗せ給付

老齢年金を受給しているシニア世代の方が、特定の要件を満たすことで、通常の老齢年金に加えて受け取れる可能性のある給付金を2種類ご紹介します。

1. 年金の家族手当「加給年金」とは

加給年金は、しばしば「年金の扶養手当」や「家族手当」のようなものと説明される制度です。

これは、老齢厚生年金を受給している方が、一定の条件を満たす年下の配偶者やお子さんを扶養している場合に、年金額が上乗せされる仕組みです。

加給年金の対象となるための条件

厚生年金の加入期間が20年(※)以上ある方:65歳に達した時点(または定額部分の支給が始まる年齢に達した時点)

65歳になった後(もしくは定額部分の支給開始年齢に達した後)に被保険者期間が20年(※)以上となった方:在職定時改定時や退職改定時(または70歳に達した時)

(※)共済組合などの加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が、40歳(女性や坑内員・船員は35歳)以降で15年から19年ある場合も含まれます。

それぞれ上記のタイミングで、「65歳未満の配偶者」や「18歳になる年度の末日までのお子さん、または1級・2級の障害がある20歳未満のお子さん」がいる場合に、年金が加算されます。

ただし、配偶者自身が被保険者期間20年以上の老齢厚生年金や退職共済年金を受け取る権利がある場合、または障害年金などを受給している場合は、配偶者加給年金額は支給停止となるので注意が必要です。

2026年度における加給年金の支給額

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加給年金の加給年金額

2026年度における「加給年金」の年金額は、以下の通りです。

・配偶者:24万3800円

・お子さん(1人目・2人目):各24万3800円

・お子さん(3人目以降):各8万1300円

また、老齢厚生年金を受け取っている方の生年月日に応じて、配偶者加給年金額には3万6000円から17万9900円の特別加算が上乗せされます。

配偶者が65歳になった後の「振替加算」について

加給年金の対象である配偶者が65歳になると、加給年金の支給は終了します。しかし、その配偶者が自身の老齢基礎年金を受け取る際に、一定の条件を満たしていれば、その老齢基礎年金に「振替加算」として一部が引き継がれる仕組みがあります。

2. 所得が一定以下の人が対象「老齢年金生活者支援給付金」

年金生活者支援給付金は、基礎年金を受給している方のうち、所得が一定の基準を満たさない場合に支給される給付金です。この給付金には「老齢」「障害」「遺族」の3種類があり、それぞれに支給要件が定められています。

ここでは「老齢年金生活者支援給付金」について詳しく見ていきましょう。

老齢年金生活者支援給付金の支給条件

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出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

・65歳以上で老齢基礎年金を受給していること

・同じ世帯の全員が市町村民税非課税であること

・前年の公的年金などの収入金額(※1)と他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下(※2)であること

※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は合計額に含まれません。

※2 昭和31年4月2日以降に生まれた方で合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下の方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

給付基準額はいくら?

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老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

2026年度の老齢年金生活者支援給付金における給付基準額は月額5620円となり、前年度から3.2%の増額となりました。

実際の給付金額は、この基準額を基に、保険料の納付状況などに応じて計算されます(後述の①と②の合計額)。

具体的な給付額の計算方法

・①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5620円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月

・②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1768円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月

なお、②の保険料免除期間に乗じる金額は、毎年度行われる老齢基礎年金額の改定に応じて変動します。

【雇用保険】働くシニアが対象となる給付金

これからも働き続けたいと考えるシニア世代の方を対象とした、「雇用保険」に関連する給付金を3つご紹介します。

1. 早期の再就職を支援する「再就職手当」(65歳未満対象)

再就職手当は、失業された方が早期に再就職することを支援するための手当です。失業してから再就職や事業開始までの期間が短いほど、多くの手当を受け取れる仕組みになっています。

再就職手当の支給条件

・対象者:雇用保険の受給資格者で、基本手当の受給資格をお持ちの方

・支給要件:対象者が雇用保険の被保険者として再就職するか、または事業主となって雇用保険の被保険者を雇用する場合で、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、その他一定の要件を満たした場合に支給されます。

給付率はどのくらい?

・手当の額:就職などが決まる前日までの失業認定を受けた後の、基本手当の支給残日数によって給付率が変わります。(1円未満の端数は切り捨て)

再就職手当の具体的な金額

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また、再就職手当を受け取って再就職し、その職場で6カ月以上雇用され、かつ再就職先での6カ月間の賃金が離職前の賃金より低くなった場合には、「就業促進定着手当」の対象となることもあります。

2. 60歳以降の賃金低下を補う「高年齢雇用継続給付」

高年齢雇用継続給付は、60歳から65歳未満で働き続ける方を対象とした給付金です。60歳時点と比較して賃金が一定の割合まで低下した場合に支給されます。

高年齢雇用継続給付の支給条件

・対象者:雇用保険の被保険者期間が5年以上ある、60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者

・支給条件:賃金が60歳に達した時点の75%未満の状態で働き続ける場合

支給率は賃金の低下率によって変動

・支給額:最高で賃金額の10%(※)に相当する額

※2025年3月31日より前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たした方は15%となります。

2025年4月以降の支給率早見表

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出所:厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」

老齢年金を受け取りながら厚生年金に加入し、「高年齢雇用継続給付」を受給する場合、在職による年金の支給停止に加えて、最大で標準報酬月額の4%(※)に相当する額が支給停止となる点には注意が必要です。

※2025年3月31日より前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たした方は6%となります。

3. 65歳以上で失業した際の「高年齢求職者給付金」

高年齢求職者給付金は、65歳以上の雇用保険加入者が失業した場合に、一時金として支給される制度です。

高年齢求職者給付金の支給対象と条件

・対象者:高年齢被保険者(65歳以上の雇用保険加入者)で失業された方

・支給要件:以下のすべての要件を満たした方

給付される金額について

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出所:厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」

・支給額

65歳未満の方が受け取る「失業手当」が4週間に一度、失業認定を受けてから給付されるのに対し、この高年齢求職者給付金は一括で支給される点が大きな違いです。

【2025年金改正】遺族厚生年金の変更点

2025年6月に成立した「年金制度改正法」では、働き方や家族構成の多様化に対応した年金制度の整備が大きな目的の一つとされています。

この改正には、いわゆる「106万円の壁」に関連する社会保険の適用拡大のほか、遺族年金に関する見直しも含まれています。

男女間の支給要件差の是正に向けた見直し

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出所:厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」

現行の遺族厚生年金の制度では、受給者の性別によって以下のような違いがありました。

現行制度における仕組み

・女性

・男性

このような男女間の差を解消するための見直しは、2028年4月から施行される予定です。

2028年4月からの新制度(予定)

見直し後は、「原則5年間の有期給付」の対象となるための要件が、男女共通でより詳細に定められました。

・女性:施行直後(2028年4月)に原則5年間の有期給付の対象となるのは、「18歳年度末までのお子さんがおらず、2028年度末時点で40歳未満の方」です。(※すでに遺族厚生年金を受給中の方や、2028年度に40歳以上になる女性は、この見直しの影響を受けません。)

・男性:新たに5年間の有期給付を受けられるようになるのは、「18歳年度末までのお子さんがいない60歳未満の方」です。

お子さんがいる場合:18歳年度末までのお子さんがいる場合は、お子さんが18歳年度末になるまでは現行制度と変わらず、見直しの影響はありません。お子さんが18歳になった後、さらに5年間は増額された有期給付および継続給付の対象となります。

有期給付・継続給付の拡充内容

特別な配慮が必要な場合の給付についても、金額や要件がより具体的に示されました。

・有期給付の増額:有期給付には新たに「有期給付加算」が上乗せされ、現在の遺族厚生年金額の約1.3倍になります。

・継続給付(5年目以降の給付継続)の要件:5年間の有期給付が終了した後も、障害の状態にある方や収入が不十分な方は、引き続き増額された遺族厚生年金を受給できます。単身の場合、就労収入が月額約10万円(年間122万円)以下の方は継続給付が全額支給され、おおむね月額20万円~30万円を超えると全額が支給停止となります。

また、今回の改正では「遺族基礎年金」に関する見直しも行われました。

これまでは同一生計の父または母がいることで遺族基礎年金を受け取れなかったケースでも、2028年4月からは、お子さん自身が単独で「遺族基礎年金」を受け取れるようになります。

まとめ

この記事では、老齢年金に上乗せされる「加給年金」や、働くシニアを支える「高年齢雇用継続給付」など、ご自身で申請しないと受け取れない公的な給付金について解説しました。

ご紹介した制度は、知っているかどうか、そして行動するかどうかで、将来受け取れる金額が大きく変わってくる可能性があります。

中には手続きが少し複雑に感じられるものもあるかもしれませんが、まずはご自身が対象になる可能性があるかどうかを確認することが第一歩です。

もし少しでもわからないことや不安なことがあれば、お近くの年金事務所やハローワークといった専門機関に相談してみてはいかがでしょうか。

自ら積極的に情報を集め、適切に手続きを行うことで、より安心で豊かなセカンドライフを送る一助となるはずです。

参考資料

・日本年金機構「初めて老齢年金を請求するとき」

・日本年金機構「加給年金額と振替加算」

・日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

・厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」

・厚生労働省「再就職手当のご案内」

・厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」

・厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」

・厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」

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